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思春期フットボーラー  作者: kasic
1章 立ち上がる少女
21/54

再始動

「すいません、お待たせしました」

「全然大丈夫だよ、それじゃあさっさと円陣組もう」


 審判のチェックを受けていた仁美先輩も合流して円陣を組み、いよいよ後半が始まる。


「それじゃあメイちゃん、ちょっと負担かけちゃうかもだけど、さっき言った通りにね」

「了解です。けど、なるべく後ろに負担がかかるようなことは私達としては避けてもらいたいんですけどね」


 仁美先輩の言葉に私は苦笑しながら答え、それを聞いた仁美先輩は決まり悪そうに頭を掻いた。今回SBに入る仁美先輩が高い位置をとるということは、もしカウンターを受けてしまった場合、私達はいつもより少ない三枚で守らなければならない。


「うーん、そこは善処します、といか言えない、かな?」


 DFとしては善処しますじゃねえよと言いたい所ではあるが、本来もっと前目の選手の仁美先輩にリスク管理を求めるのはちょっと酷かもしれない。この場合文句を言うべきは監督なのか。


 後半開始のホイッスルが鳴った。後半も相手FWの吉永さんは私の近くに寄ってきて何かと話しかけてきた。


「後半もよろしくね。ま、前回みたいに、ゴールは決めさせてもらうけどね」

「そうですか、私もしっかりと抑えますので、よろしくお願いします」

「……ふーん、そう」


 私の返答が少し意外だったのか、吉永さんが少し面食らったように目を見開き、答えた。こんなに話しかけてくるのも私に勝つ自信が無いからだと考えると少しかわいく思えてくる。


「む、なんか余裕そうじゃん。見てなさい、すぐにこの前の試合みたいにピッチから引きずり下ろすからね?」


 その言葉を残して吉永さんは私から離れていった。そこまで余裕があるわけではないのだが、彼女は私の態度に少しイライラしていたようだった。


(そういえば、ココアちゃんは確か私が自信無さそうにしてるから相手に狙われるって言ってたっけ?おれも間違いじゃないのかも)


 そんなことを考えながらも試合は進んでいく。相手がディフェンスラインの裏を狙うパスを出したが、それを相手FWは感じておらず、ボールは流れてココアちゃんの手に収まった。すると右SBの仁美先輩はハーフウェインライン付近まで上がり、私はそのスペースを埋めるようにいつもよりサイドに開いた。するとココアちゃんは私のポジションにボールを投げた。


「沢渡さん、9番が来てる!」


 キャプテンからコーチングの声が聞こえた。確かに左斜めから吉永さんがダッシュで迫ってきており、ボールに足を伸ばさんばかりの勢いだ。ちょっと煽りすぎただろうか。


「無理せずもどしていいよ!」


 私がボールを受けると、綾乃先輩が前半私がいたポジションに下りて指示を出してくれている。しかし、相手選手も下げてきた所にプレスに行こうと伺っている。ここで下げるのは多分あまり得策じゃない。


(怖がるな、自信を持て、沢渡鳴。SBやった時はこういう局面よくあったじゃないか。フォローもあるし、もしものことがあっても大丈夫)


 私は迷いなく、ボールを前に持ちだし、しっかりと吉永さんに体をぶつけてボールを守った。


「メイちゃん、足下!」


 すると前の仁美先輩が一回裏を狙う素振りを見せてもう一度下がってマークを外し、手を広げてボールを要求した。私はそこにパスを出した。すると相手サイドハーフがもう一度仁美先輩にプレッシャーをかけるが、先輩はダイレクトで真横に位置どる姫花先輩にボールを送ると、そのままターンして裏に走った。相手のSBも姫花先輩に食いついており、ここで裏へのパスを通すとチャンスが生まれる。


(よし、姫花先輩、裏だ!)


 ここはさすがに息の合った二人である、姫花先輩はその動きが分かっていたかのようにダイレクトで裏に出し、がら空きのスペースに飛び出した仁美先輩は悠々とボールに追いつき、中ではケイと高城先輩がゴール前でボールを待っている。


(よし、ここは落ち着いてクロス……ってやば!)


 技術的なミスなのか判断の誤りなのか、仁美先輩のクロスはグラウンダーになり、少しポジションを下げていた相手のボランチにボールをカットされた。


(おいおい、これはもしかして……うわ、やっぱりきた)


 相手はやはりロングカウンターを狙うべく、私と仁美先輩が空けているスペースに向かってボールを蹴ってきた。こうなれば私は味方のカバーが相手の攻撃をしっかり遅らせてくれることを祈って全力で戻るしかない。


(何をしてくれてるんだ。仁美先輩は。今度ジュースでも奢ってくれないと)

 

 心の中で恨み言を唱えて走りながら状況を確認すると、本来私が担当する裏に走る吉永さんのカバーリングには長瀬キャプテンが入ってくれており、中のもう一人のFWには左SBの先輩がついている。そして大外には相手の右サイドハーフが走ってきている。私も何とか彼女のマークに戻ると、吉永さんがそのスペースにクロスを送ってきた。


(勘弁してくれ)


 体に鞭打って何とかジャンプしてボールを当てるが、相手もしっかりと体を当ててきていることもあって、うまくクリアすることができず、ボールは真上に跳んだ。


(クソ、もう一回)

「私が捕ります!」


 そう考えた瞬間、聞き慣れた声が聞こえ、私は身を引いた。そのすぐ後、飛び出したココアちゃんが跳び上がり、高身長を活かしてしっかりとボールをキャッチした。すると、前線にスローイングを出す体勢に入る。


「ココアちゃんストップ!」


 私は反射的に体を投げ出し、スローイングを思いとどまらせた。


「何で止めるんですか!」


 ココアちゃんは少し不満そうだが、ここはボールを落ち着かせなければいけないだろう。私は自分のポジションに戻りながら説明する、


「少し落ち着いて。相手の人数もそろってるし、まだ始まったばかりだし、ここはしっかりポジションも取り直してもう一回攻撃を組み立て直した方がいいよ」

「……分かりました。すみません、ちょっと熱くなって」

「ううん、攻めたい気持ちは、私も同じだから」


 何とか分かってくれたようだ。隣を見るとキャプテンが少しホッとしたように一つ息をついていた。何度も騒ぎを起こす後輩で申し訳ございません。


「メイちゃん、ホントにごめんね。私があんなダメダメなクロス蹴っちゃったから」


 戻ってきていた仁美先輩が申し訳なさそうに話しかけてきた。まったくだと言いたい所ではあるが、ここはグッとこらえ、笑顔で返答しよう。


「まあ、走りながらのクロスでしたし、ああいうリスクも織り込み済みですよ。いい攻撃でしたし、この後も狙っていきましょう」

「そうだね、次は良いボール送るから、もう一回ボールちょうだいね」


 よーし、と意気込みながら仁美先輩はポジションについた。しかし、最後はミスになったが、仁美先輩と姫花先輩のコンビネーションは見事だった。縦のラインに二人を置くのはもっと精度を上げれば有効なオプションになるかもしれない。


(ま、しわ寄せは私達に来るんだけどね)


 DFをやっていると、私が今までどれだけ後ろに負担をかけていたかを実感する。しかし、彼女たちは恨み言も無しにしっかりと守ってくれていた。


(私も攻撃陣が安心してプレーできるようにしっかり守らないと)


 ボールが来ないことに少し不満そうにしているケイに目を向けながら、私が決意を新たにした。




 立ち上がりは少しオープンな試合展開になったが、その後は両チーム落ち着いてボールを回し、均衡状態となっている。しかし、なんとなく積極的にプレーしているのは私達だと感じる。

 今も相手のボール回しに味方が連動してプレスに嵌めて、苦し紛れに蹴ったボールが私にこぼれてきた。そこを狙って吉永さんがプレスをかけてくる。こうなると後ろにはキーパーしかいないCBとしてはセーフティーに長いボールを蹴りたくなる。確かにそれは間違った行動ではない。だが…………


(安全な方に逃げるな。相手を上に見過ぎず、積極的に、攻撃につながるプレーをしろ!)


 私はロングボールを蹴るふりを見せて左足でボールをまたぎ、相手に背を向けてボールを隠し、そのまま左に抜けた。そしてフリーでボールを待つ長瀬キャプテンにパスを出した。


「キャプテン!前です!」


 私は先程から前線で駆け引きをしているケイの方を指差した。今も相手に近づいてから素早く離れるプルアウェイの動きでマークを外している。

 キャプテンは利き足の左足を使って前線にボールを蹴った。そのゴールから遠ざかっていっているボールをケイは冷静に斜めに走り込んでいる高城先輩に頭で落とした。

 それをピタリと止めた高城先輩は二人で来るDFを背中で背負い、そのまま一点目と同じような形でケイにパスを出した。ボールを受けたケイはそのままボールを運び、今度は利き足とは逆の左足を振りぬいてボールをゴールネットに突き刺した。


「よっしゃ!!」


 自然とガッツポーズと声が出た。ベンチのみんなからも歓声があがり、ケイも声をあげながら拳を突き上げている。


「一分間の給水タイムです」


 ここで審判から給水の指示が出た。当然ベンチに戻ってみるとさっきのゴールでみんな盛り上がっている。後半も残り半分、モチベーション高く臨めそうだ。


「ま、あんたも少しはやるじゃない」

「ありがとうございます、けど、二点とも半分は高城先輩のおかげです」

「当然よ。半分と言わず、八割は五十鈴先輩の得点ね」

「もう、そんなことないよ。藤堂さんのシュートがうまかったんだよ」


 おお、あのFW陣が和気藹々と話しているではないか。なんだか少し感動してしまう。ようやくケイもみんなに受け入れられてきていると考えると少し感慨深い。


「メイ、ほら、水分補給をしっかりな」

「渥美先輩、ありがとうございます」

「今日は調子が良さそうじゃないか。残りもしっかり頑張れよ」


 そう話しながら渥美先輩は私にボトルを渡して他の人にもボトルを持っていった。ポジション争いをしている後輩に思う所はあるだろうが、こうも親切な対応をしてくれると私も気合いが入る。


「確かに、今日メイちゃんは調子が良いですね。後ろから見てても安心できますよ」


 水を飲んでいるとココアちゃんが話しかけてきた。さきほどは少しプレーの選択を巡って口論になりかけたが、普段と変わらずに話しかけてくれて少し安心する。


「うーん、感覚はいつも通りなんだけど、なんか気持ちがいつもより前向きになれてるのかな?自然と積極的なプレーができてる」

「それは良い傾向ですよ!メイちゃんにも自信が出てきてるんです!」

「はいはい、暑いんだからしゃべってないでしっかり水分補給して!」


 監督が手を叩いて喧騒を収めた。そして周りを見渡して話す。


「水飲みながらでいいから少し聞いて。後半はみんな良く動けてるよ。残り時間、どんな時もさっきみたいに得点に繋がるプレーを意識しながら動いて。とにかくミスを恐れずにプレーすることを心がけていこう!分かった?」

「「「「「はい!!」」」」」

「よし、じゃあ行っておいで!」


 給水時間も終わり、ポジションについた。今日もよく晴れており、暑くて汗が自然と噴き出てくる。しかし、その中でも感覚が研ぎ澄まされてくるのを感じる。ホイッスルが吹かれ、相手高校のリスタートでゲームが再開された。それからも私は冷静に、積極的にプレーを続けた。

 私の執拗なマークで思うようにボールを受けることが出来ていない吉永さんは少し横に動き、私と仁美先輩の間の中途半端な位置でボールを受けようとする。仁美先輩はそれに釣られそうになっている。


「9番は私が見ます!仁美先輩はサイドを空けないでください!」


 すぐさま指示を飛ばした。感覚が研ぎ澄まされる。得点に繋がるプレー、この場合はパスが出た所をインターセプトだ。

 相手の左SBが吉永先輩にパスを出すと、私の体は考えるよりも先に動いていた。


(奪える!奪った後、どうする?)


 私は素早く吉永さんの前に出てボールをカットした。そして綾乃先輩がボールを要求する声が聞こえた。


(綾乃先輩、よし、あそこに。……ってうわ!)


 私がパスを出そうとした所を後ろから押された。見えない所から結構な強さで押されたため、私は受け身を取ることもできずに倒れた。

 このプレーに主審は笛を吹き、私を倒した吉永さんにイエローカードを提示した。


「ごめん」


 倒した私を気にすることもなく、イエローカードに特に抗議をすることもなく、一言それだけ言って吉永さんは自陣に戻っていった。


(なんだよ、あんなファールしたのに、感じわるいな)

「メイちゃん、結構派手に倒れたけど、大丈夫?」


 声がした方を見ると、綾乃先輩が手を差し伸べてくれていた。私はそれに甘えてその手を取って立ち上がった。


「ありがとうございます。少し痛いですけど、大丈夫ですよ」

「それは良かった。あの9番、メイちゃんのディフェンスで大分イライラしてるね。今ちょっと気分いいんじゃない?」

「それはありません」

「そうなの?」


 綾乃先輩は不思議そうに私に聞いた。当たり前だ、イライラさせる程度で満足する方がおかしい。


「私はこの前の試合であのFWにいいようにやられました。こんなんじゃ気分は晴れませんよ」

「……ふうん、なんか意外」

「何がですか?」

「いや、メイちゃんってそんなに熱い子だったかなって思って」

「え、あ、確かに」

「確かにって……不思議な子だねえ、君は」


 綾乃先輩には笑われてしまったが、サッカーをしていると自分の気づかなかった一面が浮かび上がってくる。いや、いつの間にか出さなくなっていた一面というのが正しいのかもしれない。


 最初の練習試合でのオフサイドトラップ。あれは裏を取られたことに少しカッとなってやってしまった部分もある。そういう行動をした私をケイには負けず嫌いだと言われたが、確かに私は小学校の頃や、中学の最初の頃は確かに負けず嫌いだったように思う。

 シュートを外した時は本当に悔しくて日が暮れるまで練習したし、試合に負ける度にわんわん泣いて日向に慰められていたし、中学の時はFWをクビになって涙が止まらなくなった。だって私はお姉ちゃんみたいなサッカー選手になりたかったから。そんなことで、プロのサッカー選手になれるはずが無いから。だから、壁にぶつかる度に必死に練習した。

 けど、いつからか、私は試合に負けても、出ることすらできなくなっても涙が出なくなった。プロになるなんて夢のまた夢だって分かって、何回も見せられる現実が辛くて、手を差し伸べてくれる人の手も振り払った。かっこ悪すぎてもう笑ってしまう。

 だけど、みんなから声援を受けるあのお姉ちゃんの姿が忘れられなくて、受験勉強をしながらも練習を続けたり、強豪でもない、けどレベルの高いサッカーができる環境がある芳都野高校に行ったりする中途半端な自分のことは本当にイヤだった。


(見ないふりは、もう辞めた方がいいのかも)


 そんなイヤな私も、また私なのだ。これからも、またうまくプレーできなくて、壁にぶつかって、挫けそうになることがたくさんある。きっとまた辛い現実から逃げたくなる。つい周りにも当たりたくなってしまうのかもしれない。そんな弱い自分と向き合うのもまた辛いことだ。当然、できればそんなことやりたくない。全てを放り出したくなる時も来るのかもしれない。


____だけど、それでも____


 


 サイドを駆け上がった仁美先輩がクロスを上げた。しかし、それは後半の始めと同じようにDFにブロックされ、相手にボールが渡った。そして今度は吉永さんは中盤まで下りてボールを受けようとした。


(前で潰せばチャンスになる!)


 中盤に下りた吉永さんにパスが出され、私は腰を低く落としてファールすれすれのラインで強くぶつかった。吉永さんは倒れるが、主審は笛を鳴らしていない。


「ファール!ファール!」


 相手選手の動きが一瞬止まった。それ見たことか。汚いプレーばかりするから肝心な時にファールを取ってくれないのだ。

 私はこぼれたボールを冷静に拾うと、みんなが動きを止める中、一人動き出す人影を見つけた。


「メイ!前出して!」


常にゴールを狙っている彼女はどんな時でも変わらずゴールへの最短距離を走っている。私は要求通り、ディフェンスラインの裏に向かってボールを蹴った。


(ケイ、いっけーーーー!!)


 彼女は私のボールに素早く反応してゴール前に抜け出した。ケイはゴール前でボールを止めるとそれをワンタッチでニアに弾丸シュートを放ち、キーパーの手を弾いてゴールに突き刺した。私はコーナーフラッグに向かうケイの所に全速力で走った。ケイが私を見て誇らしげに指で三を作って見せてくる。私が思いっきり飛びつくと、ケイも強く私を抱き返してくれた。


「私のハットトリック、しっかり見てた?」

「うん、やっぱりケイは最高だよ!」

「ふふん、そうでしょ?なんてったって世界で一番になるFWなんだから」


 例えば、私はその自信に満ちあふれた姿にいつも尊敬と共に羨望を覚える。そしてそれは時として嫉妬の感情になってしまう。その羨望を嫉妬に変えてしまう醜い心は自分の最もイヤな所の一つだ。


____だけど、それでも____


「そういえばメイ、忘れてた」

「何?」


 いよいよ審判の視線が痛くなってくる所で、自陣に戻ろうとすると、ケイに呼び止められた。


「ナイスパス、さすがはメイね。やればできるじゃない」


 もう一度背中を優しく叩きながら、ふわりと抱きしめられた。


「……何?その上から目線」

「当然でしょ?あなたはこんなもんじゃないって、私、知ってるから」


 そう言い残してケイは自陣に戻っていった。彼女なりのエールだろうか、まったく不器用な女だ。


「メイ!」


 自陣に戻っていると監督がタッチライン際でボトルを持って立っていた。ありがたく受け取って水を一口含むと背中を一つ強く叩かれた。


「ナイスアシスト!しっかり見返されたよ!」

「……はい!ありがとうございます!」


「沢渡さん、ナイスアシスト」

「メイちゃん、さっきのプレーめちゃ良かったよ!」

「はい、我ながらナイスアシストでした」


 仁美先輩や姫花先輩とハイタッチをしていると後ろから頭をはたかれた。


「やるじゃん」

「綾乃先輩もありがとうございます」

「メイちゃーん。ナイスアシストです!」


 少し離れたゴール付近でココアちゃんが手を振ってきている。私はそれに親指を立てて返した。


「メイ!これからだよ!最後まで気を抜かず頑張れーー!!」


 ピッチの外から有希も大声を出して激励してきたので私も一つそこに向かって拳を握る。




 ____それでも、私はこんな風に一人ではないのだ。辛いときには寄り添ってくれる人がいて、励ましてくれる人がいて、座り込んでしまったら手を差し伸べてくれる人がいる。


(そんな人がいるなら、例え辛くても、大好きなサッカーをやり続けるのは、そんなに怖いことではないのかも)


 そこまで考えて私はポジションに戻って一度芝生に手を当て、胸の鼓動を確かめる。そうしていると、試合再開の笛が吹かれ、二点ビハインドとなって目の色を変えた相手チームが私に迫ってくる。


(もう一回、気合い入れ直していこう)


 気持ちは熱く、しかし冷静に、私は相手の攻撃陣を迎え撃った。

今回で1章は終了です。

閑話と人物紹介を挟んで第2章開始です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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