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異世界モノでピエロに会ったら警戒心を高めておいた方が良さそうだ。

 異世界生活六十八日目 場所エリシェラ学園


「私が学園の改革を行っているのはご存知のことだろう。最終的な構想は初等教育から高等教育機関まで、レベル別に分かれた総合教育機関を創り上げることだが、あまり大々的な改革を次々と打ち出すと大きな混乱が生じる。そこで、まず私は『エリシェラ学園、エリシェラ大学化プロジェクト』を密かに始めたのだが」


 うん、まずこの時点で分からない。

 なんで異世界に地球の教育機関を模倣した学校を建造しようとしているんだろう? しかも異世界人のセリスティアが。


「最終的には中等教育段階……いや、後期中等教育段階までの教育を無償化し、庶民貴族問わず様々な者達の学び場にすることを目指したいのだが、そうなるとかなりの費用が必要となる。その辺りも現実的にできるように貴族の方々にも働き掛けていくつもりだ」


 ……ここでまさかの教育の無償化。となると、それができたら次は義務教育を導入しようとするだろうな、この人は。


「ということで、『エリシェラ学園、エリシェラ大学化プロジェクト』の一環として色々とやっているのだが、その一つとして今回、教授、准教授、講師、助教、助手と職階を設置しようと考えている」


 エリシェラ学園には、これまで教師は等しく講師であり、その間には年功や経歴などで差が生まれるものの表面的には同格と見做されてきた。

 だが、今回の改革で講師同士にも明確な力関係が生まれることになる。


 それにより競争心を駆り立てられ、教師同士でも競争が行われることになるだろう。そうすれば巡り巡って教育の質が向上する……まあ、いい手段ではあるが、下手をすると賄賂の横行とか他人の研究を盗むとか蹴落とすとか、そういうのが始まるんじゃね? っていう危機感はある。まあ、非常勤講師の俺には関係ない話なんだけどさ。


「ちなみに、これが本学における職階に至る条件だ」


 そう言うと、セリスティアは懐から一枚の紙を取り出した。

 ん? どれどれ。


-----------------------------------------------

・教授

……教師格の上層。准教授としての活動が認められることと、公に認められた昇格論文が最低七本、あるいはその論文が必要がないと思わせるほどの成果を上げた研究結果が必要となる。

・准教授

……教師格の中層。講師としての活動が認められることと、公に認められた昇格論文が三本、あるいはその論文が必要がないと思わせるほどの成果を上げた研究結果が必要となる。

・講師

……教師格の下層。ここから講義が可能になる。助教としての活動が認められることと、公に認められた昇格論文、あるいはその論文が必要がないと思わせるほどの成果を上げた研究結果が必要となる。

・助教

……所属組織の教育研究の円滑な実施に必要な業務を行う教育職員のうち、講師候補の研究者として位置づけられるもの。助手としての活動が認められた者が助手から昇格できる。

・助手

……所属組織の教育研究の円滑な実施に必要な業務を行う教育職員のうち、研究の補助や事務などを専ら担う者。


・客員教授

……非常勤講師に対し学園が与えられる職階。便宜上、教授と同等の位が与えられる。

・非常勤講師

……一定の期間を定めて雇用される任期制教員。便宜上、講師と同等の位が与えられる。

-----------------------------------------------


「それで、だ。まずルルード殿には教授となって頂きたい。ルルード殿の開発した総合能力向上薬オールアップ・ドリンクは、教授職に相応しいものであるし、ルルード殿の長年の研究成果も教授職に相応しいものだ」


「……私なんかが教授でいいのでしょうか?」


「ルルード殿が教授になるならこの学園の誰もが納得するだろう。ルルード殿は実際に多くの功績を挙げているからな」


 どこの馬の骨かも分からない俺とは違い、ルルードはエリシェラ学園でこつこつと研究を続けてきた講師だ。

 その実力は既に皆に認められている。もし、認めない者がいるとすれば、それはルルードに嫉妬しているというだけだ。そんな者達は捨て置けばいい。


「ありがとうございます。引き続き精進します」


 ルルードは、決して自分の立場に胡座をかかない。きっと、更なる飛躍をこのエリシェラ学園で遂げることになるだろう。


「それから、草子殿。貴方を客員教授に任命したい」


 え? 今、何か言われた?


「えっと、今のは空耳ですか? 俺を客員教授にすると言ったように聞こえたんですが」


「そう言ったんだが?」


 空耳では無かったみたいだ。


「……俺はただのモブですよ。魔法学園に勤めている時間も短いですし、認められるような研究成果もあげていない。こんな奴に与えるべき立場ではありませんよ」


「草子殿、このエリシェラ学園の中で貴方のことを認めていない者達は存在しない。口ではどう言っていても必ず心では分かっている筈だ。それほどのことをこれだけの短時間で成し遂げたのだ。十分に客員教授になる権利はあると思う。それに、客員教授ならば学園に縛られることもないし、エリシェラ学園に研究室を持てる。まあ、草子殿にそこまで利点(メリット)はないだろうが」


 まあ、俺としても断る理由はないんだよね。エリシェラ学園の客員教授という立場は世間的にも影響力を持つだろうし。


「分かりました。ただし、それ以外のことは今まで通りでお願いします。俺の最終目標は地球に帰ることですから」


「そうだったな。草子殿には草子殿の目的がある。そして、それを達成したら、もう会えないということか」


「まあ、俺の代わりなんていくらでもいますよ。積み上げてきたものも少しずつ継承してくれる方を探すつもりでいますし。一人にしかできない技術に価値はないんですよ。俺みたいな歯車が寄せ集まって成立する世界の方が代替えが効くので都合がいい。……まあ、一人一人の願いとしては特別になりたいと思うでしょうけど。そういう特別も世界には必要です、主に新たなことを始めたり大きな改革を迫られている時とかには。ですが、そういうことは選ばれし英雄の仕事、俺みたいなモブキャラは好きなことでもやって、平凡な生活を送ればそれでいいと思っています」


「まあ、確かにそういう解釈もできるな。なるほど……特別だけでは駄目か。だが、一つだけ草子殿の言葉には間違いがある。貴方はどう考えても特別側の人間だ」


 なんだろう? 旅をする中でどんどん勘違いをしている人が増えている気がする。

 勘違い系なのだろうか? みんなに「俺はバグっただけのモブ」だって言っても誰も納得してくれない。

 まあ、もう諦めているけど。


「そうでした。今回はルルードさんにお願いがあったのです。裁縫を教えていただきたいと思いまして」


「裁縫ですか? 教えること自体は構いませんが……正直予想外でした。私よりも専門の職人に教えて頂いた方がいいと思いますが」


 腕が悪いというのはルルードの謙遜だ。普通の腕なら先進国の服に匹敵するものを作り出せたりはしない。

 実際、【裁縫】の技量もかなりのものの筈だ……うん、なんで謙遜するんだって思う。明らかに凄いって分かりきったことなのに。

 えっ? ……お前が言うなって?


「レーゲン君の服を作っていただいたときに確信しましたが、やはりルルードさんの【裁縫】の腕は職人レベルです。知らない職人を頼るよりも身近にこんなにも凄腕がいるのですから、頼りたいと思いまして……ダメですか?」


「いえ、こんな私でよろしければ。総合能力向上薬オールアップ・ドリンクを今後どう改良すべきかヒントをいただけたお礼もしたいですし」


 別に些細なことだからお礼なんていいのに。律儀過ぎるんだよ、ルルード。


「ところで、草子殿は【裁縫】のスキルを会得して一体どうするつもりなんだ?」


「丁度大量の素材を得たんですが、そのままでは形状的に着られる者が限定されてしまうので、いっそ糸に戻して作り変えられないかな、と。その際にオレイミスリルなんかを編み込んだり、【程式魔法】でプログラミングなんかもしようかと計画は立てています。丁度ほとんどのメンバーの武器を改良すると目処が立ち、実際に終えたので、服だけ改良しないとアンバランスだと思いまして」


「……今、武器の改良と言いましたか? 魔法薬に発酵食品に……本当に草子さんは多芸多才ですね」


「ははは……器用貧乏という奴ですよ」


 一応やり始めた以上、極めようとは思っているんだけど、やり始めてから日が浅いせいでなかなか大成しないんだよね。まあ、モブキャラが大成する必要はないんだけど。


「草子殿が器用貧乏か。……もし、そうだとすれば、私達はただの無能ということになるな」


 俺を万能視し過ぎる風潮は根強い。本当はなんの取り柄もないただのモブキャラなんだけどな。


 近日中にルルードが裁縫について教えてくれるということになった。

 用事を終えた俺はルルードの研究室を後にし、エリシェラ学園の食堂で〝移動門(ゲート)〟を開いてみんなを呼び寄せた。



 翌日、俺達はパラテの町を出発した。

 今回の旅の目的地は、アルドヴァンデ共和国の首都レントゥーエレ。そこまでの間にエリフォラの町、サイフィドルの町、ペテズォムの街を通過することになる。

 エリフォラの町までの道中にはセプタデッテの荒野があるが、そこから先はカエルム街道が通っている。


 しかし、街道と言っても町とか村のように魔獣除けの【結界魔法】が掛けられている訳ではない。

 まあ、冒険者のおかげで強力な魔獣は街道の内部に入ってこれないんだけど。

 ちなみに、共和政府は街道の警備などにお金を出していないらしい。やっぱり悪徳で強欲な政府だ。


 さて、俺達はセプタデッテの荒野を歩いている。出てくる魔獣は低レベルで、目新しいスキルもないので気にせず潰している。

 と言っても、実際俺に魔獣討伐の役割が回ってくることはないんだけどね。俺以外のメンバーだけで次々と魔獣が処理されていく。


 使用している武器の性能を引き上げたおかげで以前よりも増して強くなっているな。特に聖、リーファ、白崎、レーゲンの四人が目覚ましい活躍を見せている。


 もうそろそろ俺もお払い箱にされそうだな。ここまで強くなったのなら、もう使えないモブキャラは追放だろう。

 実際、魔獣達との戦闘はほとんど白崎達が引き受けて俺が補助になっていない補助に徹しているってのが続いているし。

 全くなんで使えないモブキャラをパーティに入れるのか意味不明だ。まだ使えるんだったら使い潰すくらいに扱き使えばいいだろうに。


 そんな感じで特に危険もなくセプタデッテの荒野がを突破し、エリフォラの町に到着したが、まだ日が高いのでこのままサイフィドルの町を目指すことになった。

 この分なら二、三日で首都レントゥーエレに到着するんじゃないか? 【智慧ヲ窮メシ者】の計算でも俺の予想と同じような結果が出ている。


 アルドヴァンデ共和国、自由諸侯同盟ヴルヴォタットも国土全体はかなりの広さだし、実際に旅をすればかなりの時間が掛かる。

 それは、魔獣の強さだったり、旅をするメンバーの体力だったり、補給が必要だったり、寄り道があったりと、まあ色々だ。


 だけど、俺達の旅は常に最短距離を進んでいるし、一箇所に数日間留まって英気を養うこともないし、〝移動門(ゲート)〟があるからある程度無茶もできる。

 旅の速度が人並み以上に早いのは、まあそんな辺りが理由だろう。


 白崎達は勇者パーティだから、体力に関しても問題ないからね。寧ろ、モブキャラの俺が足を引っ張らないか毎日戦々恐々してます!


 カエルム街道に入ってからはかなり歩き易くなった。たまに馬車の往来も見られるから、これでもかなり安全な方なのだろう。出てくるのもゴブリン程度だし。

 白崎達は魔法すら使わずに次々とゴブリンを殲滅していく。かつてゴブリンの群れにやられそうになっていたのが遠い昔のことに思えてくるな。まだ、二ヶ月も経ってないんだけど。


 二十分ちょっとでサイフィドルの町に到着した。

 【智慧ヲ窮メシ者】によると、この町はエリフォラの町よりも設備が充実しているようだ。冒険者ギルドもあるようで、武器屋や防具屋も充実している……まあ、ミスリルレベルの装備は売ってないんだけど。あの辺りは首都とかそういうところに行かないと手に入らないからな。


「草子君、この町には冒険者ギルドがあるらしい……って、草子君も知っているか。依頼を見てきたいんだが、行ってもいいか?」


 サイフィドルの町に入ったところで、朝倉がそんなことを提案してきた。

 確かにアルドヴァンデ共和国の依頼情報は、自由諸侯同盟ヴルヴォタットでは手に入り辛い。勿論、連絡を取って貰えば可能だろうが、あんまり現実的な話ではない。

 冒険者なら冒険者ギルドは逐一チェックすべきか……俺って冒険者じゃないからそういうのってあんまり考えないんだよね。


「そうだな……今日はここまでにして後は自由に行動ということにしようか? さて、俺は屋敷に……」


「草子君も一緒に来てくれないかな? 草子君と一緒に町を巡りたいから」


「白崎さん、抜け駆けはズルいわよ! 草子君、あたしと一緒に町を巡らない?」


「聖さんも人のことを言えませんよ。草子さん、私と一緒に巡りましょう!」


 うん、よく分からない展開になった。美少女三人(ただし、二名欠陥品) が俺を巡って争っている? うん、俺の自意識過剰だな。


「……私、乗り遅れてしまいましたわ。今更名乗りをあげるのも無理そうですし…………あれ? イセルガの姿がない!! しくじりましたわ! 私のしたことが見失ってしまいました」


『やれやれ……こっちもアイリスを見失ってしまったリプ。多分変身を解いて地味な姿に戻っているから見つけにくそうリプ』


 イセルガとアイリスは勝手に自由行動を開始したようだ。アイリスはまあ大丈夫だとして、イセルガ……合流できなかったら置いていかれるぞ。まあ、イセルガ的には置いていってもらった方が嬉しいだろうけど。


「草子君、私達はイセルガとアイリスさんを探してきますわ!」


 そう言って、ロゼッタはクリプを肩に乗せて人混みの中に消えていってしまった。


「……まあ、ロゼッタさんなら大丈夫だろう。俺達は冒険者ギルドに向かうか」



 ロゼッタとクリプ、姿を消したイセルガとアイリスを除いたメンバーで冒険者ギルドに入る。

 目的は白崎達がこの辺りの依頼の確認、レーゲンが冒険者登録ということになる。


 ちなみに、進藤達はまどろっこしいということで冒険者登録をしないことにしたらしい。……コイツら、もしかしてタダ飯ぐらいになるのか。折角筋肉は使うもの派なのだから、少しは稼ぎにも使ってもらいたいものだ。


 俺は白崎達に半ば巻き込まれる形で付き添いとしてついてきたんだが、そこで予想外の者達に再会することになった。


「お久しぶりです! 能因先生!! まさかこんなところで会えるなんて」


 陽だまりのような笑顔が似合う豹の獣人の女の子。確か、俺が助けた奴隷の一人だった筈だ。

 その隣には美少女なドワーフと可愛らしい顔立ちのエルフの少年の姿もある。


 そうだ、思い出した。確か冒険者を目指す組にいた年少の三人組だ。

 エルフとドワーフって仲が悪いのがテンプレだけど、この二人は仲良しだったから印象に残っていたんだろう。


「よっ、久しぶり。元気にしてた?」


「能因先生もお元気そうで何よりです」


 エルフの少年――ライヤが優しい微笑みを浮かべる。


「能因先生、私達金ランクになったんですよ!」


「それは凄いな。凄い昇格速度だ。俺なんて冒険者にすらなれなかったからな」


「能因先生の強さは、冒険者などという物差しでは断じて測れません! アルルの町のディオルさんも大層悔しがっていましたよ」


 あのおっさん、悔しがっていたのか? つくづく見る目がないおっさんだ。こんなバグったモブキャラを勧誘できなかったからって不利益はないだろう?


「ところで、そちらの方々は?」


 ライアの言葉を切っ掛けにして、自己紹介が始まった。

 飛び交う言葉に、一々野次馬の冒険者達が反応していたが、まあ気にすることでもないだろう。


 白崎達は現在、白金ランクに至っている。伝説の勇者の一行が白金ランクの評価に甘んじているのは、単に必要な依頼数をこなしていないからである。

 実力的には昇格してもおかしくない。


「そういえば、能因先生の知り合いだという方々がこの冒険者ギルドを拠点に活動していますよ。今はいませんが、もうすぐ戻ってくると思います。志島恵さん、一薫さん、柊眞由美さんです」


「……誰? その人達?」


「……また、草子君忘れちゃっているのね。志島恵さん達はよく一ノ瀬さん達と一緒にいた……ちょっとオタクな趣味の人達よ」


「一ノ瀬って誰?」


「志島さん達と一緒にいた女の子っぽい男の子って言えば分かる?」


「……ああ、思い出した。オタ(特殊)と腐女子ね。ヘイト溜め込んでいるランキング、堂々の第一位。まあ、同郷の誼みで、【即死魔法】で楽にしてやるか」


「草子君、殺しちゃダメよ!!」


 折角楽にしてやろうと思っていたら、柴田に止められた。

 え〜? 殺しちゃダメなの? アイツら、自分達の都合のいい時だけ人のことを利用した最低の連中だよ!!


 志島達を待つことになったので、イオン、ライヤ、リーシャと近況を報告し合うことになった。

 といっても、俺って誇れるような近況って無いんだよね。だってモブキャラだし。


「白崎さん達は白金ランクに至ったんですね! 流石です!!」


「そ、そうかな? ただ、依頼をこなしていただけなんだけど、気づいたら結果がついてきただけだし……それに、これくらいじゃまだ満足できないんだよね。もっと強くならないといけないって」


「まあ、白崎さん達は勇者パーティだから、目指しているものがやっぱり違うんだよ。いや、もういつ捨てられるかって心配で、心配で?」


「「「「「「「「「「そんな訳ないでしょ!!」」」」」」」」」」


 えっ? いや、だって明らかに足手纏いじゃん、ヒモ男じゃん。……縛りプレイでもしているのだろうか?


「能因先生はどんな成果を挙げられたのですか?」


 イオン、それもう成果を挙げているのが前提になっているから。


「成果って言ってもな……昨日、研究が認められて? エリシェラ学園の新設された客員教授に任命されたけど……それくらい?」


「「「「「「「「「「「「「エリシェラ学園の客員教授!!」」」」」」」」」」」」」


「……草子君、聞いてないわよ」


「そりゃ言ってないもん。一々報告するようなことでも無いだろう?」


「エリシェラ学園といえば、自由諸侯同盟ヴルヴォタットで最高峰と言われる貴族の学園ですよね! やはり、真の審美眼を持つ方にしか能因先生の凄さを見抜くことはできないのですね!」


 ライヤ、それって冒険者ギルドに対するdisり?

 そうこうしている間に、志島達が帰ってきた。


 白崎達と再会を喜んでいる。蚊帳の外だ……まあ、いいんだけどね。

 志島達は冒険者の女性と一緒に行動していたようだ。なかなかの腕前の魔法師ようだし、志島達の幸運はこの人と邂逅できたことにあると考えて、まず間違いなさそうだな。


 普通、異世界に召喚されたら余程の幸運が無い限り、序盤でTHE ENDなんだよ。槍一本で生き残れる脳筋達がおかしいんだ。


「みなさまぁ、お集まりのようですねぇ〜」


 冒険者ギルドの入り口付近に、突如一つの影が現れた。

 道化(ピエロ)のようなメイクをした長身の男……レベルは500か。


「はじめましてぇ、わたくしは白傭道化団(ホワイト・サーカス)所属、“歓喜”のジェスター=オーサーと申しますぅ。本日は能因草子様にご用件がありましてぇ、参上仕りました〜」


 白傭道化団(ホワイト・サーカス)……中●道化連の友達なんだろうか?

 しかし、ピエロ……異世界でピエロは厄介な存在ってのがテンプレなんだよな。


 ……さて、どうしたものか。

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