三章 十七話 おそろいの冬服
私たちの試着は終わった。
ルカとソエルの服は少し大きかったけど、
これは子供が成長するのを見越して
そうしているんだろうと思う。
私とメリイの服もサイズは少しゆったりした感じで、
悪くないのでそのまま使用することにした。
あとはサウロさんとマローネさんが
確認してそのままでいい様なら、
サイズ調整するために戻る事はないかな。
そんなことを想いながら、
未だ冬服を着用している。
念のためサウロさんにこれでいいのかと
確認するためだ。名目上は…
本当の理由はソエルが「マローネねえに見せたい。」
の一言で決まった。
少し暑くて正直すぐにでも着替えたいけど、
ソエルの楽しそうな笑顔に負けた形だ。
メリイもソエルのその言葉を聞いて、
少し困った顔をしていたし、
同じ気持ちなんだろう……
ルカはソエルの様子を見て
自分も嬉しくなったのか
暑さに弱いと言っていたけど、
笑顔を絶やすことなく
ソエルと服を見せ合いながら
会話が弾んでいた。
子供たちの楽しそうな様子を眺めながら、
サウロさんとマローネさんの帰りを待っていたら、
先にマローネさんが戻ってきた。
マローネ「ただい…ま。」
冬服のまま楽しそうに会話をしている
ルカとソエルを見て少し戸惑っていた。
「「「「おかえりなさい」」」」
と皆の声は重なった。
マローネ「うわぁ…ソエルちゃん可愛いわー。」
そういってソエルの元へ駆け寄って
抱き上げてしまった。
ソエルは帽子をかぶったままだったから
すこし顔が埋もれてしまったけど、
口元は凄く喜んでいる様子を見せていた。
ソエル「マローネねえに見せたくて、
待ってたの。可愛い?似合ってる?」
と楽しそうに訪ねている。
マローネ「凄く似合っていて可愛いわ。」
そう言ってソエルを抱き上げたまま
頬をすり寄せている。
相当気に入った様子だ…
しばらく経って落ち着いたマローネさんは、
ルカにも目を向けて
「ルカも似合っているわね。
少し大きいようだけど、
ルカはこれからどんどん大きくなると思うから、
それ位ならすぐ小さくなるかもね。」
とルカを抱きながら「また重くなって…」と
嬉しそうにつぶやきながらルカも抱擁していた。
ソエルの時は感情が爆発したような感じだったけど、
ルカの場合は母親が優しく包み込むような感じに見えた。
私もルカとソエルを大事にしているつもりだけど、
母親にはかなわないなと思いながら、
その様子を見ていた。
私が
「マローネさんの冬服はソエルとおそろいで、
色も似ていますよ」と言うと
「私も着替えてくるわ…」そう言い残して
部屋へと向かっていた。
ソエルもマローネさんの後を追って付いて行く。
私とメリイはその行動力に驚きつつも
だまって待つことにした。
マローネさんが着替えている間にサウロさんも帰ってきた。
そしてルカを見て、「おお、似合っているなルカ。」と
笑顔を見せながらルカを抱っこした。
抱き上げながらルカの服を確認して、
「少し大きいようだが、これ位ならすぐ丁度良くなるな」
とルカを見ながら声をかけた。
それを聞いたルカも「早くお父さんみたいに大きくなりたい。」
という言葉でサウロさんの目元が緩んだ。
「そうか。ルカは大きくなりたいか!」
と楽しそうに会話をしていた。
マローネさんが着替えを終えて部屋から出てきた。
ソエルと同じような厚手のズボンに、
羊毛で縁取りされたデザイン。
そして上から少し厚めのワンピースに
上着を羽織ったソエルとメリイとお揃いの冬服。
三人を見たサウロさんはマローネさんに声をかける。
「相変わらず似合っているな。
冬は好まないが、冬支度の服は良いもんだ。」
とマローネさんをほめている。
そしてソエルに視線を向けると、ソエルにも声をかける。
「ソエルも良く似合っているぞ。
マローネとメリイと並ぶと可愛い姉妹だな。」
その言葉を聞いたソエルはマローネさんに視線を向けると
マローネさんは優しく微笑んで「もちろんよ、ねーソエルちゃん。」
とマローネさんも嬉しいという気持ちを
ソエルに伝えている。
それが嬉しいのかまたマローネさんに抱き着いていた。
暫くマローネさんに甘えた後サウロさんに
「ねー、サウロおじさんも冬服になろうよ。
皆で冬服で今日はご飯したい!」
その言葉を聞いていたサウロさんが
「そんなに気に入ったのか。
じゃあ今日はそうするか。」
そういうとマローネさんに箱の場所を確認して、
その部屋へと入って行った。
「ソエル。今日は良いけど、
明日からは寒くなるまでは
いつもの服にしようね。
寒くなる前に汚れたら勿体ないからね。」
ソエル「うん!」
と元気に返事をしてくれた。
(最近のソエルは自分から話をして、
自分の意思をしっかり伝えてきてくれる。
こんなに嬉しい事は無いな…)
マローネさんとメリイの服と自分の服を見比べて
可愛い可愛いと何度も言ってた。
ルカも一緒に見比べられていた。
ルカはサウロさんが出てくるのを、
帽子を気にしながらも楽しみなのか
笑顔を見せていた。
サウロさんが着替えが終わって出てくると、
ルカとソエルがすぐに声を上げた。
「おとうさん、かっこいい!」
「わーかっこいい。
サウロおじさん、似合ってる。
かっこいいよ!」
とルカとソエルはサウロさんの腕に抱き着いていた。
その言葉と様子に最初は固まっていたサウロさんだったけど、
笑顔になって、
「そうか。ありがとうな、ルカ、ソエル。」
と頭を撫でていた。
それを受けるルカとソエルもすごく嬉しそうだ。
そうしてその日の夕食は
ソエルの希望通りの家族揃って
冬服のままで過ごした。
ソエルは終始嬉しそうにしていた。
その陰でルカは帽子を常に気にしていた。




