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ルミナス魔法学園物語 ~『私はお姉さまとゆるゆる学園生活したいだけです!』~  作者: 月羽


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第49話 転寝…-1

 

「でさ…シルファ、ライラと何かあった?」

 机に顎を突いたコロネが上目遣いで私に問い掛けました。

 すると、私はこう答えます。

 

「普通にお話をしただけ…だよ?」…と。

 これ以上もこれ以下も無い答え。

 だけど、納得いかないのかコロネは不満な表情を浮かべる。

 

 教室へ戻ってからずっと、相手を変えこのやりとりの繰り返し。

 もう、何回同じ言葉を繰り返し言った事か。

 本当に皆が想像する様な事は全く無かったと何度も言っているのに

 返ってくる反応は皆一様に《《察した顔で頷く》》です。

 でも、コロネだけは何度話をしても私を開放してくれません。

 

 確かに、手を繋いだ二人がすっきりした顔で教室に戻って来たら

 善からぬ想像したくなるのは、年頃の少女達が集う学園ならば仕方の無い事なのかもだけど……

 言葉を交わすだけで、それ以上を得る事だってある

 皆さん、もっと想像の幅を広げてください!

 …むしろ、想像の幅を広げ過ぎた結果の反応とも言えるかもしれません。

 

 そう言えば、ニース先輩が言っていました。

『皆、刺激に飢えているのよ』と、つまりこう言う事なのですね。

 理解しました。

 

 理解はしたけど、私達のこの『すっきり顔』は問題の一つが解決したからで

 皆が想像する様な事は、本当に一切全く何も無かった。

 そもそも、私にはセレーネお姉さまと言う大切な人がいるのだし

 ああ、そう言えば。昨日、食堂でも同じ様な事を思った記憶が……

 

「ほんとにほんと?」

「ほわ!?」

 気付けばコロネの顔がすぐ間近にあります。

 鼻と鼻がぶつかりそうな距離、コロネの緑の瞳が私の瞳を覗き込んでいる。

 まるで、私の心の奥底の真実を暴き出さんとするかの様に。

 

「…本当だってば…もう……」

 溜め息混じりに言うと、後ろへ身を反らす。

 顔を寄せ威圧されたところで、私が言える事はこれ以上何も無い。

 だからもう一人の当事者であるライラの方を見るのと

 ライラの方も私と似た状況でした。

 私に対するコロネの様に、彼女の方はネオンがぴたりと張り付いている。

 そして彼女もまた、私と同じ様な事を考えていたのでしょう。

 私の方へライラの視線が向きました。でも。

 

「あ……」

「あ……」

 一瞬目が合っただけで、直ぐに逸らされてしまいました。

 ライラまでなぜそんな反応を!?そんなあからさまに怪しい反応をしたら……

 

「やっぱり怪しい~!」

「やっぱり怪しいです~」

 ネオンとコロネがほぼ同時、口を揃え私とライラそれぞれに詰め寄る

 当然こうなりますよね。

 昼休みが終わるまでこの状況は続きそうです。

 

 

 結局、コロネとネオンは午後の鐘が鳴るまでの間ずっと

 私とライラに張り付いたままでした。

 クラスの皆は微笑ましく私達のやりとりを見ているだけだし。

 委員長であるルキアは「一番側にいるからこそ気になるのよ?」

 …と意味ありげに頷いただけ。

 言いたい事はわかる、わかるだけにそれ以上は何も言え無かった。

 ………

 ……

 …

 セルティス先生が来てコロネもやっと自分の席へ戻りました

 とは言ってもすぐ後ろの席、視線が気になる。

 気になるけれど、その感覚は長くは続かなかった。

 危険な感覚が私を襲ってきたから。

 

 それは眠気

 ライラの件で頭を使い過ぎたのか、なんだか眠い。

 お昼ご飯の後は眠くなりがちだけど、今日は特に眠いです。

 

 教壇でセルティス先生が何か説明をしているけど、頭へ入ってこない……

 だからとそのまま眠って良い理由にはなりません。

 当然です、私はこの学園に学ぶために来ているのだから。

 ならばなんとしても、この試練を乗り越えねば!

 さて、どうする?どうしましょう。

 悩んでいては余計眠くなってしまいます。

 こんな時、人は魔法よりも行動的な手段に出るもの……

 

「…っ!」

 机の下で左手の甲を右手の二本の指で摘まむと、時計と逆回転に抓り意識を回復。

 古典的で地味な方法、だからこそ効果があります。

 大丈夫です、これで目が覚めました。

 覚めましたが……

 

「何…?」

 小声のつもりだったけど、すぐ隣のライラは気付いた様です

 私を横目で見ながら、不思議そうに首を傾げている。

 

 乾いた笑いと共に、大丈夫と小さく手を振ってみたけれど……

 ライラは訝しげな顔で、何度も首を傾げていました、

 うう、恥ずかしい。でも……

 彼女も私と同じ状況のはずなのに、眠気の『ね』の字すら見えません

 流石はお嬢様と言ったところでしょうか?

 はぁ、私も見習わないと。

 

 まずは授業に集中集中。

 眠気で聞き逃した部分を補うべく、急ぎ板書された内容に目を通す。

 嬉しい事にセルティス先生の板書は分かりやすい。

 重要な所は色分けされ詳しい絵図もあるし、狐?兎?の絵まであります。

 狐兎(仮)は授業を楽しくしようと、先生が考えたマスコットらしく

 生徒達からの評判も良いそうです。ちなみに名前は募集中。

 …思考が脱線しました、集中しないと。

 

 えっと、先生が今説明しているのは魔法結合リンクスについて。

 複数の魔法を繋ぎ合わせる事で、強化あるいは新たな効果を生み出す方法。

 同属性同士なら威力は二倍どころか三倍四倍になるし

 別属性同士なら単一属性では成し得ない、新たな効果を生み出す。

 これは便利です!

 

 特に別属性同士の魔法結合リンクスはしっかり覚えておかないと!

 今後の実習課題等、友人達と協力する事や行動を共にする事は多くあるはず。

 その時に魔法結合リンクスを有効活用出来たのなら、課題の達成も楽になるかもしれないし。きっと、課題成功の確率だって上がる。

 ううん、課題だけではない。きっとこれから先、多くの場面で役立つ。

 そんな想像を膨らませていると、セルティス先生がニコリと笑みを浮かべました。

 

「ふふっ♪皆さん、早速可能性の想像(イマジネーション)が膨らみ始めているみたいですね?顔を見ればわかります。

 良い事です。魔法とは、これ可能性の想像(イマジネーション)です!」

 

 言ってセルティス先生の狐耳がぴこぴこっと二回揺れ、尻尾がクルンと一回転。

 テンションの上がった先生は相変わらず可愛いです。

 可愛いけれど、話は聞かないと。

 

「先生少し静かにするので、可能性の想像(イマジネーション)をもっと膨らませてみてください

 魔法結合リンクスの習得は、そこが始まりですから」

 

「あ、でも寝るのはダメですよー?たまーにいるんですよねぇ……

 可能性の想像(イマジネーション)を膨らませている間に寝ちゃう子!」

 

 先生の言葉に、どっと大きな笑いが起きました。

 でも、先生の言葉も然り。

 自分は大丈夫と思っている時に限って、やってしまうのが失敗と言う物です。

 実際、私もつい先程まで眠かったし、尚更に注意しないとです。

 

 笑いが落ち着くと、セルティス先生は口に指一本当てながら一歩下がり

 お馴染み自走式魔導踏み台を変形させた椅子へ、腰を下ろしました。

 ぴょんっと飛び座る姿が可愛い。

 このまま先生を眺めていたいけれど、それこそ眠ってしまいそうだし

 自分のイメージに集中しましょう。

 

 

 学んだ知識について考え思い描く、これも魔法の修行であり訓練の一環。

 魔法は想像であり創造。頭の中に思い描いた物を形にする行為。

 これは、基本中の基本。

 だから新しく学んだ魔法結合リンクスを使うイメージを頭の中で思い描く

 

 二つの魔法を一つに……

 私が今使える魔法の属性は『闇』、セレーネお姉さまとの口付けで得た魔法。

 お姉さまの魔法と私の魔法が合わさったら、どんな効果が生まれるでしょうか? 

 

 そうそう、このクラスには私以外にもう一人、闇属性の魔法を扱う子がいます。

 でも、その子とは挨拶を交わす程度で、仲が良いかと聞かれたら微妙。

 《《少々変わった》》子で、そこが『彼女』との関係を曖昧にしている理由の一つ。

 悪い子では無いのだけど……。

 私がこんな風に思っているのがダメなのかな?

 今後、彼女と一緒に課題に挑む可能性はゼロでは無いし、なんとかしよう。

 

 そうか……

 魔法結合リンクスを使うには、相手との関係も考えないといけないんだ

 ただ魔法と魔法を合わせただけでは 魔法結合リンクスはきっと上手く使えない。

 そうなると、まずは仲の良いの友人達と使う事を考えてみようかな?

 

 まず思いつくのはコロネ、彼女の魔法の属性は『風』

 そして、ルキアは『水』でクロワは『土』

 改めて考えてみると、見事にばらけていました。

 そうなると、後は『火』と『光』かな?

『光』は確かメリッサが使えたはずだから、後で相談してみよう。

 

 そして『火』。

『火』の魔法の使い手で真っ先に思い浮かぶのは……

 

「ん?」…何?

 急に右肩が重くなりました?私の右肩に何かが乗っています。

 視線を右横へ向けると金色がありました。

 この太陽の様な輝く金色には見覚えがある。

 ライラの髪です。ライラが私の肩に寄り掛かっている?

 彼女に一体何が?と考えるより先に聞こえて来たのは、小さな寝息。 

 

 寝てる?これは寝ています。

 ライラが私の肩に寄り掛かり寝ていました……

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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