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85/88

85)初めてのチュー


 夏なので、エアコンが効いたホテルで私は昼寝していた。(紅龍様所有の高級ホテル)

 中世設定のはずなのに、大都会だと近未来ってご都合すぎない? とは思いつつ、ベッドの上でコロンコロンしてる。


 窓際ではガルーが新聞を読んでおり、ドアの前では護衛の茨鬼君がチョコンと座っている。

(最初は部屋の外に立って護衛してたけど、疲れるから室内に呼んだのだ)


 と、サングレが飛び込んできた。


「しすたぁあああああああああああああああああああ!!」


 ドアの側に居た茨鬼君が蹴とばされていたけど、サングレは泣き喚く。

 また何かヤキモチでも妬いてるのかと、私はどっこいしょと起き上がる。

 するとサングレが抱きついてきて騒いだ。


「シスター!」

「何やねん」

「オッサンみたいな返事しないでくださいよ! 俺にだけ花のような笑顔で返事してください!」


 めんどくせぇええ。と思いつつ話を聞く。 


「俺、気づいちゃったんです!」

「何をや」

「またオッサンが出てる! 俺だけシスターとキスしてないんですよ!!!!」

「何だ、そんな事か」

 私が呆れると、ガルーが新聞を畳む。


「気づいてなかったの手前だけだぞ」

「ガルー! この××××の×××野郎!!」


 サングレが余計に怒りだした。ガルーも殴ろうと拳を構えだした。待てぇい!

 仕方ねぇな……フリーハグならぬフリーキス状態の私の口と頬とデコを差し出した。


「ほら、好きなところにブチュッとやんなさい」


 タコみたいな口で待機してあげたのに、サングレはベッドに泣き伏した。

 なんでアンタの方が花のような乙女なのよ!

 サングレは、わんわん泣く。

 実は誰よりも甘えんBOMなサングレを知らない茨鬼君は驚いていたけど……。


「ただ、したいわけじゃないんです! 勿論、したいんですけど、シスターにうっとりされたシチュエーションでしたいんですーッ!」


 め、めんどくせぇ――ッ!

 ガルーも同じことを思ったらしく、「めんどくs……」と言いかけたので口を手で塞いだ。


「私にうっとりされたシチュエーションって言われてもねぇ~。札束で頬をビンタされたら、うっとりすると思うわよ」

「それ、俺じゃなくて金の力にうっとりしてるんじゃないですか! 俺の力にうっとりしてくださいよ!」


 エクストラバージンオリーブオイルめんどくせぇ――ッ!(とにかく面倒くさいの形容)


 そしてサングレは、うわんうわん泣く。


 もう! 仕方ないなぁ~! と私はサングレに近づくと、その涙が浮かぶ目蓋にキスをした。

 白くて長い睫毛と、水晶みたいに滲んだ涙が美しい。

 サングレは驚いていたけど、私は腕組みして顔を赤くしながら告げる。


「きっ、キスされるのは何回もあるけど、私からキスしたのはアンタだけだからね!」

「……!」


 サングレが驚いていた。

 それから涙目でニコッと笑顔になる。


「やったぁ……! ボク、しすたぁの初めてをもらっちゃった……!」


 出たな幼児化。また泣くサングレを抱きしめて、よしよしする。


「しすたぁ~だいすき~」

「はいはい。私も好きよ」


 ガルーは流石に呆れたのか、窓際で新聞を読み始め、茨鬼君は、よくわかってないままに、笑顔でパチパチと可愛い拍手をするのだった。

挿絵(By みてみん)


お久しブリーフです!

色んなシリーズを書いていたら、すっかりご無沙汰に

なってしまってすみません!

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