殿下の好きが止まらない
昼食で
レティは魚料理とスープを振る舞った。
………魚料理と言っても
魚を捌くだけですが………
爺やとシェフに頼んで、居間に即席の調理台を作って貰った。
さあ、ワタクシの腕前をごらん。
………と、割烹着の腕捲りをする。
「 マジでレティのナイフの持ち方がおかしい 」
………と兄が言った。
「 何か………手術をしてるみたいだ 」
………と殿下が言った。
「 魚なのに魚に見えませんね 」
………とクラウドが言った。
レティの2度目の人生は医師である。
まだ新米医師で、志し半ばで死んでしまったが………
何度、メスを握った事か………
昔が甦る。腕がなる。
魚は綺麗に分解されていった。
スープに入れる野菜を切る。
次いでにキャベツの千切りも披露してやった。
キャベツの千切りはシェフも誉めてくれた。
切った食材を厨房に運んでスープを作った。
勿論、千切りキャベツにはシェフの作った鴨肉のソテーが添えられた。
フフン♪メインはあくまでもキャベツの千切りだぞ!
「 はい、頑張ったレティにご褒美 」
と、アルベルトがレティの口元に一口大のスイーツを付き出してきた。
アルベルトはレティを構いたくて構いたくて仕方がなかった。
そりゃそうだ。
今日1日、好きな女の子と一緒にいられるのだから。
公務も昨日には終えて、今日はフリーだ。
明日には帰城する。
こんな機会は暫く無いであろう。
皆は、メイン料理を食べ終えて
食後のデザートを、居間のソファーで食べながら歓談していた。
それは突然始まった。
レティの座っているソファーの横にアルベルトが座った。
「 えっ?えっ? 」
目を丸くして驚くレティに
………とアルベルトはいたずらっ子の様な顔をしていた。
「この前のお返し、ほれ、あーんは?
」
何が何だか分からずに………あーん、パク………
………可愛い
レティは真っ赤になってモグモグしながら
「 自分で食べます……… 」
「 次は? 」
アルベルトの有無を言わせない皇子オーラが炸裂した。
「 ……………じゃあ、次はその苺の……… 」
パク………モグモグ………
「 美味しいね 」
2人で笑いながら目をみつめ合う
「 次はそれ………チョコの奴 」
パク………モグモグ………
うわっ………指定してきた……可愛すぎる
アルベルトが目をみはる。
「 美味しい? 」
アルベルトがクスクス笑う
「 美味しい!うちのシェフ最高だわ 」
レティの目はスイーツに釘付けだ。
「 あっ次はそこの林檎の……… 」
何だかムズムズしてきたアルベルトは
次々にレティの口にスイーツを運んでいった。
パク、パク、………パク
「 *×*☆※* 」
モグモグモグモグモグモグ
レティはゴホゴホと咳き込む
「 殿下!!!酷いわ! 」
「 ご免、ご免、雛鳥みたいに可愛いからつい………… 」
レティはそばにあったグラスの水を飲み
「 ご馳走さま!! 」
プンスカ怒りながら居間から出ていった。
アルベルトはクックッと笑いながら、レティを追い掛けていった。
そんな2人を家人達は
甘酸っぱい思いで目を細め、暖かい目で見つめていたのだった。
なあ、クラウド………
俺らは一体何を見せられているのか?
ラウルが肩をすくめて言った。
クラウドは
「 殿下ご自重を 」………と呟くのであった。




