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2026戦後彼らが迎えにきた  作者: 不可思議ラボ


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1/7

第1話 世界人口が半分になった朝

二〇二六年十二月三十一日。

世界人口が

半分になった朝。

僕は地下駐車場で

目を覚ました。

最初に感じたのは

静かすぎることだった。

車の音がしない。

電車も走っていない。

飛行機の音もない。

聞こえるのは

遠くで何かが燃える音と

誰かの咳だけだった。

頭が痛い。

口の中には

鉄のような味が残っている。

腕時計を見る。

午前六時十二分。

十二月三十一日。

大晦日だった。

本当なら今ごろ

今年最後の一日が

始まっているはずだった。

僕は三十歳。

東京で会社員をしていた。

少なくとも

三日前までは。

地下駐車場には

十七人が逃げ込んでいた。

動いているのは

僕を含めて九人。

残りの八人は

もう起きなかった。

「外を見るな」

壁際に座っていた男が

僕に言った。

それでも僕は

階段へ向かった。

何が起きたのか。

自分の目で

確かめたかった。

地下から一階へ上がる。

自動ドアは動かない。

割れたガラスをまたぎ

外へ出た。

そこで

足が止まった。

東京が

なくなっていた。

正確には

街そのものは残っている。

だが

僕の知っている東京ではない。

ビルの窓は砕け

道路には車が放置され

遠くから何本もの

黒煙が上がっていた。

空は灰色だった。

太陽さえ見えない。

三日前。

世界各地で続いていた戦争が

突然別の段階へ進んだ。

核兵器が使用された。

そして報復が始まった。

一発では

終わらなかった。

二発。

三発。

その後は

誰にも分からない。

世界各地で

核兵器が使用された。

第三次世界大戦。

地下へ逃げ込む直前

ニュースはそう伝えていた。

東京にも

攻撃はあった。

僕たちがいた場所は

爆心地から離れていた。

地下へ逃げる時間もあった。

だから生き残った。

ただ

それだけだった。

「つながった!」

地下から声がした。

僕は急いで戻った。

一人の男が

スマートフォンを握っている。

電波は一本。

ニュースサイトは

ほとんど開かない。

動画も見られない。

それでも

短い緊急情報だけが

断続的に届いていた。

国内から。

海外から。

生き残った機関が

発信しているらしい。

情報は

バラバラだった。

だが

何度も表示される数字があった。

世界人口推定。

僕は画面を見た。

「嘘だろ……」

誰も答えなかった。

表示されていた数字は

戦争前の半分以下だった。

しかも

推定値だった。

正確な死者数を

数えられる状態ではない。

都市が消滅した地域。

政府機能を失った国。

通信が完全に途絶えた場所。

国家そのものが

残っているのかさえ

分からない地域もあった。

たった三日。

たった三日で

人類の半分以上が消えた。

今日は

十二月三十一日。

テレビでは毎年

今年一年を振り返っていた。

今年の出来事。

今年の流行。

今年亡くなった人。

そして最後には

新しい年を迎える。

だが今年は違う。

二〇二七年を

迎えられる人間が

どれだけいるのか。

誰にも分からなかった。

午後。

僕たちは

地下から外へ出た。

水。

食料。

薬。

生きるために

必要なものを探した。

僕は壊れたコンビニから

水を運び出していた。

そのときだった。

隣にいた女性が

空を見上げた。

「ねえ」

僕も顔を上げる。

女性が指をさした。

「昼間って

星見えたっけ?」

灰色の雲の向こうに

小さな光があった。

一つ。

二つ。

三つ。

五つ。

十。

「飛行機?」

誰かが言った。

違う。

動いていない。

光は

空に静止している。

その数が

さらに増えていく。

二十。

三十。

もう数えられない。

やがて

一つの光が大きくなった。

近づいている。

雲が

ゆっくり割れた。

黒い何かが

姿を現した。

巨大な円盤だった。

あまりにも大きい。

高層ビルが

小さく見える。

誰も声を出せなかった。

その後ろから

もう一機現れた。

さらに一機。

また一機。

空が

黒い円盤で埋まっていく。

「宇宙人……?」

誰かが呟いた。

その瞬間だった。

スマートフォンが震えた。

一台ではない。

その場にあった

すべての端末が

同時に鳴った。

圏外だったスマートフォンまで

画面が点灯している。

緊急速報。

だが

発信元がない。

画面には

見たことのない記号が並んでいた。

記号が動く。

形を変える。

数秒後。

日本語になった。

『地表生命体へ』

誰かが

小さな声で読み上げた。

次の文章が現れた。

『核兵器使用を確認』

僕は画面を見つめる。

さらに続く。

『文明維持条件を逸脱』

意味が分からない。

そして

次の文章。

『管理規定に基づき

介入条件が成立しました』

「管理……?」

誰かが呟いた。

何を

管理している?

誰が

誰を管理している?

その瞬間。

巨大な円盤の底が

青白く輝いた。

街の向こうへ

光の柱が降りる。

「伏せろ!」

全員が地面に伏せた。

核攻撃の次は

宇宙からの攻撃。

僕は

そう思った。

だが。

爆発は起きなかった。

熱も来ない。

衝撃もない。

恐る恐る

顔を上げる。

光は

静かに地上を照らしていた。

スマートフォンが

もう一度震えた。

『観察段階を終了します』

観察?

僕はその言葉を

何度も読み返した。

何を

観察していた?

いつから?

画面が暗くなった。

数秒後。

最後の一文だけが

白く浮かび上がった。

『地球再生計画を開始します』

僕は

空を見上げた。

十二月三十一日。

人類は

新しい年を迎えようとしていた。

でも

僕たちはまだ知らなかった。

彼らが来たのは

地球を侵略するためではない。

人類を

救うためでもない。

もっと単純で

もっと恐ろしい理由だった。

この地球は

最初から彼らの管理下にあった。

そして僕たち人間も

地球に生きる

すべての生命も

彼らが長い時間をかけて

観察してきた

実験対象だった。

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