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なんだよ!2(仮)  作者: 剛田豪
第一章 完結編
36/68

鼻輪物語

「なるほど」

 カレンの【なんちゃって宇宙論】に頷くドラゴン。

 俺は玉を七つ集めてもいないし、ドラゴンを呼び出した覚えもない。

 死んだ親友を生き返らせたいわけでも、ギャルのパンティが欲しいわけでも・・・

 いや、このドラゴン、見た目は、あの神的竜とは少し違う、中華風でも和風でもなく、う~ん、欧州風というか・・・とにかくデカい顔だ・・・

 そのデカい顔のあちこちに金の装飾品が光っている。

 王冠やピアス、一番目立つのは牛のような『鼻輪』だ。


「鼻輪って・・・これはピアスです。鼻ピーです。ほら舌にだって入れてますよ。美しいでしょ、黄金のピアス」

 ドラゴンはそう言って口を大きく開け、その巨大な舌を見せた。

「ひぃぃぃ!」

 その光景にさらに怯えるサキュバス三姉妹。

「ああ、驚かせてスミマセン。サキュバスさんたち、そんなに怖がらないでください。あなた方を喰らったりしませんよ。私は黄金以外に興味はありませんから」

 どうやら、このドラゴンは紳士的で温厚なヤツらしい。


「な、なぁエムプ、あの金ピカなドラゴンは・・・ひょっとして・・・」

「ええ、あの目の下の傷・・・間違いないわ、アルプちゃん・・・」

「二人ともスクプと同じ事考えてたの?じゃあ、やっぱりアイツは・・・」

――強欲のワーム、ハフニール!――

 三姉妹の言葉に、温厚そうに見えたドラゴンの眼光が鋭くなった。

 あれ?ヤバくね?

 睨んでるよね、怒った?


「はぁ・・・」

 俺の心配をよそに、ドラゴンは残念そうに大きな溜息をついた。

「強欲、強欲って言うけどさぁ、黄金だよ。欲だって出るっしょ!それに、神が呪いを込めた黄金だし、執着しちゃうのも無理ないよね」

 なんかドラゴンが言い訳しだした・・・

「大体さぁ、神のくせに呪いって何よ?黄金だって奴らが僕の弟を殺した賠償金なのに、それに呪いをかけるって、普通しないよね」

 えっと・・・なんて答えれば良いのやら・・・


「親父だってさぁ、自分の息子殺されて金で解決しようなんてさ、アイツの方が強欲だと思うんだよ」

 酔っ払ったオッサンの愚痴を聞いている気分だ・・・

「まぁ、結局、その親父も僕が殺しちゃったんだけど、それもこの黄金の鼻輪の呪いな訳だし、元々僕たちはドワーフだし、親子喧嘩で殺し合いとか、そんな珍しくもないんだよね」

 そうなんですか・・・ドワーフってなんだっけ?

 てか、ピアスじゃなかったんですか?鼻輪でいいんですか?


「一番下の弟だってさ、なんだよ、僕に文句があるんだったら、直接言いに来いつーの、勇者だかなんだか知らないけど、他人を使って僕を殺そうなんてさ、そりゃ、僕は父殺しですけどね、呪いでドラゴンになっちゃったけどさ・・・」

 ため息交じりのドラゴンの愚痴を間近で聞く俺・・・

 ため息と一緒に炎とか吐かないだろうな・・・

「ケントさん、あのドラゴンは毒を吐きますよ・・・」

 カレンが俺に耳打ちした。

 毒を吐く?

 毒舌とか、悪口とか、そういう意味?

「そんな比喩的表現じゃなくて、マジに猛毒を吐きます」

 マジで?

 どうすんだよ?

「とりあえず、私たちはじんわりと距離を取つつ、ヤバそうになったら転移魔法で逃げます」

 ちょっと待て、俺はどうする?

「ケントさんには、鎧があるじゃないですか。あれなら、ドラゴンの毒を浴びても平気です、たぶん・・・」

 でも、今、変身ベルトしてねーぞ・・・

「もう、やっぱりカエル並みの脳みそですね。思い出してください、ここがどんな世界なのかを・・・」

 あ、俺の認識世界だ・・・

 そうか、あの伝説の勇者の鎧を俺が思い浮かべれば・・・

 と、思った瞬間、俺の体に鎧がフル装備された。ドローンが頭に突き刺さる事もなく、痛み無しに兜まで装着できたのだ。ラッキー!


 だが、アンラッキーな事に、ドラゴンが鎧を装着した俺を見て顔色を変えた。

「貴様・・・」

 物凄い形相で俺を睨みつけるドラゴン。

「あ、あのこれはですね、戦う気とか全然なくてですね、万が一ドラゴンさんの毒が吐かれた場合の保険みたいなものでして・・・」

 俺の必死の言い訳にもドラゴンは聞く耳を持たずブチ切れた。

「貴様!勇者シゲオスか!」

 ドラゴンが一歩踏み出した足に踏みつけられ、コタツはペシャンコに潰れた。

 シゲオス?誰、それ?

「ケントさんの何代も前の伝説の勇者です。ハフニールを退治した人です」

 答えたのは、スク水コスのカレンだった。

 ん?スク水?あれ?なんで?

「恐らく、コタツと一緒にリモコンが壊されたのでしょう・・・」

 そう語るカレンの衣装はミニスカポリスに変わっていた・・・

 リモコン?それが壊されたら、お前のコスが変わっちゃうのか?

「あのリモコンは、時間軸の象徴なんです。言わば、この認識世界の柱みたいなものなんです」

 えっと・・・意味が全く分からないんだけど・・・

「ミジンコ並みの脳みそのケントさんにでも分かるように言うとですね・・・」

 ピンク色のミニスカナース服を着たカレンが言った。

「この世界は、崩壊します」



次話予告

 笑えないパロディ・・・

 北欧神話?指輪物語?

 何それ?美味しいの?

 この停滞も完結へ向けての産みの苦しみか?

 避ける事の出来ないイバラの道なのか?


次回「力技」


 世界崩壊まで、あと一話・・・


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ここが原点!
【PART1】


異世界転生ってなんだよ!
~ゲームやらないアニメ見ないラノベ読まない男子高校生って変ですか?

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part1 第21部
『明るい家族計画』
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