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73)泣き虫サングレ

 なんだかんだで紅龍様と仲たがいした翌日、私は教会の自室(教会に戻れるようになった)の床に座り込んでウンウン考えていた。


(う~む……ガルー達はユリちゃんを嫌っているし、マユコはユリちゃん至上主義だからユリちゃんがモテないのは私の所為だと私を嫌っているし、ゲームの在るべき姿の為に私に死ねっていう……。紅龍様はガルー達をユリちゃんにあてがうか、マユコを殺せと言っている……。私はガルー達の意思を尊重したいし、マユコを殺すのは罪悪感で引くのでやりたくない……って、詰んでない? これどーすりゃいいのよ~……)


 ゴロゴロ転がって悩む。

 それを見ていたサングレが傍で火がついていない煙草を咥えたまま、クスクス笑った。

挿絵(By みてみん)

「また妙なことして……。もしかして生理ですかぁ~? お腹、さすって差し上げましょうかぁ~?」


 こ、この野郎! 小さい頃は素直で可愛かったのに! と起き上がる。

 すると革靴を鳴らして近づいてきたサングレが屈みこんで私の顔を覗き込む。

 彼の雪色の髪が肩から、さらりと零れ、褐色の肌と相まって絵画のように美しかった。


 悔しいけど、顔は本当に良いのよね~こいつ……と思っていると、サングレが口から煙草を取ると、話しかけてきた。


「……何か悩んでるでしょう?」


 ぎくうっ!


 え? え? 顔に出てたかしら? と顔を撫でさする。

 誤魔化そうとしたけど、サングレの紫の瞳は変化を見逃さない豹のように鋭かった。

 それから寂し気に彼は語る。


「……俺じゃ、役に立てませんか?」

「……う」


 で、でも『実は貴方達、ゲームのキャラで……』なんて紅龍様以外に相談できなくない!?

 どういえばいいか迷いに迷っていると、サングレが、ふにゃりと顔を泣き顔風に歪めた。

 泣く……!? と思った次の瞬間には、鋭い目つきに戻る。

 そして、ぽつりと漏らした。


「……ぼくが一番、シスターのことを大好きなのに……」


 言いながら、サングレが右手を振る。

 すると5本の指がシャリンと硬質な音をたてて刃物へと変わった。

 サングレの異能『肉体の刃物化』だ!

 何するのかと思っていると、立ち上がったサングレがブツブツ呟く。


「……ガルーとアリアと茨鬼とクソジジイを殺せば、シスターは、ぼくだけを見てくれる……」


 ちょまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!?


 サングレを追いかけて背中にしがみついた。


「サングレ! 落ち着きなさい!」

 サングレは刃物に私が触れないようにしながら指を戻して振り返ると、涙目で訴えた。


「嫌ですよ! いつだって俺はシスターの中で、最下位じゃないですか!」

「何の話よ!? 強さランキング!?」

「違いますよ! っていうか、俺の方がガルーよりもアリアよりも強いですッ!」

「わかったわかった! はいはい、強い強い!」

「赤ちゃんを褒めるみたいに言わないでください! 俺だって成人男性なんですよ! なのにシスターは紅龍とかいうクソジジイやガルーとアリアみたいな×××野郎の事ばっかりで! 俺のことなんてどうでもいいんでしょう!? 俺がこんなに愛してるのに、いつでも子供扱いで!」


 ぴえんしてるサングレの頭に手を伸ばしてナデナデする。

 でも赤ちゃん扱いされてるのかと思ったサングレは、プイとそっぽを向いて頬を膨らませた。

 そういう所が子供だというのに……。

 ガルーもアリアもそんな事しないわよと思いつつも言えないので、とにかくサングレに寄り添った。


「ごめんね、サングレ。心配してくれてるのに」

「……」

 グス……と鼻を鳴らすサングレに、意を決して相談してみることにした。


「で、サングレ、ユリちゃんのこと好きになれそう?」

「……はい?」


 硬直するサングレに繰り返す。


「サングレ、ユリちゃんのこと好きn」

「いやいやいや!! 聞こえなかったわけじゃなくて! 今の話の流れで何でそうなるんですか!? ユリみたいなクソビッチの腐れ×××に俺の×××をブチ込めるわけないでしょうが! 気色悪い!」

 めちゃくちゃ下品なキレ方をされて拒否られた! これアカンやつや!!

 しかもサングレはプンスコ怒りだす。


「シスターはいつもそうだ! どうせ俺のことよりクソジジイやガルーやアリアの方が好きなんでしょう! 俺は貴女がいないと夜も眠れないくらい大好きで愛してるのに、貴女はぼくがいなくなってもグースカ寝るんでしょう!」


 しかも拗ねだしたぞ!


 ど、どうする?


 紅龍様風→殴って永久に眠らせる(脳筋)

 ガルー風→『そんなことねぇよ。オレはお前のこと、愛してっからよ』(雑な真似)と口説く

 アリア風→ンジッ……とワンコのように熱く見つめる

 茨鬼君風→『わかりました~! 殺しますね♥』(チャキッ ←論外


 悩んでいると、サングレが抱きついてきた。ホワッツ!?

 しかし異性が抱きしめるような熱烈なものというより、親に置いてかれたでっかい子供が抱きついてくるみたいに、ぴえんぴえん泣いている。


 私の肩に顔を埋めて泣きじゃくるサングレの頭を撫でて、よしよしする。

 まさかこんなに錯乱すると思わず反省していると、泣き終えたサングレが髪をかきあげて体を離した。

 サングレは目元が赤くなってるけど、強気な表情でフンと鼻を鳴らし、目を細めた。


「……で、ユリとかいうクソビッチのことで悩んでたってワケですか」


 泣き叫んで暴れるだけ暴れてから本題について突いてくるサングレ。

 そういえば紅龍様が言っていたことを思い出す。


『サングレは秒で感情的にブチキレるから、部下を任せられないヨー。アイツ、ムカつくとオマエ以外のニンゲンを直ぐ殺そうとするからナー』


 それでもキレた後、そこに残るのは怜悧な刃物のように鋭く尖った知性なのだと。

 いや、情緒不安定すぎでしょ!!

サングレはシスターの前だと幼児化しまくります。

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― 新着の感想 ―
いや、可愛いな……?!いつも下品な姿を目の当たりにしてるのに可愛いって思えるってどういうことよ!?どんだけ可愛いのよ!?言ってることはあれだけど拗ね方くっっそ可愛いな!もうなんか拗ね方が末っ子みがある…
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