瑞希と飛鳥、お台場にてデートする
昼休みの学食は、ざわざわとした人の波で満ちていた。日替わり定食を独りで黙々と食べていた飛鳥の横に、すっと影が落ちる。
「やっほ、隣いい?」
軽やかな声。瑞希がにこりと笑って腰を下ろした。手元のトレーには、色鮮やかなパスタとデザートまでしっかり揃っている。
「……勝手にどうぞ」
飛鳥は小さく肩をすくめて、定食の味噌汁に手をつける。そんな彼女に、瑞希はさりげなく身を寄せるようにして言った。
「ねえ飛鳥ちゃん、今度の土曜の夜さ──お台場でデートしようよ」
「……はあ?」
箸の動きが止まった。飛鳥は半眼で瑞希を見やり、呆れたように言葉を返す。
「いきなり何言ってんの」
「だってさ、ほら。お台場のホテルのディナービュッフェ。あそこ新しくなったの知ってる?」
「……ビュッフェ?」
その単語に、飛鳥の表情がわずかに動く。瑞希はすかさずメニュー写真をスマホで開き、色とりどりの料理が並ぶ画面を彼女の目の前に差し出した。
「これこれ。ローストビーフもあるし、デザートもすごいんだって。二人で行こ」
「……別に、興味ないし」
そう言いながらも、飛鳥の視線は明らかにスマホに吸い寄せられていた。肉の断面から立ちのぼる湯気、ショーケースに並ぶケーキ。ほんの少しだけ喉が鳴る。瑞希はそんな反応を見逃さず、にやりと笑った。
「でしょ?だから決まり。土曜、空けといて」
「……っ、別に、行ってやってもいいけど」
そっぽを向いて返した飛鳥の耳は、ほんのり赤くなっていた。
***
ゆりかもめの改札を抜けると、潮風を含んだ空気がふわりと頬を撫でた。休日のお台場は人通りが多く、観光客やカップルが行き交う。その雑踏の中で、飛鳥は立ち止まり、スマホをちらりと見た。約束の時間ちょうど──視線を上げた瞬間、手を振る人影が目に入る。
「飛鳥ちゃーん、こっちこっち!」
明るい声とともに駆け寄ってくる瑞希。白のブラウスにベージュのスカートという軽やかなコーデで、少し風に揺れる髪が陽射しを受けてきらめいていた。
「……早いな」
「ふふん、今日は楽しみにしてたからね」
無邪気に笑う瑞希に、飛鳥はそっぽを向きながら小さく答える。
「……別に、遅れる気もなかったし」
二人は並んで歩き出す。駅から数分で、お台場のホテルのガラス張りのエントランスが見えてきた。堂々とそびえるホテルの外観に、飛鳥は思わず足を止める。
「……大きい」
「でしょ?中もすごいんだよ。ビュッフェ会場、海が見える窓際なんだから」
瑞希は得意げに笑い、飛鳥の手を軽く引いた。
「行こ、飛鳥ちゃん。せっかくのデートなんだから」
「……デートって言うな」
顔を少し赤くしながらも、抵抗は弱い。飛鳥の足取りは、自然と瑞希に合わせてホテルの中へと進んでいた。
***
ガラス扉を抜けると、ふわりと香ばしい匂いが漂った。広々としたフロアの中央には前菜のコーナー、奥にはシェフがローストビーフを切り分けるライブキッチン。天井から下がるシャンデリアの光が、銀のトレイやワイングラスをきらめかせていた。
「わあ……やっぱりすごいね!」
瑞希は目を輝かせてトレーを手に取ると、真っ先にサラダと前菜コーナーへ向かった。彩り豊かな野菜、スモークサーモン、チーズに小さなキッシュ。ひとつひとつ丁寧に盛り付けながら、横目で飛鳥を見やる。
「飛鳥ちゃんも好きなの取っていいんだよ?」
「……別に。普通に選んでるだけ」
言葉はそっけないが、飛鳥の視線は料理の数々に忙しなく揺れていた。ローストビーフの湯気に目を奪われ、デザートコーナーに並ぶ色鮮やかなケーキに一瞬足が止まる。
「ふふっ、やっぱり気になるんじゃん」
「……少しだけ」
冷静を装いながら皿に取り分ける仕草も、どこか楽しげだった。やがて二人は、窓際の席に並んで腰を下ろした。外にはレインボーブリッジと東京湾の夜景。波間に映る光が、静かに瞬いている。
「見て、飛鳥ちゃん。景色もごちそうだよね」
瑞希が嬉しそうにグラスを掲げる。飛鳥も窓の外を一瞥してから、少しだけ口元を緩めた。
「……悪くない」
そう呟き、フォークを手に取る。一口食べた瞬間、思わず小さく目を見開いた。
「……ほんとに美味しい」
「でしょ?ほら、もっといろんなの食べよ」
瑞希は笑顔で皿を差し出し、飛鳥もそれを受け取る。豪華な料理と夜景に包まれながら、二人の食事は始まった。
***
テーブルの上には、ローストビーフ、サラダ、色とりどりの前菜が所狭しと並んでいた。窓の外には夜景。だが二人の関心は、目の前のごちそうに注がれている。瑞希は早速フォークを動かし、嬉しそうに頬張っていた。飛鳥はそんな彼女を横目で見ながら、少し間を置いて口を開いた。
「……今日は、まことと七海のデートの日なんだよね」
フォークの先を見つめたままの言葉。わずかに気になっているのが伝わるトーンだった。
「そうだねー」
瑞希はむしゃむしゃと肉を食べながら、あっけらかんと答える。
「七海、ナイトプール行くからって……張り切ってたよ」
飛鳥の声には、ほんの少し羨望が混じっていた。
「むふふ、それね、わたしがチケット譲ったんだ」
「……なにそれ、太っ腹じゃん。このビュッフェといい、瑞希って富豪なの?」
驚きの表情で問いかける飛鳥に、瑞希はすかさず突っ込む。
「違う違う!ナイトプールはね、クーポン貯まってただけ」
「……ふーん。どっちにしろ、やるじゃん」
「でしょー」
自慢げに胸を張る瑞希。だが次の言葉は、さらに飛鳥を驚かせた。
「あとこのビュッフェはパパのおごり」
「……え、パパってつまり……」
飛鳥がわざとらしく問い返すと、瑞希は慌てて手を振った。
「それも違うよ!本当のパパだから!……本当でもないけど」
「……どういうこと?あと、そのパパが富豪なの?」
「なにかの社長してるみたい」
「……なんでそんな漠然としてるの?」
「ママの再婚相手だから。あんまり細かく知らないの。悪い人じゃないよ。大学だってパパのおかげだし」
さらりと告げる瑞希。その声は淡々としていたが、背景の重さが一瞬だけ滲む。
「このビュッフェもね、最初はパパから誘われたの。でも予定合わないから行けないって」
「……じゃあ、わたしは代替要員だったのか」
飛鳥は戸惑いつつ、あえて軽口で返す。
「まーそうとも言う!」
瑞希は朗らかに笑ってグラスを掲げた。
「でも、勿体ないじゃん?こうやって飛鳥ちゃんと食べられるなら、むしろ大正解だよ」
飛鳥は少しだけ目を逸らして、グラスを軽く合わせた。
***
食事を一通り楽しんだあと、瑞希は勢いよく立ち上がった。
「ねえ飛鳥ちゃん、デザート見た?絶対テンション上がるから、行こ!」
腕を引かれてしぶしぶ立ち上がる飛鳥。けれど、目の前に広がった光景には、さすがに言葉を失った。ショーケースには、色とりどりのケーキやムース、フルーツタルト。ガラス皿に並べられたマカロン、鮮やかなゼリー。奥ではシェフが注文ごとにクレープを焼いていた。
「……すごい」
つい洩れた小さな声。飛鳥は咳払いして表情を整える。
「でしょー!」
瑞希は瞳を輝かせながらトングを手に取った。
「ほら、このチョコレートケーキとか、絶対美味しいやつ!」
皿の上に次々と甘いものを積み上げていく。一方の飛鳥は、最初こそ控えめに小さなシュークリームだけを取ったが、次第に手が伸びていった。
「……このモンブランも気になる」
「お、いいね。ほら、遠慮しないで。こういうのは食べなきゃ損だよ」
瑞希に背中を押されるように、飛鳥の皿も華やかになっていく。窓際に戻ると、テーブルの上はあっという間に甘い香りで満たされた。
「いただきます!」
瑞希はフォークを手に、迷わずショートケーキを頬張る。
「……んーっ、しあわせ……!」
その隣で、飛鳥もひと口モンブランを口に運んだ。栗の甘さとクリームの軽やかさに、思わず目を細める。
「……悪くない」
素っ気なく言ったが、その声はわずかに弾んでいた。瑞希はそれを見て、にっこり笑う。
「ほらね。飛鳥ちゃんだって、甘いの好きなんじゃん」
「……まあ、嫌いじゃない」
窓の外では、東京湾に灯る光が波間に揺れている。豪華なデザートと夜景に囲まれながら、二人の笑い声が重なっていった。
***
ショートケーキを口に運んでいた瑞希のスマホが、小さく震えた。画面に浮かんだ通知を見て、彼女はぱっと目を細める。
「……あ、七海ちゃんだ」
ナイトプールのライトに照らされた写真と共に、慎ましいキャプションが並んでいた。>はじめてのナイトプール、ちょっとだけ緊張してます……瑞希はすぐに画面をタップし、迷いなく
「いいね!」
を押す。そして、軽やかにコメントを打ち込んだ。
「楽しんできてねっ!」
送信を終えると、満足げにケーキをもう一口。向かいの飛鳥は、その様子を横目で見ていた。フォークを持つ手が、ほんの少し止まる。胸の奥に複雑な波が立つ。大好きな七海。でも、今は誠とデートをしている。そう思うと、甘いはずのケーキが、ほんのり苦く感じられた。
「……瑞希はさ、大きいよね」
ぽつりと洩らした言葉に、瑞希がきょとんと顔を上げる。
「どういうこと?」
「ナイトプールのデートをプレゼントしたり、気軽に応援コメント送ったりさ。……わたしはそういうの、出来ないなって」
言葉は淡々としていたが、その声は少しだけ滲んでいた。
「ふふん」
瑞希はどや顔でフォークを掲げる。
「瑞希ちゃんは大人物なのです。あとなんだっけ……ライバルに塩を送るってやつよ。伊達政宗だっけ」
「上杉謙信だよ」
即座に訂正する飛鳥。その横顔には、わずかな羨望がにじんでいた。
「……自分はさ、どうしてもモヤってしちゃうの。いまごろ、誠とデートしてるんだよなあ、とか」
少しうつむいた飛鳥に、瑞希は悪戯っぽく首を傾けた。
「えっちしてるのかなあって?」
「──っ!も、もう、そういうのわざと言わないで!」
飛鳥は真っ赤になって声を荒げる。瑞希はへらへら笑って、まるで風を受け流すように笑みを広げる。
「……瑞希はさ」
飛鳥が真剣な声で切り出した。
「しんどくないの?」
瑞希はグラスを持ち上げ、透明な水をひと口。それから、あくまで明朗な調子で答える。
「そりゃ複雑な気分にもなるよ。人間だもん。……でもね、わたし、まーくんと同じぐらい、七海ちゃんのことが大切で大好きなの。だからデートは楽しんで欲しいなって思うよ」
その言葉に、飛鳥はまぶしそうに目を細める。
「……そう。そうなんだよね。それはその通りなんだけど……わたしって、小さいなあ」
「うんうん、飛鳥ちゃん背低いもんねー」
「そういう意味じゃないやい!」
ぷんすかと頬を膨らませる飛鳥に、瑞希はケーキを差し出しながら笑った。ほんの少し苦い気持ちも、甘さに溶けていく。二人のテーブルには、また愉快なムードが戻っていた。
***
「……食べすぎたぁー」
瑞希が両手でお腹を押さえて笑う。飛鳥も小さくうなずいた。
「……わたしも。ケーキ三つ目は余計だったかも」
二人は笑いながら会計を済ませ、ホテルのロビーを抜ける。外に出ると、海風がすっと頬を撫でた。潮の匂いが混じり、胃の重ささえ心地よく和らいでいく。
「ちょっと海風浴びよっか。ほら、ペデ歩こうよ」
「……ペデ?」
首を傾げる飛鳥に、瑞希はどこか先生っぽく胸を張った。
「ペデストリアンデッキのこと。要するに歩行者デッキだよ。車道が下にある二階建てみたいな感じで、歩きやすいでしょ?お台場ってここら辺一帯がペデっぽくてさ。そういう街並みが好きなんだよね」
「……なるほど。確かに開放感あって、気持ちいい」
並んで歩く二人の前に、夜景が広がる。レインボーブリッジの明かりが水面に映り、瞬いていた。潮風がスカートの裾を揺らし、ゆっくりと時間が流れる。瑞希はふいに横を向き、さらっと切り出した。
「……今のパパはママの再婚相手だって話したじゃん?」
「うん」
「最初のパパとママ、仲良しだったんだけどね。お金のことで揉め始めて、毎日喧嘩するようになったの。……わたしは小さかったから怖くてさ。ドラえもんみたいに押し入れに隠れて、“戦争”が終わるのをやり過ごすようになったわけ」
すこし、ひんやりとした風が二人の間を吹き抜ける。飛鳥は黙って耳を傾けていた。
「戦争が終わると、押し入れから出て……パパとママに話しかけていいかな、って顔色を窺うようになったの。……それが、空気読む人間になった最初のきっかけかも」
声は静かだった。けれど、どこか遠くを見ている。飛鳥はただ真剣に、その横顔を見つめた。
「……でも空気読めばうまくいくかって言うと、そんなことなくて。中学では最初こそ仲良くなるんだけど、ちょっとしたことで村八分みたいになってさ。ほら、わたしモテるでしょ?」
瑞希は自嘲めいた笑みを浮かべる。
「男子にもうんうんって返してたら、それが“色目使ってる”って話になって。……よくあるしょーもない話」
潮風が髪を揺らし、二人の沈黙をやわらげる。
「高校からはもっと上手くやろうって思って。つかず離れずの距離感を保つようにしたの。……揉めなくなったけど、衝突してまで付き合ってくれる親しい友達もいなくなっちゃった」
そこまで話すと、瑞希は舌をぺろりと出し、わざと明るいトーンに切り替える。
「意外と不器用でしょ、瑞希ちゃん」
飛鳥は口元をほころばせて、少し首を振った。
「……そうだね。下手くそかも」
二人は顔を見合わせ、小さく笑った。
***
瑞希が淡々と語った家庭のことを反芻しながら、飛鳥はふと一文を思い出していた。幸せな家庭はみな同じように似ているが、不幸な家庭は不幸なさまもそれぞれ違うとかなんとか。どこで目にしたのかは覚えていない。けれど、今こうして瑞希の話を聞いていると、その言葉が鮮やかに蘇ってくる。
(……瑞希に比べれば、わたしの家は単純かも)
思い浮かぶのは、がみがみとうるさい父と、「忙しい」が口ぐせの母。仲は悪くない。ただ、反抗期が抜けないままの自分が、今でも口ごたえを繰り返している。それでも家は崩れていないし、日常は続いている。――ただひとつ、心に引っかかっていることを除けば。
(……お兄ちゃん)
疎遠になってしまった兄のことを思うと、胸の奥に薄い影が落ちる。話題にすることも、思い切って距離を詰めることもできないまま、時間だけが過ぎてしまった。風に吹かれながら、瑞希の横顔を見つめる。彼女の明るさの奥にある傷と、自分の抱える小さな棘が、静かに重なっていた。
***
二人は並んで欄干に寄りかかり、海の向こうを眺めていた。すっかり夜は落ち、黒々とした水面に街の光が散らばっている。瑞希が、ふと真剣な声で口を開いた。
「……大学で、まーくんと飛鳥ちゃんと七海ちゃんに出会えたの、本当に貴重なことでさ。すごく嬉しかったんだ」
横顔は夜景に溶けていたが、その瞳はどこまでも澄んでいた。飛鳥は少し目を伏せ、胸の奥にじんわりと広がる温かさを覚える。
「だからさ」
瑞希は視線を海に戻し、揺らぐ風を受けながら続けた。
「これからも、この先も。仲良しでいてくれるかな?」
飛鳥は唇を開きかけた。
「もちろん」と言いそうになって、今は疎遠になってしまった兄のことが胸を過ぎる。言葉を探すうちに、声が濁った。
「……それはまあ、成り行き次第で」
「なんでだよー!」
瑞希が思わず身をのけぞらせる。
「ここは感動的なシーンで、“いいとも!もちろんだよ瑞希、ずっと友達だよフォーエバー”って言うとこじゃん!」
飛鳥は吹き出し、肩を震わせながら、少し真面目に返した。
「……なんだっけ。ほらアメリカの青春映画。ひと夏の冒険をして、当時はこれが永遠の関係だって信じるの。でも時間がたって、だんだん疎遠になって、今はもう会うこともない──っていう話。見た時は“えー”って思ったけど……今となるとそうなのかもって。環境が変わると疎遠になるのも、やむを得ないことだし」
瑞希は少ししんみりとした顔になり、小さく
「そう、かもね」
と呟いた。その言葉が夜気に溶け、しばらく二人は黙って海を眺めていた。寄せては返す波の音、遠くを渡る船の汽笛。潮風が頬を撫でるたびに、胸の奥のざわめきも少しずつ鎮まっていく。やがて──遠くのレインボーブリッジが虹色に輝き始めた。ちょうどイルミネーションの時間。七色の光が橋を彩り、過去と未来をつなぐ象徴のように海を渡っていった。二人は黙って、その光を見つめる。海から風が吹き抜け、静かな時間がゆっくりと流れていく。飛鳥はそっと手を伸ばし、瑞希の手に触れた。
「……将来のことは分からないけど。少なくとも今は、ここにいるよ」
瑞希は驚いたように瞬きし、それから柔らかく笑った。
「……ありがとう」
寂しさと温もりが入り混じった沈黙。けれど、それはどこか心地よかった。飛鳥は唇を少しだけ尖らせる。それは、彼女が嬉しい時に見せる癖だった。
***
その空気を破ったのは、瑞希の突拍子もない一言だった。
「まーくんと七海ちゃん、今頃えっちしてるかな?」
「だ、だからやめてって!」
飛鳥が真っ赤になって声を上げる。瑞希の笑い声が、夜のデッキに響いた。
「じゃあ悔しいから、デートの締めくくりにラーメンでも食べない?新橋にいいお店あるんだ」
「……お腹いっぱいじゃないの!?あとデートじゃないから、これ」
「照れるな照れるな。小一時間もすればお腹すくって」
「……こんなに食べて、どうしてそんなスタイルなのかね」
「スーパー瑞希ちゃんだからかなー」
「説明になってないし」
へらりと笑う瑞希の横で、飛鳥も小さくため息をつきながら口元を緩めた。夜はまだ終わらない。二人の足取りは、街の灯りの中へと続いていった。




