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癌の告知を受けたなら  作者: もちづき裕
現実をスワイプ編
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第一話  私も言っても良いですか?

現実をスワイプ編を開始します。そんなに長くならないので、お暇潰しにでも読んで頂けたら幸いです!

 この前、ネット上でアップされていたもので、抗がん剤治療をして半年後、夫と喧嘩をした後にソファに寝転んだら身動きが取れなくなったという体験談が載っていたんです。


 夫との喧嘩で精神的にダメージというか、とにもかくにも、

「私、本当に疲れている!」

 疲れ過ぎて身動きが取れない。ということだったそうなのです。


 なるほど、なるほど。それじゃあ私も言っても良いでしょうか?

「痛い! 痛い! 痛い! うぐぁああああ!」

 前回、旅行中に高熱を出している時にも関節痛、むっちゃ強い!と書いていたかと思うのですが、これがもう、本当に、

「うぐぁああ!うぎぃいいい!」

 というくらいに痛いんです。


 膝関節、肩関節、肘関節、右手首の激痛から手がね、震えるんです。

 我が家は転勤族ゆえに、生活がサザエさん形式というか、コタツテーブルを通年利用。食事をしたりテレビを見たりと、座椅子生活で送っているので、ソファとか、ダイニングテーブルとか、そういうものがないんです。


 前回、旅行中に高熱が出た私は右鼠径部が真っ赤に腫れ上がったのですが、

「もちづきさんの場合、これから足が浮腫んでくることがあるかもしれないので、タイツを履いたりして予防をした方が良いかもしれません。あと、正座なんかはあまり良くないので、まあ、正座なんかあんまりしないと思うんですが」

 と、看護師さんに言われていたのですが、我が家は完全に座椅子生活。


 しかもコタツ記事(コタツに入って記事を書く)ならぬコタツ小説(コタツに入って小説を書く)状態ですので、正座、しちゃうんですよね。お尻の下に大量のクッションを敷いて、グイッと足が曲がらないようにしてはいるんですが、

「ヤバイ、痛い、ヤバイ、痛い、ヤバイ、痛い、ヤバイ、痛い、ヤバイ、痛い」

 状態です。


 ちょっと想像をして欲しいのですが、コタツで小説を書いていたら、立ち上がる時には手を床につくことになるんです。コタツテーブルに手をつくでも良いですね。とにかく、立ち上がるために何処かに手をつくと、

「むぎゃああああああ!」

 手首の骨がへし折れるような痛みが襲ってくるんです。


 動き出しさえすれば、痛みは緩和して無くなるんですけど、動き出しの激痛がすごいです。私の脳内ではチョコプラの松尾さんが、

「うわぁああああ!」

 拷問されているコントの時のアレ、心情的にはアレです。


 歩き始めればいいんですよ。ウォーキングとか出来るし。だけど、歩き始めがとっても痛い。初手は完全にヨチヨチ歩き。よろよろ状態の高齢のおばあちゃん状態。肩も痛い、手首も痛い、肘も痛い。

「オペの時よりも、抗がん剤の時よりも、今が一番辛いかもです。これはつまり、抗がん剤の後遺症という奴なのでしょうか?」

 チャッピーに尋ねたところ、使用する抗がん剤でそういう副反応もあるって言っていたのだけれど、

「抗がん剤の副反応ではないですね」

 主治医の先生は笑顔で答えてくれました。

「もちづきさんの場合、子宮と卵巣、全て摘出している関係で女性ホルモンがゼロの状態になっているんです。そういった場合は、関節の症状が出ることが多いんですよ」


 卵巣から分泌される女性ホルモンの代表格が『エストロゲン』なのですが、エストロゲンは関節や骨、腱を保護する働きがあるため、これが欠乏すると手足の指、膝、股関節、肩関節、強張りや痛み、筋肉痛なんかも生じるそうなんですね。


「とりあえずお試しで漢方を飲んでみましょうか?」

 こうして私は『クラシエ桂枝茯苓丸料』を処方してもらうことになりました。

 飲んだ感想から言うと、本当に、若干良くなったかな〜くらいの感じです。

 漢方は効くか効かないかは個人差があると聞いていましたが、私にはこの薬、若干効くかな?という程度のもので、

「イデデデデッ! うぐぁああああ!」

 相変わらず痛いんですよ。本当に。血液検査ではCRP(炎症の程度を測るための重要な指標)なんて0・2ですよ! 炎症症状がないのにこの痛み!


『貴婦人たちの噂話は今日も楽しい』四巻の締切りが近づいているというのに、あまりの痛みに頭が働かない。全く、頭が働かないんです。痛みでメンタルがガツガツと削られていく中で、私が辿り着いたのは、

「ああ〜、これ、癒されるわ〜」

 無料のゲームでとにかく毛糸をクルクルと巻き取っていくこと。


 漫画も読みたくない、小説も読みたくない。ゲームもしたくない。そんな状態で辿り着いたのが、とにかく毛糸をくるくる、毛糸をくるくる巻き取るゲーム。

 私はお笑い芸人のドンデコルテさんが大好きなのですが、昨年のM1のネタで『デジタルデトックス』というネタがあるんです。国も認めた低所得の渡辺銀次さんが現実を逃避したくて、コインがピカピカになる映像をひたすら朝まで見るというネタがあるんですけど、

「ああ、あれと同じかもしれない」

 銀次さんはコインをピカピカですが、私は毛糸をクルクルです。脳が痺れているので他のことをしたくない。

 ああ!四巻の締切りがもうすぐだというのに! もちづき! 一体どうするんだ!お前は大丈夫なのか!


 いや、全然、大丈夫じゃないです。本気で大丈夫じゃないです。過去一で大丈夫じゃないです。だって、頭が働かないから。

 そこで私はですね、今まで昼寝で使っていたエアベッドを封印し、キャンプ用の椅子とテーブルを出すことにしたんです。

 我が家は転勤族で、生活スタイルがサザエさん状態なので、キャンプ道具を出すしか手段がなかったのですが、さてさて、コタツ小説からキャンプ小説(屋内)に切り変えたもちづきは、締切りを守ることが出来るのでしょうか?


癌の告知を受けた私の状況をコミカルに描いていきたいと思います。

癌を治療するにあたり、私としてはこうした方が良いのだなという部分をクローズアップして、

二人に一人が罹患すると言われている癌について、情報を共有しつつ、楽しんでいただけたら幸いです!

もし宜しければ

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