何かを探して
翌朝、マットなしの簡易ベッドから目を覚ました私は
リビングに足を運ぶ。
そこで食卓の準備を始めているマローネさんと
椅子に座り会話をしているサウロさんとルカ君と目が合った。
「おはようございます」
「おーおはよう。よく眠れたか?」
「「おはよう!ミノリさん。」」
何気ない一言に自然と笑みがこぼれる。
「俺は今日はルカと一緒に木材の調達に向かうが、
ミノリはまだ病み上がりだからな。
今日まではのんびりしておけよ?」
とサウロさん
その言葉にルカ君も続く
「本当は一緒に居たいけどお手伝いしたいから、
また今度一緒にあそぼうね」
と言ってくれる。
親の元に無事戻れて本来の明るさが戻ったかな?
と思いつつ嬉しい気持ちになる。
マローネさんのおいしい食事を食べ終えた私。
サウロさんとルカ君は先に伝えていた通りに森に向かっていった。
残った私は詳しい話を聞くために少し時間を頂いて
マローネさんから昨日よりさらに詳しい話を聞くことが出来た。
マローネさんは木工職人として
村の為の食器類を作り
商人との取引様に動物の置物や小物入れなども
食器ほどではないけどそれなりの数を作るらしい。
そして手の空いた時は家の横にある作業場
その脇にある畑で野菜を育てているらしい。
野菜は趣味程度らしいけど一見するとこれが趣味の範囲?
と思うほど結構な広さがあった。
私は話を聞いた後、村を見て回ることにした。
お世話になる以上何か手伝える事は無いか探すためだ。
力を使えば簡単だけど後に残るのはなにかを考えると
むやみに手を出すのも違うように感じる。
出来る限りは体一つで何か手に職を付けたいと思っていた。
村という割に柵の範囲はかなり広いようだった。
近くに森があるから木材には困らないのかな?
と思いながらさらに散策する。
マローネさんや村長の家は割としっかりした作りだったけど
それ以外の家は結構古いイメージを受けた。
家は小さいけど小さい畑が各家についてるけど
自給自足するには足りない気がする。
どこかに畑でもあるのかな?と思いつつさらに歩いて行く。
商店らしきものを見つけた。
昔見た店前に野菜がならんだ古き良き感じ。
良いなーとのんびり眺めながら歩くと店番をしていた女性が
声をかけてきた。
「あらけがをしていた人じゃないの?」
その声に足を止め振り返ると若い女性が声をかけてきた。
暫く硬直しると
「何?変な顔をして。
一応私も関係者だよ?
ニルスさんのお手伝いもしているからね。」
との事。
私はニルスさんの名前を聞いて
すぐに反応して言葉を返した。
「失礼しました。私の名前はミノリと言います。
ニルスさんには大変お世話になりました。」
と頭を下げようとする私に即座に声をかける
「あー気にしない気にしない。
私の役割でもあるしね。
この村は持ちつ持たれつが当たり前だから。
私の名前はセリア。ルカの母親とはお友達だよ。」
話を聞くとマローネさんとは親友の様な関係だそう。
ルカ君をご両親と一緒になって大事にしているらしく
私も嬉しい気持ちになった。
そして薬師である村長の助手的な事もしているらしい。
その話の途中で近々定期的に町へと向かう商人さんが
途中にあるこの村にも顔を出すらしい。
町と町の間少しそれる位置にこの村があるっぽい。
そうした情報を教えてもらいつつ
セリアさんとの雑談を終え再び散策。
商人さんかー。
どんなものを売ってるんだろう。
作ったものを売る良い判断材料になると良いんだけど・・・
そう色々と模索しながら歩いていると
野良猫を見かけた。
「うわぁかわいいなー。」
生前飼う事が叶わなかった猫を飼うという生活。
体が自由な今なら飼っても良いんじゃないか?
そう思いつつも別れる時の悲しさも理解しているし
暫くは自分の生活の安定を先にすまさないと・・・
と未来に猫を飼うという夢を思い描きつつ村を見て回った。
ある程度見て回って分かったのは策の中には
家と畑が隣接して各家庭があり、
農家として生計を立てている家庭は策のそとに
さらに大きな畑を作っているらしい。
一部の農家さんはマローネさんの木製桑を使い
新しく畑を拡張するときは商人から仕入れた
鉄製を貸し借りしつつ開拓をするとの事。
「持ちつ持たれつか・・・」
深く思いをはせる言葉を呟きながら歩いていると
ルカ君の家まで戻ってきていた。
ちょっと思ったことを実行しようと中に居る
マローネさんへ声をかける。
「すみません。自分の出来る事を探したくて
良ければ作業所を見せて頂いても良いですか?」
と声をかける。
するとマローネさんが答える。
「すぐに無理をする事は無いのよ?
見たいのなら自由にしてもらって良いけど、
ほんと無理は駄目よ?」
感謝の言葉を伝えて
家の横にある作業所へ向かう
個人で所有しているには結構な大きさだった。
村長並みの大きな家に住んでいる理由も何となく理解できた。
中には切りかけの丸太が無造作に置かれていて
外にある大きな木材より少し加工された丸太。
乾燥が済んだものかな?
がこれもまた端で転がっている。
さらに小さいものは立てかけてあった。
作業台の様な物の下には壊れたのか
刃が欠けたり持ち手が壊れている斧や
持ち手の折れた桑などが数点置かれてあった。
そうか重機などないから積み上げてスペースを維持するのも難しいのか。
現代社会とのギャップを痛感しつつ少し思考する。
何か手伝る事・・・
いや何も考えず助けるだけなら可能。
でもそれでは意味がない・・・
少し、ほんの少し便利になるような物。
私以外でも作れるような物ならあるいは・・・
そして私はある決意をする。
木製の滑車なら・・・
桑や斧とかならと。
そう思いながら、私は目の前の壊れた農具を見つめていた。




