千年の復讐
1000年
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「さあ、復讐を始めよう
我々の国を取り戻すのだ…
1000年かかったが、この――」
男の声が震えながら、しかし確かな怒りと決意を帯びて響く
かつて王国の第一王子であった彼は、かつての名を捨て、
今や亡国の亡霊として、復讐者として、この場に立っていた
◆
セバスチャンは、玉座の前で静かに立っていた
周囲に控える三人の妃――
それぞれが、この国の政治・軍事・諜報を司る存在
だが、その中の一人…第三妃エリザは、
セバスチャンの密命によって、裏切りの心を植えつけられていた
「来たか…亡国の王子よ」
セバスチャンの声は静かで、残酷だった
「貴様の父王は…愚かだった
我が毒にすら気づかず、国政を私に委ねたのだ
だが…それが貴様の恨みの源か?」
王子は叫ぶ
「貴様が父を殺した! 貴様が国を奪った!
そして…私の幼き妹さえ…!」
◆
かつて、王子の妹はこの国の未来の女王と目されていた
だが、彼女はセバスチャンの策略により消息を絶った
その行方は、今も知れない
◆
番人サンズ――時を司る異界の存在が、
王子にわずかばかりの「時間の巻き戻し」を与えた
過去から未来へと幾度も挑んだ末、
王子は今日、決戦の日にたどり着いた
だが、目の前の戦士たちは不死身
通常の剣も、魔法も、毒さえも通じない
セバスチャンがこの1000年で編み出した「不死の軍勢」
「……我が軍は滅びぬ…
貴様の復讐など、歴史の塵に消えるだろう」
しかし――
「それでも俺はやる」
王子は静かに、最後の手段を取り出した
それは――父がかつて禁忌として封印した「神の涙」
「セバスチャン、お前にこれを使うために
俺は1000年、眠れぬ夜を過ごしたんだ…」
空気が震える
「神の涙」を用いれば、世界もろとも消滅するかもしれない
だが、それでもいい
――この国は、セバスチャンに渡しておけない
◆
セバスチャンがわずかに眉を動かした
「……貴様、本気か」
王子は微笑んだ。
「お前の思い通りには、させない」
世界が光に包まれる直前、第三妃・エリザが叫んだ
「……待って! 王子、私も……!」
光が全てを飲み込んだ
――世界は、一度、終わった
◆
だが、
それが終わりではなかった
番人サンズが再び時を巻き戻す
違う未来のために――
続
Sebastian③




