幸せなピエロ
見ていただきありがとうございました。
あるところに旅芸人のピエロがおりました。
その日暮らしの楽しい暮らし。安心する我が家は無かったけれど彼はこの生活をとても気に入っていました。
ある日、偶々立ち寄った村の酒場である噂を耳にします。
なんでも前にいた太国の王様がピエロを探しているということ。それも多額の懸賞金をかけて。
それから、ピエロは逃げるように旅を続けます。お金は直ぐに無くなり、お腹が空いて今にも倒れそうになりながら辿りついたが平和な小国。
最後の力を振りしぼってピエロのは、芸をしました。ここでもピエロはみんなの笑いもの…だけど、誰もおひねりをくれません。
「いったいぜんたいこりゃあどう言うことだ?」
城下町の広場、噴水のふちに腰掛けピエロは考えます。普通ならどんなところでも1ゼニくらい稼げるはずです。
「まっしろおばけどうしたの?」
さっきした芸で最後まで残っていた少女が話しかけてきました。手にはとても美味しそうとは言えないりんごを持っています。
「お腹ぺこぺこなんだ。」
「あい。」
少女がりんごをさしだしました。
「いいよ。君が全部お食べ。」
「あい!」
「いいんだってば。」
「あい。」
「もらってあげてください。」
少女とは別な声が聞えます。気がつくと少女の横に薄汚れた格好の女の人が立っていました。
「この子は娯楽を見たのが初めてなんです。だからそのお礼がしたいのでしょう?どうぞもらってあげてください。」
「でも。 オイラがもらっちゃうと・・・むぐっ。」
口にりんごを入れられピエロは、りんごをかじりました。まず最初に歯に力を入れてかむと、お口の中が甘くなっていく感じがピエロを幸せの世界に連れて行ってくれます。ピエロは夢中でりんごを食べていると近くでお腹のなる音がしました。それも二つも。
ピエロは食べかけのりんごを見ます。りんごは半分以上なくなり後は少しだけ。
「どうしよう。そうだ!」
ピエロは親子に見えないように見えない空間から魔法のステッキを取り出します。
「やあやあ。腹ペコのお二人さん。さっきはりんごをありがとう!!そんな2人へのお礼に、じゃーん。りんごを二つに増やしちゃいます!!」
「むぅ?」
「え?」
「おいらは魔法使いのおっさんとはマブダチでね。困っていたところを助けたら物を二つに増やせる魔法のステッキをくれたんだ。ということであぶらかたぶらフワモコうさぎ!」
ピエロはステッキを振ります。するとどうでしょうりんごが震え出し、食べかけのりんごがもう一つ現れました。
「食べかけのままで悪いね。オイラの魔法のステッキは少し出来が悪くて、そのまま姿でしかコピー出来ないんだ。」
『えーー』
「素晴らしいじゃないか!!」
「あっあなたさまは!?」
「誰あんた?」
「おうじさまなの。」
「へー王子様〜そうなの王子様が護衛も連れずにこんなところにいるわけ・・・」
「いやー何を隠そう私はこの国の王子、ハンサムだ!」
「いる!ってか隠せよ。あんたこの国の王様の子なんだろう?普通王子ってのは、城下町にいないものなの。」
ピエロは大声で怒鳴ります。すると王子の周りにいた喋っていた市民が反応して、ピエロ目がけ剣や銃を構えます。
「そうなのか?私は子供の頃からこの城下町に出入りしていたぞ。」
「はい。王子様はいつも城下町においでになります。」
ハンサム王子の間延びした声によって武器を構えていた市民は、武器をしまいます。
(そう言うことかい。本人に気づかれないように護衛済みってかい。)
「て奥さん、あんたも。いいかい?普通一般庶民が王族と普通に話しちゃダメなの!」
「なんでだ?」
「なんで?」
「なんででしょう?」
「いや、わかってないんですかい!不敬だろう、王族なんだから。」
「いや私は普通に話してほしいが・・・」
「ダメですって。どう考えても。」
「そういうものなのか?」
「そういうもんです。良いですか。俺は道化者だからあえて言わせてもらいますが、王子様あんた・・・もう少し庶民との距離の取り方を考えた方がいいです。あなたは特別な方なんですよ。他の貴族みたいに庶民を見下して・・・」
「いや。この国の貴族は皆、領民を大切にする者達だぞ。」
「そんなこと絶対にない・・・」
「ん?」
「そんなこと絶対にあるわけないじゃないですか。いいか。ハンサム王子、あんた周りを見た方がいい!善人の顔をした貴族に利用されるだけだぞ。」
「そうなのか?あいにく私はそう言うのに疎くて、優秀な兄上に全て任せているのだ。」
「ん?兄上?」
「はい。ハンサム王子様のお兄上は、とても優秀な皇太子さまで、次期国王さまにも内定されているのです。」
「そうかい。そうかい。そんな優秀な皇太子さまがいらっしゃるならこの国もあんたいですな。」
「そう。だから私は誰からも期待されていないのだ。それに、私はとても変わっているだろう?誰かが私に優しくしてくれたら、私はその者が大好きになってしまうのだ。だから相手の喜ぶことがしたい。なんでも喋ってしまう。」
「徹底的に王族に…」
「そうむいていない。自分でもわかっているのだいつかは王位継承権を返納しなくてはと。」
「おいあんた。王位継承権は?」
「ん?56位だな。」
(なるほど利用価値がないから。利用されることも騙されることもないんだな。)
「だから私は皆を見直したい!どうかわたしに力を貸してくれないか?」
「助けるって言ってもオイラの魔法はただの宴会芸で・・・」
「大丈夫だ。皆驚く。」
「おまけにそのまま複製しちまう。」
「大丈夫だ。」
「だいじょうぶじゃねぇ!いいか。オイラの魔法は、物をその状態のまま複製しちまう。ダメダメな魔法なんだ。」
「なんの私などなんでも喋ってしまうダメダメ王子だぞ。」
「でもよ。いつか俺りゃあのときみたいに….」
ピエロは悲しそうに頭を下げました。けどハンサム王子は持ち前の空気の読めなさで続けます。
「よく考えたのだから、やはり君の魔法は便利だ。パンを複製すればたくさんの民が飢えることがなくなるし、他にも…」
ハンサム王子のあまりのウザさについにキレたピエロは大きな声で叫びます。
「だから俺は二度と協力しねえぞ!白白プリン国の連中みたいなこと言わないでくれ。武器の複製なんて絶対にだ!」
その瞬間広場の時間が一瞬だけ止まりました。
ピエロはしまった!と慌ててその場を後にしようと走り出します。しかしピエロの足は宙を切るだけ、全然先に進みません。
ピエロの服を掴んでいたのは、大男でした。
「王子様はまだ貴方と話したいそうです。」
「放せー俺りゃあ、もうはなすことなんてねえぞ!」
「ありがとう。ロッシ。私はまだ彼と話したいんだ。」
「放せってば!」
「場所を移した方がいいと思います。ここは目立ちすぎますから。」
こうしてピエロはどこかに連れられて行きました。
ピエロとハンサム王子の話はいかがだったでしょうか?みんなさんの周りにもなんでも喋っちゃう変なやつがいたら温かく見守ってもらえると嬉しいです。あれ後で本人が反省してる事が多いので言った後に凹んでるものなんです。少なくても作者はそうです。




