第72話『“影の手”の新たな動き! 奪われた秘宝と導かれし者たち』
◆◇ 1. 謎の襲撃
「……ねぇ、あれって……?」
フィーナが森の奥を指差した。
木々の隙間から、小さな村のような建物が見えた。
「人が……いない?」
ルークが険しい顔で村を見渡す。
「……なんか嫌な感じがするぜ。」
カゼハが尻尾をピンと立て、耳をぴくぴくと動かした。
3人が村に近づくと、倒れた荷物や散らかった道具があちこちに転がっていた。
明らかに、何かが村を襲った痕跡だった。
「……誰か、いる?」
フィーナが小さく声をかける。
その瞬間——
「逃げろおぉぉ!!」
突然、老人が駆け出してきた。
「な、何があったんですか?」
ルークが慌てて老人を止める。
「奴らが……黒いローブの奴らが村を襲ったんじゃ! 秘宝が……秘宝が奪われてしもうたぁぁ!!」
「“影の手”……!」
ルークが拳を握りしめた。
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◆◇ 2. 秘宝の意味
「“秘宝”って、何のことですか?」
フィーナが落ち着いた声で尋ねる。
「村に伝わる《風の神珠》のことじゃ……」
老人が震える声で答えた。
「《風の神珠》?」
「それは、風の精霊王エアリエル様の力が宿る宝珠じゃ。
風の加護を与え、災厄を祓う神聖な力があるとされとる。」
「“影の手”が狙う理由……きっと、その力だ。」
ルークが険しい顔で呟く。
「もし《風の神珠》が“影の手”の手に渡ったら……」
フィーナが不安そうに呟くと、カゼハが前足をドンと地面に叩きつけた。
「オレ様が取り返してやる!」
「カゼハ……」
「フィーナが持ってる《フローズン・ティア》みたいに、大事なもんなんだろ? だったら、黙ってられるかってんだ!」
「うん……行こう、絶対に取り戻そう!」
フィーナの瞳には、強い決意が宿っていた。
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◆◇ 3. 闇の追跡者
「……足跡が残ってる。」
ルークが地面の泥を指差した。
「かなりの人数がいたみたいだな。」
「村の人が無事だといいけど……」
フィーナが祈るように呟いた。
「……! 伏せろ!」
突然、カゼハが声を上げる。
その瞬間、木々の間から黒い影が飛び出してきた。
「“影の手”の追跡者か……!」
ルークが剣を抜いて立ちふさがる。
「フィーナ、後ろに下がってろ!」
「でも、ルーク——」
「今は隙を見て回復してくれればいい! オレとカゼハでやる!」
「いくぜ、ルーク!!」
カゼハが鋭く風の刃を放つ。
「《ウィンド・スラッシュ》!!」
風の刃が襲撃者のマントを切り裂くが、敵は動じることなく影の魔法を放った。
「《ダーク・スパイク》!!」
「くっ……!」
ルークが剣で防ぎきれず、肩をかすめる。
「ルーク! 回復するよ!」
「《ヒール・ブレス》!!」
フィーナの放った柔らかな光がルークの傷を癒していく。
「……助かった。」
ルークが息を整えながら剣を構え直した。
「次は、決めるぞ……!!」
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◆◇ 4. “影の手”の企み
「お前らの狙いは、村の秘宝か?」
ルークが剣を構えながら問いかける。
「……フフ……そんなものはすでに“将軍”の手に渡った。」
「“将軍”……?」
カゼハが低く唸った。
「“最強の刺客”ってやつか……!」
ルークが険しい表情で歯を食いしばる。
「覚悟しろ、オレたちは絶対にその《風の神珠》を取り返す!」
「……できるものならな。」
襲撃者は冷たく笑い、影の霧に包まれて姿を消した。
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◆◇ 5. “風の神珠”の行方
「《風の神珠》が、もう敵の手に……」
フィーナが不安そうに呟く。
「いや、まだ間に合うはずだ。」
ルークが真剣な眼差しで言った。
「精霊王エアリエルが動いてるなら、“影の手”もそう簡単には逃げ切れない。」
「だったら、急ごう!」
カゼハが意気込む。
「うん、きっと大丈夫だよね!」
フィーナは不安を振り払い、拳を強く握りしめた。
「絶対に、《風の神珠》を取り戻してみせる!」
「よし、行こう!」
3人は森の奥へと駆け出した。
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◆◇ 次回『風の精霊王エアリエルの怒り! “将軍”との死闘』




