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1-3 時計塔

皮モノをテーマとしたR15程度の小説です。


PIXIVにてイラストをメインとした活動をしており、小説もPIXIVに投稿しているものと同様のものを投稿しています。


月に1度4週目あたりに更新。

ここは私立双星女子高等学校の食堂。

生徒達に非常に人気のある食堂だ。

安い・美味い・華やかの3点をあらゆるメニューにおいて見事にこなしており、

SNS映えもするが食べ残す生徒なども全くいない。

この食堂を目当てにして入学を目指す女子もいるほどだという。


先程の質問責めにより多少遅くなった事もあり、カウンターに並ぶ生徒は少なく、

食事をしている生徒が多い。

俺、「葺ヶ谷 真里亜」と「白湯場 穂香」の2名はカウンターに注文するために並ぶ。


「ここのオススメはですねっ、風花定食っていう定食で…

 お野菜がメインですけどしっかりお肉も食べれる

 バランスの良いメニューなんですよ!」


白湯場さんはそう言いながら風花定食を注文する。

ならば、と同意する気持ちで俺も白湯場さんと同じものを注文する。


出てきたメニューは新鮮な野菜の色そのものにより鮮やかで、

肉系の茶色中心の別皿もうまくバランス良く映えるようにしており、

確かにこれはSNSに投稿したくなるのも頷ける。


昼食を終えた俺たち二人は、

まだ昼休みの時間がある事を考えながら食器を返却する。

そうした時、白湯場さんが思い出したかのように口を開く。


「あっ、あの…お昼の時間もまだ余ってますし、

 もう1カ所案内したいところがあるんですけど…」


俺はそれに笑顔で受け答えし、案内を促す。


校内を少し歩き回り、一際高い塔に案内される。


「この時計塔が、この高校でも一際有名なんですけど…

 お見せしたいのはこの先なんです!」


白湯場さんはそう言って、塔のしっかりした扉をあけると螺旋階段を登っていく。

俺は白湯場さんの後ろからついていきつつ、

螺旋階段を8周ほど回ったところで扉に辿り着く。


「階段のここから上はメンテナンス用なので入っちゃいけないんですけど…

 ここの扉までは生徒でも入っていいんですよ~」


そう言って扉をあけると、時計塔の展望部分に辿り着く。

そこから見える景色はまさに絶景そのものであった。

やや高い丘に建つこの女子高、

そこから街を一望できるこの塔はこの学校一番の資産と言ってもいい。


「はあ…!素敵ですね、この景色」


俺はわざとらしく感嘆の声をあげるが、

白湯場さんは嬉しそうに照れ、安堵の声を漏らした。


「あは…っ、よかったあ…!」


そのセリフと共に、俺は優しい笑顔の表情を浮かべると、

この時計塔の展望エリアの横に1人の座った人影がうつっていることに気が付く。

俺の目線に気付いた白湯場さんは視線を同じ方向に向け、口を開く。


「あっ…今日も来てたんですね、東雲さん」


白湯場さんは笑顔でそう声をかけると、無表情だったその女子生徒は立ち上がり


「うん…こんにちは、白湯場さん」


とやや空気を長くためながら話す。


東雲さんと呼ばれたこの女生徒…身長は140㎝ほどと小柄で、

感情が表に出ていないような無口な雰囲気で、

銀色の髪をストレートのロングヘアにしており、

ややミステリアスな雰囲気を感じる。


ひととき、そのやや静まり返った空気に、俺が切り口を開く。


「初めまして、えっ…と東雲さん?

 私、葺ヶ谷 真里亜と言います。よろしくお願いしますね」


「あっ…えっ…と………

 あたし『東雲 華憐』(しののめかれん)って言います…よろしくです」


顔を伏せながら非常に気恥ずかしそうにその女生徒は自己紹介をしてくれる。

そうか、おそらくこの子は非常に内向的なのだ。

決してこちらに対して否定的というわけではない…はずだ。

俺はそう思い、笑顔を作りながら続けて口を開く。


「東雲さんは、お昼はいつもこちらにいらっしゃるのですか?」


「あっ、はい。そうです。ここ、1人になれて風が気持ち良くって、

 とっても素敵で、時計塔の鐘の音も

 そこまで大きく聞こえるわけでもないので、いつも、はい。そうです」


早口になって焦りながら喋ってくるが、

東雲さんがこの場所を好きなのはよくわかる。


「ふふ、ありがとうございます。確かにその通りですね。

 東雲さんはこのような素敵な場所にはお詳しいのですか?」


俺はそう喋ると、白湯場さんは無言で力強くうんうんと頷いている。

…これはどういう意図だろうか。

おそらく白湯場さんも東雲さんからの

オススメスポットを聞きたい、とそういう事だろうか。


少し間をおいて、東雲さんが口を開く。


「えっと…そうですね、おすすめの場所は、はい。あります。

 この時計塔の…地下とか、庭園とかなんですけど、

 良かったらご案内しましょうか?」


「はい。ご案内、お願いしていいですか?」


俺は自然に受け答えながら、目論見通り各地形を把握していく。


螺旋階段を降り、最初に開けて入ってきた扉を横切り、螺旋階段をさらに下に降る。

春先の今、比較的冷ややかな気温ではあったのだが、さらに冷たく感じてくる。


地上の扉から2周ほど下り、扉をあけると時計塔の地下には通路が広がっていた。


「この地下通路、昔は避難用で作られたそうで、

 色んなところに繋がっているんですけど…

 とても涼しくて、人もあまり来ないので夏の時期に1人で

 休むのにとてもいいところなんです」

「この地下通路は玄関の門の傍にある建物からも入れますし、

 教室のある校舎は少し距離がありますから

 雨の日にはこの地下通路を経由して

 教室のある校舎に向かう子たちが増えるんですけどね~」


東雲さんは流暢に喋りながら地下通路を歩く。

これはあれだな、好きな事になると急に元気に喋るタイプの子だ。


「地下通路はアリの巣みたいに色んなところに通じているだけじゃなくて、

 小部屋もいくつかあって

 倉庫代わりにもなってるみたいなんですけど、

 さすがにそういうところは先生じゃないと入れなくて~」


少し歩き、見えている階段を登るとそこには緑に包まれている庭園が姿を現した。


「わあ…すごい」


俺は感嘆の言葉をあげる。


「この庭園がオススメなんですよー!

 校舎からちょっとはずれてるのでそんなに人は来ないんですけど…」


東雲さんはそう言って庭園を歩くが、途中で言葉をとめる。


俺と白湯場さんは東雲さんの目線の先を見て、言葉をとめた理由を理解した。

庭園の中央にあたる噴水部分にあるベンチエリアに、3人の女生徒がいたのだ。


1-4へ続く。


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