第94話「接続ゲート」
地下搬送路を三人が走る。
ゴゴゴゴ……。
遠くから搬送台の走行音が響いている。
ミリアが端末を確認する。
「まだ追いつける!」
ジェイクが息を切らしながら走る。
「どれくらいだ?」
「あと二百メートル!」
「結構あるな……!」
ルーカスが前を見る。
「見えてきた」
暗闇の先。
巨大なゲートが姿を現した。
その上には、
『第2施設接続ゲート』
と表示されている。
そしてゲートの手前には、搬送台を停止させるための制御装置が設置されていた。
ミリアが走り寄る。
「ここ!」
端末を接続する。
「搬送台の制御権を取る!」
カチッ。
画面に複数の項目が表示される。
『速度制御』
『進路変更』
『緊急停止』
ミリアが緊急停止を選択する。
しかし――
『権限不足』
「……!」
ジェイクが顔をしかめる。
「止められないのか?」
「通常権限じゃ無理みたい」
ルーカスがゲートを見る。
「別の方法は?」
ミリアが画面を確認する。
「進路変更なら……一部だけ操作できる」
「それで止められる?」
「搬送台を側線に入れれば、強制的に停止させられる」
ジェイクが頷く。
「やってくれ」
ミリアが操作する。
「……今!」
カチッ。
搬送路のポイントが切り替わる。
ガコン!
遠くから激しい走行音が響いた。
ゴゴゴゴゴゴ!
搬送台が接近してくる。
ルーカスが拳を構える。
「成功したのか?」
ミリアは画面を見つめる。
「まだ分からない」
次の瞬間。
搬送台が姿を現した。
しかし――
三体のロボットが搬送台から飛び降りた。
「えっ?」
ジェイクが驚く。
搬送台はそのまま側線へ進んでいく。
ゴォォン!
側線の終端で停止した。
「止まった!」
ミリアが叫ぶ。
「でも……!」
三体のロボットは止まらない。
一体がデータ装置を抱え、接続ゲートへ向かって走る。
ジェイクが武器を構えた。
「逃がすか!」
走り出す。
ロボットが振り返る。
赤いセンサーがジェイクを捉えた。
次の瞬間。
腕から刃が展開する。
ガキン!
「やっぱり戦うか!」
ジェイクが受け止める。
ガキィン!
火花が散る。
ロボットが連続して攻撃する。
ジェイクは一歩ずつ下がりながら受け流す。
「こいつ……前より速い!」
ルーカスが別のロボットへ向かう。
「そっちは任せろ!」
拳を振る。
だが、ロボットは素早く横へ移動した。
「速い!」
ルーカスの拳が空を切る。
ロボットが背後へ回り込む。
ミリアが叫ぶ。
「ルーカス、後ろ!」
ルーカスが振り返る。
ガンッ!
腕を受け止める。
そのまま押し返す。
「お前たち……ずっと逃げてただけじゃなかったのか」
ロボットは答えない。
ただ、接続ゲートへ向かおうとする。
ミリアが三体を見ながら気づく。
「待って……」
「どうした?」
「こいつら、私たちを倒そうとしてない」
ジェイクが攻撃を受け止めながら叫ぶ。
「どういうことだ?」
「目的はゲートを開くこと!」
ミリアが端末を見る。
「戦闘は時間稼ぎ!」
ルーカスが三体を見る。
その通りだった。
三体は必要以上に攻撃せず、少しずつゲートへ近づいている。
「なら、ゲートを止めればいい!」
ルーカスがロボットを押し返す。
ミリアが制御装置へ走る。
「接続ゲートの開放処理を止める!」
端末を操作する。
しかし――
『認証要求』
「また認証……!」
三体のうち一体が突然停止した。
胸部からケーブルが伸びる。
接続ゲートの認証端子へ。
カチッ。
ミリアの画面が赤く染まる。
『認証開始』
「まずい!」
ゲートが低い音を立て始める。
ゴゴゴゴ……。
巨大な扉が、ゆっくりと上昇していく。
その向こうには――
さらに巨大な地下空間が広がっていた。
ミリアが息を呑む。
「……あれが」
ジェイクがロボットを押し返しながら叫ぶ。
「第2施設か!?」
ミリアは画面を見つめた。
「違う……」
「え?」
「このゲートの先は、第2施設そのものじゃない」
ルーカスが振り返る。
ゲートの奥。
そこには巨大な地下搬送基地が広がっていた。
そして最奥には、別の巨大なゲート。
ミリアが呟く。
「……第2施設へ続く中継区画」
ゲートが完全に開く。
三体のロボットが一斉に奥へ走り出した。
「追うぞ!」
三人も後を追う。
だが、その瞬間。
奥の巨大ゲートに文字が浮かび上がった。
『第2施設接続認証』
『最終確認』
ルーカスが足を止める。
「最終確認……?」
ミリアが画面を見つめる。
「これを通れば、本当に第2施設へ繋がる」
ジェイクが武器を握り直す。
「なら、ここで止める」
三人は巨大な中継区画へ踏み込んだ。
その背後で――
第2施設接続ゲートが、ゆっくりと閉まり始めた。
第94話 完




