第78話「機体搬送路」
暗い地下トンネルを、三体のロボットが進んでいく。
ガシャ。
ガシャ。
ガシャ。
その後ろを、ルーカスたちが追っていた。
ジェイクが壁に手を当てる。
「このトンネル、かなり長いな」
ミリアが端末を確認する。
「昔はロボットを第1施設から第2施設へ運ぶために使ってたみたい」
ルーカスが前を見る。
「じゃあ、この先に第2施設がある?」
「可能性は高い。でも、まだ距離までは分からない」
三人が歩いていると、三体のロボットが突然停止した。
「止まった?」
ジェイクが武器を構える。
三体は攻撃態勢には入らない。
先頭の一体が壁へ近づく。
カチッ。
壁の一部が開いた。
中から小さな端末が現れる。
ミリアが駆け寄る。
「これ、搬送路の管理端末」
端末へ接続する。
古い画面が点灯した。
【機体搬送路】
【現在地:第1施設側】
【第2施設までの搬送距離:██km】
一部が破損していて距離は読み取れない。
ミリアが別の項目を開く。
【搬送状態】
【第2施設側ゲート:閉鎖】
【受入準備:待機】
ジェイクが画面を見る。
「まだ閉まってるぞ」
「うん。でも……」
ミリアが三体を見る。
「この三体には、第2施設側のゲートを開けるための認証データがある」
ルーカスが眉をひそめる。
「だからここまで来たのか」
「たぶん」
三体のうち一体が、端末へ接続する。
ピッ。
【認証データ照合】
【照合中】
「まずい!」
ミリアが端末を操作する。
「第2施設側のゲートを開こうとしてる!」
ジェイクがロボットへ向かう。
「なら止める!」
「待って!」
ミリアが叫ぶ。
「まだ攻撃しないで!」
ジェイクが足を止める。
「なんで?」
「この端末からなら、第2施設までのルート情報を取得できるかもしれない!」
ルーカスが三体を警戒する。
「どれくらいかかる?」
「分からない!」
ミリアが必死に操作する。
その間にも認証が進んでいく。
【認証:42%】
【認証:58%】
【認証:71%】
「急いで……!」
ミリアが別のデータへアクセスする。
すると、トンネルの構造図が表示された。
「出た!」
ジェイクが覗き込む。
「第2施設まで繋がってるのか?」
「うん。ただ……」
ミリアの指が止まる。
「途中に分岐がある」
「分岐?」
「この搬送路は一本じゃない。途中で三つに分かれてる」
ルーカスが地図を見る。
「どれが第2施設へ続いてる?」
「今調べてる」
その瞬間。
【認証:100%】
ガコンッ!
トンネルの奥から大きな音が響いた。
ジェイクが振り返る。
「開いたのか?」
ミリアが端末を見る。
「第2施設側ゲートが開いた!」
三体のロボットが動き出す。
「行くぞ!」
ルーカスたちも走り出す。
しばらく進むと、前方に三方向へ分かれる巨大な分岐点が現れた。
左。
中央。
右。
三体は迷うことなく中央の通路へ進んでいく。
ミリアが端末を確認する。
「中央が第2施設方面!」
ジェイクが笑う。
「ようやく当たりを引いたな」
しかし、ルーカスは足を止めた。
「……待て」
「どうした?」
ルーカスが中央の通路を見る。
「三体が一体ずつ分かれた」
ジェイクが目を凝らす。
三体のうち二体は中央へ。
だが、残った一体は右側の通路へ入っていく。
ミリアが慌てて端末を見る。
「この一体だけ、別の場所へ向かってる」
「何のために?」
「分からない」
ルーカスが考える。
「二体を追うか、一体を追うか……」
ジェイクが武器を握る。
「どっちも放っておけないだろ」
ミリアが右の通路を確認する。
「右側には……」
画面に施設情報が表示される。
【旧機体整備区画】
ミリアの表情が変わった。
「第2施設へ向かう二体とは別に、あの一体は整備区画へ向かってる」
ルーカスが右の通路を見る。
「何かを取りに行くつもりかもしれない」
ジェイクが頷く。
「じゃあ、俺たちも分かれるか?」
ルーカスは首を横に振った。
「いや。三人一緒に右を追う」
ミリアが驚く。
「第2施設へ向かった二体は?」
「後から追える」
ルーカスが右の通路へ向かう。
「まず、一体が何をしようとしてるのか確かめる」
ジェイクとミリアも続く。
三人の姿が右側の暗い通路へ消えていく。
その頃。
中央の通路を進んでいた二体のロボットは、遠ざかっていった。
そして右側の通路の奥。
一体のロボットが、古びた整備区画の扉の前で停止した。
赤い目が光る。
扉のロックが解除された。
第78話 完




