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魔法世界の怪獣王国〜魔力ゼロで底辺奴隷だった僕ですが、自然の摂理を超越したマイペースな怪獣たちの王様になりました〜  作者: 同歩なり


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第41話 怪獣キングダムの未来(おまけ)

 ピグモーのお肉を振る舞ってから二日が経った。

 完全に枯渇していた周囲の魔素も、少しずつだが回復の兆しを見せている。


 それに合わせて、エルフたちの顔色も見違えるほど良くなっていた。

 魔素だけでなくピグモーのお肉による栄養補給と、休息の効果もあるだろう。


 衰弱しきっていたエルフ魔導兵たちだったが、そろそろ撤退行動ができるレベルまで回復しているようだ。


 エルフ魔導兵たちが撤収の準備を進める中、僕はゼラルドとエリシアさんと向き合っていた。

 魔力と体力が回復して、すっかり復活したゼラルドが威厳をもって言った。


「……なんとか撤収ができそうだ。世話になったな、怪獣王」


 相変わらず偉そうな雰囲気ではあるが、初対面のときにあった敵意は、もう感じられない。


「うむ。やっと魔素が復活したか、長かったな」


 僕が言うのもなんだが、丸三日以上も効果が続くとは思わなかった。

 エルフにしたら僕の能力は相当に厄介だろう。


「これから国に戻り次第、今回の件は約束通り上に報告するつもりだ」

「そうか、正確に伝えるのだぞ」


「ああ、わかっておる。怪獣の国は理性的で、無益な殺戮を好まないこと。その温情に救われたこと……そして、貴様の持つ怪獣王の力、すべてを正確に伝えよう」


 ゼラルドは誠実で賢そうなので、この言葉は信用できる。


 そして、ゼラルドは『王国守護魔導軍総長』という要職にある貴族の配下らしい。

 総長の名はガルドラといい、ゼラルドの師匠でもあるそうだ。


 さらにゼラルドは「覚えておいた方が良い」と言って、現在の神聖エヴァリス王国の政治情勢について、詳しく教えてくれた。

 その話を要約すると、こういうことらしい。


 まず、現在の国王は徹底した『魔力至上主義』であり、人間や魔力を持たぬ者を冷遇している。

 それに対し、国内には人間との融和を掲げる『共存主義派』も存在し、彼らは次の国王選挙で新国王候補を擁立する動きを見せているそうだ。


 神聖エヴァリス王国では、七年に一度、国王選挙が行われる。

 その選挙権を持つのは『七賢公』と呼ばれる七人の貴族のみ。

 つまり次期国王を決めるのは、七人の権力者たちの投票次第ということになる。


 第一座 王国魔導大司教

 第二座 王国守護魔導軍総長

 第三座 王立魔導学院長

 第四座 王宮大典書記長

 第五座 聖銀山脈総監

 第六座 交易都市総監

 第七座 大河領水総監ベリウス


 これらが王国の行方を左右する七賢公だ。

 神聖エヴァリス王国の制度では、この七賢公のうち、過半数の支持を取り付けた者が新国王になるそうだ。


 政治の話は難しく一気には覚えられないが、要するに七賢公のうちの四人を味方にすれば良いのだろう。


 選挙の結果、共存主義派の新国王が誕生してくれれば話は早いと思う。

 とはいえ、何年も選挙を待っている気はない。

 次の選挙はいつなのだろうか。


「なるほど、制度はわかった。それで次の選挙はいつなのだ?」

「来月だ」


 思ったより、すぐだった。

 僕ら怪獣や人間としては、共存主義派の国王候補を推すしかない。


 「私の主である第二座の総長は、合理的な方だ。今回の私の報告を聞けば、少なくとも怪獣を無闇に敵対視することはなくなるだろう」


 ゼラルドは力強くそう言ってくれた。

 まずはゼラルドを通じて、第二座の総長に話が通じるというのは大きい。


 僕との会話のあと、ゼラルドは全軍を集結させる。


「全軍へ通達、ただ今より行動を開始する。皆、今回の結果を恥じることはない! 王国へ向けて撤収だ!」


 ゼラルドの号令とともに、エルフ魔導兵たちは整然と隊列を組み、王国の方向へと歩き出した。

 ただ、整然としてはいるが、ちらちらとピグモーの方を見ているエルフ魔導兵が多い。

 やはりピグモーのお肉が美味しかったので、名残惜しいのだろう。


 エルフの胃袋を掴んだことに満足しつつ、僕は隣にいるエリシアさんに向き直り、声をかける。


「ついに去ったな」

「はい、やっとですね、レグオン殿。それでは、さっそくですが私たちも戻ります。今回は本当にありがとうございました」


 エリシアさんはこの数日間、お礼ばかり言っていた。

 あと早くフィオナ殿下に報告したいようで、エルフ魔導兵たちが撤収するのを一番心待ちにしていた。

 リーダーとして振る舞ってはいるが、ソワソワしている様子を隠せずにいたりして、とても可愛らしかった。


「うむ。エリシア殿もこれからが大変だろう」

「そうですね。私たちもフィオナ殿下とともに頑張ります」


 エリシアさんは明るい笑顔で深く頭を下げると、仲間たちを連れて、抵抗勢力の拠点へと引き上げていった。

 エリシアさんたちとも、また近いうちに会うことになるだろう。


 エルフと人間の集団。

 二つの集団が見えなくなるまで見送り、荒野に残ったのは怪獣たちだけとなった。


「ブモモー」と鳴くピグモーは、どこか寂しそうにも見える。

 一部のモフモフはエルフと人間について行きそうになったが、僕が引き留めた。

 モフ芽は周囲の状況に関係なく、すくすくと育っている。

 ホロウホーは特に何も気にせず、いつものようにモフモフたちを見守っている。

 モグログに至っては、騒々しさに耐えかねて、森の静かな棲家へさっさと帰っている。

 怪獣王国(キングダム)の国民は、今日も平和だ。


 そうして、大軍勢の喧騒が消え、風が吹き抜ける荒野に静寂が戻ってきた。

 国王選挙やら七賢公やら色々あるが、大きな山場を越えた安堵感もあり、僕は少し休みたいと思った。

 しかし。


「レオン様、すぐに国王選挙だそうですよ。これは神聖エヴァリス王国内の様子が気になりますね。やはりスパイ活動でしょうか」

「だよねー、またエルフの国へ行くしかないかなー。ね、レオっち?」

「えっ、また行くの!?」


 動揺する僕をよそにエレナとリアナは、キラキラした目でこちらを見ている。

 どうやらのんびりと休息を取る時間はないようだ。


 再びエルフの国へ侵入か。

 こうしてこの先も油断のならない出来事が続くのだろう。


 僕と怪獣王国(キングダム)の未来――。


 なにが起こるかはわからない。

 だけど、楽しげな二人とマイペースな怪獣たちの姿を見ていると確信する。

 たとえ波乱だらけの道中だとしても、最後は平和な世界になるに違いない。


 僕はおもむろに怪獣形態へ変身する。

 力が戻った。はっきりとわかる。

 この圧倒的な力があれば、なにが相手でも負けることなどないだろう。


 僕は王様っぽく雄叫びをあげてみる。


「グルオオオオンンンッッッッ!!!」


 怪獣王の力を示す咆哮が、静寂の荒野に響き渡った。




続きは未定ではありますが、エルフや人間が去ったところで一旦完結とさせて頂きます。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

今後のモチベーションになりますので評価などして頂けると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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