85)初めてのチュー
夏なので、エアコンが効いたホテルで私は昼寝していた。(紅龍様所有の高級ホテル)
中世設定のはずなのに、大都会だと近未来ってご都合すぎない? とは思いつつ、ベッドの上でコロンコロンしてる。
窓際ではガルーが新聞を読んでおり、ドアの前では護衛の茨鬼君がチョコンと座っている。
(最初は部屋の外に立って護衛してたけど、疲れるから室内に呼んだのだ)
と、サングレが飛び込んできた。
「しすたぁあああああああああああああああああああ!!」
ドアの側に居た茨鬼君が蹴とばされていたけど、サングレは泣き喚く。
また何かヤキモチでも妬いてるのかと、私はどっこいしょと起き上がる。
するとサングレが抱きついてきて騒いだ。
「シスター!」
「何やねん」
「オッサンみたいな返事しないでくださいよ! 俺にだけ花のような笑顔で返事してください!」
めんどくせぇええ。と思いつつ話を聞く。
「俺、気づいちゃったんです!」
「何をや」
「またオッサンが出てる! 俺だけシスターとキスしてないんですよ!!!!」
「何だ、そんな事か」
私が呆れると、ガルーが新聞を畳む。
「気づいてなかったの手前だけだぞ」
「ガルー! この××××の×××野郎!!」
サングレが余計に怒りだした。ガルーも殴ろうと拳を構えだした。待てぇい!
仕方ねぇな……フリーハグならぬフリーキス状態の私の口と頬とデコを差し出した。
「ほら、好きなところにブチュッとやんなさい」
タコみたいな口で待機してあげたのに、サングレはベッドに泣き伏した。
なんでアンタの方が花のような乙女なのよ!
サングレは、わんわん泣く。
実は誰よりも甘えんBOMなサングレを知らない茨鬼君は驚いていたけど……。
「ただ、したいわけじゃないんです! 勿論、したいんですけど、シスターにうっとりされたシチュエーションでしたいんですーッ!」
め、めんどくせぇ――ッ!
ガルーも同じことを思ったらしく、「めんどくs……」と言いかけたので口を手で塞いだ。
「私にうっとりされたシチュエーションって言われてもねぇ~。札束で頬をビンタされたら、うっとりすると思うわよ」
「それ、俺じゃなくて金の力にうっとりしてるんじゃないですか! 俺の力にうっとりしてくださいよ!」
エクストラバージンオリーブオイルめんどくせぇ――ッ!(とにかく面倒くさいの形容)
そしてサングレは、うわんうわん泣く。
もう! 仕方ないなぁ~! と私はサングレに近づくと、その涙が浮かぶ目蓋にキスをした。
白くて長い睫毛と、水晶みたいに滲んだ涙が美しい。
サングレは驚いていたけど、私は腕組みして顔を赤くしながら告げる。
「きっ、キスされるのは何回もあるけど、私からキスしたのはアンタだけだからね!」
「……!」
サングレが驚いていた。
それから涙目でニコッと笑顔になる。
「やったぁ……! ボク、しすたぁの初めてをもらっちゃった……!」
出たな幼児化。また泣くサングレを抱きしめて、よしよしする。
「しすたぁ~だいすき~」
「はいはい。私も好きよ」
ガルーは流石に呆れたのか、窓際で新聞を読み始め、茨鬼君は、よくわかってないままに、笑顔でパチパチと可愛い拍手をするのだった。
お久しブリーフです!
色んなシリーズを書いていたら、すっかりご無沙汰に
なってしまってすみません!




