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獣剣の魔女  作者: Dy02-SK
第3章 渦巻く陰謀、邪悪の残滓。
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第82話 漢のロマン。乙女の恋バナ。

第3章 渦巻く陰謀、邪悪の残滓。

第1幕 狂瀾怒濤

第82話 漢のロマン。乙女の恋バナ。


遅くなりましたぁッ!第3章、開幕です!

「うおぉっ……!これがドラゴンっ!デカい!そしてカッコイイ!!」

「かっこいいーっ!!」


 出市の手続きを終えた一行は、門外広場でヴァルとの顔合わせを行っていた。


「思ったより、大きいのね……」

「っスねー……」


 生まれた直後に比べればだいぶ緩やかにはなったが、今でもヴァルの成長は止まっていない。

 この3か月の内にもじわじわと、本当に少しずつ体が大きくなっているヴァルは、蒼穹の面々を不思議そうに見下ろしている。


『この人たちはー?』

「今回の仕事仲間だよ。テンションが高い二人はドラゴンに憧れてて、残りの二人は最初の二人ほどじゃないんだってさ。」

『へー……あれ、そう言えばそっちの子は、あの変な鳥と戦った時にボクの背中に乗せてた子だよね?』

「あぁこの子?そうだよ。名前はノエル。この前話したでしょ?これからは一緒に旅をする子ができたって。」

『ノエルがそーなんだ。よろしくね。』


 身をかがめ、私の後ろに隠れるノエルに鼻先を近づけるヴァル。対するノエルは顔だけ出して様子見の構えだ。


「ノエル、ヴァルは凄く大人しいから、鼻の頭を撫でてみたら?きっと喜ぶよ。」

「……大丈夫?」

「うん。ヴァル、ノエルは緊張してるからおどかさないであげてね?」

『はーい。』


 注意を促したことで意を決したのか、体は私に隠したままそーっと手を伸ばすノエル。

 ヴァルはそれを身じろぎ一つせずに受け入れ、二人は穏やかなファーストコンタクトに成功するのだった。


「ねぇミオ!ボク、ヴァルの背中に乗ってみたい!」

「あっ、俺も俺も!」

「ヴァルが許すなら良いですよ。で、どうする?」

『え~……』


 これは意外な反応。純粋で子供っぽいヴァルの事だから、ほめそやす二人に機嫌を良くして乗せてあげるものだと思っていた。


「嫌?」

『う~ん……乗せるのは、特別な人だけが良いな。』

「あれ?ノエルを初めて乗せた時は他にも二人乗せてなかったっけ?」

『あの時はミオのお願いだったからだよ?』

「え!?もしかして嫌だった!?」

『そうじゃなくて……!ボクが乗せたいって思うのはミオだけだけど、ミオのお願いもそれと同じぐらい大事だから!』

「ヴァル~っ……!」


 思わずその大きな頭に抱き着くと、ヴァルも嬉しそうに頬を摺り寄せて甘えて来た。可愛いなぁ、お前は!

 このところノエルにかかりきりで構う余裕が無かったが、これからはまた一緒に旅ができるから、たっぷりかわいがってあげよう。


「これに割って入るのは、さすがに野暮だな。」

「あら、ようやく遠慮の美徳を思い出したようね。」

「いや、思い出すも何もないだろ……?」

「あなたそれ本気で言ってるの?」

「ミオとヴァルは仲良しなんだね!」


 軽い言葉の応酬を始めたレァクーラとアクティウラ。にこにことご機嫌そうなエヴァルと、すでに先頭車両の御者台に座り目を閉じるフェアト。そしてとりあえず私にひっつくノエルに久々のなでなででご満悦なヴァル。

 それぞれが好き勝手しているせいで、場は少々混沌とし始めていたが、そこに依頼主の一喝が入る。


「皆さん!準備ができましたから、そろそろ出発しますよ!馬車に乗り込んでくださいね!」

「だ、そうよ。はぁ……まったく、あなたとこの手の話をしてもキリがないわね。」

「いや、最初に突っかかってきたのはお前―――」

「おだまり。無駄口をたたく暇があったらさっさと乗りなさい。依頼主を待たせるなんてありえないわ。」

「解せぬ……」


 不満げなレァクーラは先頭車両へ向かい、私も含めた女性陣三人で後方車両を守ることとなった。


 全員が席に着き、御者が手綱を振るう。

 私の新たな旅立ちであり、二度目となる護衛依頼はこうして和やかな空気の中で始まるのであった。



***



「それで……私、ミオさんに聞きたいことがあるのよね。」


 しばらく馬車に揺られ、どこまでも続く森の景色に飽きてきたころ。正面に座るアクティウラさんが口を開いた。


「聞きたいことですか?」

「そう―――」


 彼女の口元が弧を描き、目を細め、身を乗り出して熱く語りだす。その剣幕に驚いたノエルが、私の腕に抱き着いた。


「ミオさんに熱烈なアプローチをしていたあの方とはどのようなご関係なのかしら?不躾なのは分かっているのだけど……ほら、長旅は話に花を咲かせてこそでしょう?よかったら聞かせていただけないかしら?」

「あ、それボクも気になってた!ちょっとだけ聞こえちゃったんだけど、恋人なのかなって。」

「か、彼ですか……端的に言えば友人ですね。恋人ではないです。」


(なるほど、これが噂に聞いていた恋バナというやつか……)


 苦笑いを浮かべる私は、正直に事実を答える。


「あらそう?てっきりあの方が告白したのかと思っていたのに。出発直前、引き止めるように思いを打ち明ける―――凄くロマンチックでしょう?」

「そうなんですかね?告白自体は以前にされたんですが、色々無理があったので断ったんです。先ほどのは、別れの挨拶と再会の約束でしたね。」

「無理?」

「ええ。私たちはお互い冒険者なんですが、実力に結構な差があるので同じパーティで活動するのは難しくて。」


 そこでエヴァルが手を打った。


「あ~!だからあの人は『いつか凄い人になる』って言ってたんだ~。」

「なるほど……けれどミオさんと同等に強くなるというのは、中々修羅の道になりそうね……」

「諦めるようには言ったんですけど、聞いてくれなくて。」

「なんて一途な恋!羨ましいわ……!」


 最初こそ二人の勢いに圧倒されたが、話してみれば意外と 悪くない―――というかむしろ楽しくなっている自分が居る。

 その後は取り留めなく話題を出し合って会話を盛り上げ、一日目は退屈することもなく宿場町へとたどり着いた。

あとがき


 のんびりゆったり日常回、穏やかな旅の始まりを告げる話となりました。

 今回は特に解説とかもありませんし、この先の展開はただのネタバレになるので言えませんし、何を話せばよいのやら……


 では新登場となった4人組のCランクパーティ『蒼穹』についてちょっとした深掘りとしましょう。

 まずリーダーのレァクーラ。自信に満ち溢れ、常に物事の先頭に立って全体を引っ張る役回りを担っているエネルギッシュな好青年。年齢26歳。弓の腕はルートよりもさらに上であり、Cランク冒険者として積んだ豊富な実戦経験をパーティの指揮に生かしている。

 アクセル全開なリーダーのお目付け役、アクティウラ。学園都市イルムに数多く存在する魔術学校の内一校の卒業生。年齢24歳。実力だけで見ればCランクにも届く逸材であり、今後の活躍に期待する者は多い。

 こちらもまたテンションが高く天真爛漫なエヴァル。精神年齢はヴァルに近いが、その知識は年相応だ。年齢17歳。『蒼穹』トップの討伐数をマークする……?正k、相当な実力者であり、パーティのメイン火力を担う。

 アクティウラを除いた前述の二人とは違い、影の薄い縁の下の力持ち。フェアト。罠や周辺の痕跡を探る専門のシーフで、実際に盗んだりはしない。年齢28歳。罠解除、痕跡探索に長けており、ダンジョン挑戦時には大活躍となる。


 ってな感じになります。

 それではまた、次回でお会いしましょう。

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