6. 噂
「でね、そのマイケル・パーキスとかいう男子が知りもしないのにパパの事を悪く言ってたから、模擬戦で吹き飛ばして謝らせたの」
『ははは、ポールの息子は元気な奴だな。今度一緒に飲む時の話題にさせてもらうわ』
パパは彼奴の父親と知り合いみたいだった。
「…全く、笑い事じゃないのに…後は~あんまり強そうな人は居なかった」
『まあ、そんなもんだろ』
「パパの時はどうだったの?」
『アリィが居たしな。それに勇者パーティーの面子も居たかな』
パパの代は勇者パーティーが学園に通っていたらしい。勇者パーティーの人達はアリィお姉ちゃん以外は知らない。アリィお姉ちゃんも昔はよく遊んでくれていたが、今は戦争の準備で忙しいみたいで会えていない。
「アリィお姉ちゃんにも会いたいな」
『今度会った時に伝えとくな』
パパとお話ししているとステラがやって来た。
「お姉ちゃん、ステラに代わって、パパとお話したい」
「パパ、ステラに代わるね」
私はステラに通信機を渡してベッドに寝転がる。ステラも隣に寝転がって来た。ステラも今日の話について会話しているみたいだ。双子だからか、同じ事を話していた。その時思った事も大体一緒だ。
(学園かぁ)
退屈しそうな学園生活について考え始める。正直、学園に行くぐらいなら自分で鍛錬していた方が良いと思う。
(なんでパパは私達を学園に通わせようとしていたんだろう)
パパは貴族になる前から学園に行かせる為に、勉強や剣、魔法を教えてくれていた。子供の頃は何の為にやっているのか分からなかった。ただ、出来た時にパパが褒めてくれるのが嬉しくて一生懸命やっていた。今となっては自分達の身を守る為には、学園に行く為でなくとも生きていく上で必要な事だったとは思う。
(ステラとティナ以外と仲良く出来なさそうだし)
今日の周囲の感じだと周りは、私達のパパについての悪い噂ばかりを信じていそうだった。そんな人達とは仲良くしたいとも思わなかった。
(悪魔とか名付けやがった魔族め)
雷撃の悪魔という二つ名の所為で良くない噂が、この王都では広まっている。王都での凱旋でもパパは参加していなかった為、荷物持ちや本当は魔族なのではないかという噂もある。私はもっと良い噂を広げたいと思っているが、当の本人は笑っているだけで気にしている素振りは全く無い。寧ろその二つ名を気に入ってそうな感じもある。
パパと話した後にいつも寝ていたので、眠くなってきた。
(明日、パパに聞いてみよ)