1-4 庭園
皮モノをテーマとしたR15程度の小説です。
PIXIVにてイラストをメインとした活動をしており、小説もPIXIVに投稿しているものと同様のものを投稿しています。
月に1度4週目あたりに更新。
庭園のベンチエリアに辿り着いた俺、白湯場さん、東雲さんの3人は
そのベンチエリアで昼食をとっている3人の女生徒に遭遇する。
白湯場さんは少し戸惑っているが、それもそのはず、
この3人の女生徒は全員日本人ではないのだ。
今朝の入学時に確か同じクラスにいた女生徒達ではあるものの
こちらに声をかけてくる事はなかったのだが…
3人とも東欧系の女性であり、中央にいる女生徒は気品がある振る舞いで、
その左右にいる女生徒は制服をメイド服にアレンジしたかのような服装で、
どうやら中央の女生徒のメイド的立ち位置のようである。
そういった値踏みをしていると、中央の女性がこちら側に気付き、声を発してきた。
「あら…貴女は確か本日転校してらした…葺ヶ谷…真里亜さんですね?」
流暢な日本語の喋りに驚きつつも、俺は言葉を返す。
「あっ…はい、そうです。葺ヶ谷 真里亜と言います。よろしくお願いしますね」
そう返すと、中央の女性はハーフアップに結った緑色の髪を
なびかせながらも優しい笑顔を見せつつ、口を再度開く。
「わたくし、『テレジア・エストレード』と申します。
祖国の意向により、留学という形で2人のメイドを連れ
この双星女子高等学校にお邪魔させていただいております」
母性を感じるとても優しい声色で自己紹介を行うテレジアに
続いて左右の2人もメイドらしき振る舞いで、
左側にいる銀色の髪をボブカットにした子が口を開ける。
「テレジア様にお仕えしております『アリス・フィータリスク』です。
よろしくお願いいたします」
続けて、右側にいる金髪ストレートでやや目つきが鋭い子が口を開く。
「同じくテレジア様にお仕えしております『エストレーナ・アガルフォン』です。
よろしくお願いいたします」
2人のメイドも気品がしっかりとあり、日本語もとても流暢だ。
その発声をうけて白湯場さんがあわてながら口を開く
「あっ!白湯場です!白湯場 穂香です!よろしくお願いします!」
その声は、喋ってみたら日本語で普通に会話できそうでホッとした。
そういった印象だった。
それをうけてテレジアが喋る。
「あらあら、同じクラスですから存じ上げておりますわよ、ウフフ
でも、わたくしたち3人でいつも固まっておりますので
お声、かけづらいですわよね…申し訳ありません」
そういってテレジアと2人のメイドは頭を下げてくる。
「そ、そうですよね!いやそうじゃなくて!ごめんなさい!
これからもよろしくお願いします!!」
白湯場さんはもうあわてふためいて文脈もへったくれもない言葉で
返事をし、お互いに笑いあう。
そこで今まで黙っていた東雲さんが口を開く。
「あの…ここにはいつも誰もいないと思ってて…
テレジアさんたちがいると思ってなくて…」
何が言いたいのだろうか。
東雲さんの独特の喋りと言い回しに微妙な不安を感じるが、
テレジアは何かを察した顔をして口を開く。
「ああ!失礼いたしました!
東雲さんのお気に入りスポットだったんですよね?
たまたま今日は庭園でお昼を、と思いまして…
もしよろしければ今後もここをお昼に使わせていただいても
よろしいでしょうか?」
すごい。
学校の施設など基本的には共有のはずなのだが、
東雲さんに気を遣ってこういった言葉は
なかなか言えるものではない。
その上で今後も仲良くしようというアプローチだ。
これをうけて東雲さんは無言で首をたてに振る。
「ふふ、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたしますね」
テレジアはそう言うとメイドと共に軽く頭をさげる。
テレジアはそのまま周りを見渡して、
「この庭園は本当に素敵なところですよね。
わたくしたちの国にしかないお花なども植えていただいてて…」
と言いながらあまり見た事のない品種の花を指す。
さすがに俺も花の品種はそこまで詳しくはないが、
確かに国内に存在はしなさそうな花だ。
そのままテレジアは園内を歩き、大きな桜の木を見て
「それでもこの桜はやはりとても立派で美しいですわね…」
テレジアはそういって感嘆の表情で桜の木を眺める。
丁度、桜が散り始める頃合いだったが、その時やや強めの風が吹き、
俺たち6人の合間を桜の花びらが綺麗に舞っていく。
俺も含めた全員が暖かな表情となり、
花びらの行方を見守っていると、一際大きな花びらが
テレジアの胸元に舞い降りる。
「あら…わたくしのところに来てくださったんですのね…
そうですわアリスさん、この花びら、
押し花にしてもらっていいかしら?」
そう言葉をうけたアリスはすぐさま笑顔で答える。
「はい、いい案だと思います。
手配しておきますね」
そういって大きな桜の花びらをアリスが預かる。
「うふふ、これでペンダントでも作れるといいですわね」
テレジアはとても嬉しそうに笑顔で期待を膨らませており、
その姿、風景はとても美しく映ったのだが…
中身が男であり潜入諜報員の俺としては
なんとも言い難い気持ちになる。
そういった花びらの舞の余韻に浸っていると、
テレジアのメイドの1人であるエストレーナが口を開く。
「テレジア様、そろそろ教室に戻られるお時間です」
このエストレーナも先程までは笑顔であったのだが、
今やまた鋭い目つきで淡々とした口調で喋る。
「あら、そうですわね…
では、わたくしたちはそろそろ教室に戻りますね。
貴女がたも、お時間にお気をつけくださいね」
そう言うとテレジアたちは優雅に歩き庭園をあとにしていった。
「よかったぁ
同じクラスなのに、声かけていいのかわかんなかったんだけど
あんなにしっかり喋れるならお友達になれそう!」
白湯場さんはとても前向きに、嬉しそうに喋る。
「ふふふ、そうですね。
とても話しやすいお方でよかったです」
俺はそう返し、時間を確認する。
「さて、お昼の時間も仰ってたようにもうすぐ終わりますし、
教室に戻りましょうか」
俺がそう言うと、白湯場さんは軽く「うん、そうだね!」と返し、
東雲さんはまたしずかに、首をたてに振る。
教室棟からはかなり遠い庭園だったので、時間はかかったものの、
白湯場さんと東雲さんの二人と俺の三人は
とりとめのない会話をしながら2-Aの教室に到着する。
1-5へ続く。




