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思春期フットボーラー  作者: kasic
1章 立ち上がる少女
16/54

原点

 消灯時間前、私は宿の会議室に呼び出された。どうやら今回の騒動の処分を聞かされるようだ。ほぼ全部員に注目される騒ぎになってしまったので、どんな処分があるのか本当に恐ろしい。

ちなみに夕食の時なんかみんなが私と藤堂さんが目を合わせないような席に誘導され、逆に気を遣われているのが丸わかりで居心地が悪かった。

 それはさておき、私は部屋の前に立ち、扉を叩き、一つ息をついて扉を開けた。監督は練習の時とは違い、髪を下ろし、眼鏡をかけていてより知的な印象だった。


「お、来たね。ごめんね、こんな夜遅くに呼び出して。とりあえず入って入って」


  監督は私の予想とは違い、優しく迎え入れてくれた。しかし、私が扉を閉めると、部屋の椅子に座り、すぐに困ったように眉を下げた。


「えーっとね、呼び出された理由は、もう分かってると思うけど、今日の試合後の騒ぎの処遇の説明のためです」

「はい」

「コーチ陣とも話したけど、私達としては、どういう理由であれ、他の部員に危害を加えるような行動は認められません」

「分かってます」

「そう、処分は明日の朝伝えるけど、多分何日かの練習参加禁止と今度の練習試合の出場停止になると思う」

「はい」


 それで済むというなら処分としても甘い方かもしれない。そもそもこの前の試合の私のパフォーマンスではBチームに下げられてもおかしくはなかった。


「この場で、何か申し開きはある?私としても、何が原因で喧嘩になったのか、よく分からないから、何か考慮に入れられることがあったらいいなって思うんだけど」

「……いえ、ありません。藤堂さんはプレーが悪かった私に発破をかけようとしただけだと思います。それで私が逆上しちゃったってだけで、だから、処分は私だけでいいんじゃないかって思ってます」


  私がそう話すと、監督は驚いたのか少し言葉を詰まらせた。


「そう、それじゃあ、明日の朝、処分を伝えます。今後は思慮深い行動をとるよう心がけてください」

「はい」

「うん…………あーっもう、やめやめ!」


  真剣な顔をしていたら監督が急に頭を掻き、大声を出した。


「監督?」

「ごめんごめん。こんなに真面目な話するの、苦手なんだよね。けど、こういうのってちゃんとしないと宮本コーチが怒っちゃうからさ。さてと、ここまでが表向きの話ね」


 一度咳払いをして仕切り直しといった風に椅子に座り直した。


「なんか笑っちゃうよ。二人とも同じようなこと言うんだもん」

「同じってどういうことですか?」

「ケイの方にも何か申し開きはないかって聞いたんだけど、あの子もないって言ったんだよ。私が先に手を出した、メイは悪くないってさ」

「ケイが、そんなこと……」


 私が言葉を失っていると、監督が私に優しく微笑み、続ける。


「私ね、二人は似たもの同士って思うんだよね」

「私と、ケイがですか?」

「うん、二人とも、クソ真面目で、サッカーが好きで、サッカーに対して誠実だよね。ま、あの子はメイみたいに人当たりは良くないんだけどね。そこは直すべき所だと思う。そしてメイはあの子と違って、自分に自信が圧倒的に無い、違う?」

「はい、その通りです」

「そっか、難しいよね。人ってさ、お互い似てる所と違う所があって、時間が経つと、その自分とは違う所がはっきり見えてきて、それが時には理解できなかったりする。だからぶつかるんだと思う」

「えーっと、どういうことですか?」


 監督は何がいいたいのだろう?私が首をかしげながら聞くと、監督が苦笑して決まりが悪そうに頭を掻いた。そして一つ一つ順序を追って言い直す。


「あー、ごめんごめん。私って妙に回りくどい時があるんだよね。私の悪いところの一つだよ。つまりね、喧嘩したりすることってそんなに悪いことじゃないんだと思う。だって、理解できないなら、お互いそれをぶつけて理解するしかないじゃない?これで、なんとなく分かるかな?」

「はい、なんとなく」

「よし、じゃあ続けるね。本来、そんな風にお互いを理解するために喧嘩ってするべきなんだと思う。けど、今日みたいな喧嘩でお互いを理解できる?」

「いえ、理解できません」

「そうだよね。今回みたいなやり方は、その違う所を理解しようともせずに、ただお互いを傷つけ合ってるだけだよ。そんなの、両方とも辛いだけ、そうでしょ?」


 監督が一つ一つ、諭すように話してくれる。この話を聞いて、私は日向との出来事を思い出す。小学校の頃、些細なすれ違いから大喧嘩になってしまって、一年間くらいまともに口を聞いていなかった時期があった、あれこそが、ただお互いを傷つけ合っただけ、と言うのだろう。


(小学校の頃と全く同じことをやっちゃったってことか。私、成長してないなあ)


「メイがあの子と仲良くしたいなら、もう一回話してみなよ。またカッとなることがあるかもしれない。だけど、その中でちゃんと相手を思いやることさえ忘れなければ、それは多分、相手を理解するために必要な過程なんだと思う」

「分かりました、肝に銘じておきます」

「うん、よろしい」


 私の言葉を聞いて監督が満足げに頷いた。監督と話しているとなんだかいつも心が整理される。カリスマ性というのがあるのか、もしくは同じような境遇の監督に親近感を感じ、耳を傾ける気が出てくるのか。


「さて、お説教はこれで終わりかなあ。ホントもうやめてよね、こんなことさせるの。喧嘩の仲裁なんて、小学校の先生じゃないんだから」

「うう、すみません」

「けど、元気そうで安心した。実はちょっと心配してたんだよ」

「心配、ですか?」

「うん、今日の試合、あんまりうまく行かなかったじゃない?落ち込んでるように見えたし、その後あんな騒ぎ起こして、どう声かけたもんかな、って思ってたんだけど、なんかスッキリした顔してる」

「スッキリなんか、してません」

「そうなの?」


 当たり前だ。確かに有希やココアちゃん、監督と話して気持ちが楽にはなっている。けど、あんなプレーをしてサッカーでやり返さずにスッキリしていては、もうサッカー選手として終わりである。


「はい、もう全部に腹が立ってます。ファウルを取ってくれなかった審判にも、あんな汚いプレーをした相手選手にも、早い時間に私を交代させた監督にも、私にやる気がないなんて言ったケイにも、そして何より、あれぐらいでパニックになって何もできなかった、自分にもです」

「そっか、私にもか」


 監督が楽しげ頬杖をついて私を見ている。当然だ。早い時間に下げられて、それで燃えない選手はいないだろう。


「見ててください監督、次は絶対に見返してみせます」


 私はしっかりと監督を見て、力強く、自分にも言い聞かせるように、宣言してみせた。


「そいつは楽しみだなあ」


 監督は優しく私を見守り、楽しげに返事をしてくれた。




 さて、次の日改めて私達に処分が伝えられた。内容としては二日間の練習参加禁止とその次の日に行われる練習試合の出場停止であった。その間は球拾いなどの普段マネージャーの皆さんが行っていることの手伝いを命じられた。


「………………」

「………………」

(お、思った以上に気まずい…………)


 そして現在、私と藤堂さんはビブスの洗濯のため、宿舎内のランドリールームで洗濯物が回されている様子を二人で見守っているのだが、お互いに目を合わせることもなく時間だけが経過していた。何度かこのように二人きりになる機会があるのだが、この状態から一向に進展がない。まるで侍同士の決闘の際にどちらが先に剣を抜くか、駆け引きをしているかのようだ。


(いや、決闘はもう終わったでしょ。今はその後の講和会議をするかどうかって時じゃん。ん?何かそれも少し違うような。そもそも講和会議は決闘じゃなくて戦争の後だし、決闘の場合は……ああ、もう訳わかんなくなってきた)


「あのー、藤堂さん」


 もうヤケクソだ、何でもいいから話しかけよう。藤堂さんが視線だけこちらに寄こしている。


「昨日のことなんだけど、少しやりすぎ」

「謝らなくていい。私も謝らないから」


 すぐに私の言葉は遮られた。そして藤堂さんは視線を洗濯機に戻した。


「えっと、どういうこと?」

「昨日は私が悪かったとは思ってない。だから私は謝りたくない。だけど、それはあなただって同じでしょ?だからあなたも謝らなくてもいい。私、何か難しいこと言ってるかしら」

「いや、だけどさ」

「お互い悪いとも思ってないのに、謝り合って、それで何か解決するの?幼稚園ぐらいの時、お互いに謝らされて、うやむやになるの、私ホントに嫌いだったの」


(なんだこいつ、折角私が恥を忍んで話しかけてるのに。そっちがその気ならじゃあいいよ)


「あっそ。それなら謝らない」

「ええ、そうしてもらえる?」


 私はできる限り素っ気なく返事をしてなるべく藤堂さんの方を見ないように心がけた。


(ってこれじゃあダメじゃん!何やってんだ私。でも、確かにケイの言う通り、昨日のこと謝るだけだったら何も解決しないのは事実なのかも)


 そもそも私達が仲違いしているのは中学時代のやりとりがそもそもの原因である。だからこそ最終的にはそこまで話を持って行く必要があるのだろうが…………


(こんな状態だと絶対にうまく話せないよね。今度は殴り合いになるのがオチのような気がする)


 だからこそ最初は昨日の話で融和モードに持っていってから話を切り出すのがいいと思うのだが、これでは取り付く島もない。藤堂さんの方を見ると、さすがに少し決まりが悪そうにしているように思える。


(そんな顔するなら少しくらい話を聞いてくれよ。まったく、ホントに強情なんだから)


 この時間が本当に監督の言うようなお互いを理解するために必要な過程なのだろうか。この後、洗濯が終わり、ビブスを干し終わるまで私達は一言も声を発することがなかった。




 このような冷戦状態が続き、一向に話すことすらままならないまま、練習試合の日となった。私はBチームの練習試合のボールパーソンを任された。およそ二ヶ月一緒に練習した懐かしいメンバーが試合に臨んでいる。


「やっほー、メイ、ボールパーソン楽しんでる?」

「燻ってる間に私がAチームに上がってやるからね」

「球拾うの遅かったらただじゃ置かないから、そのつもりで仕事してよね」

「うるさいなあ、もう。黙って早く整列に行ってよ」


 一年生が整列に向かう際に声をかけてきた。少しむかつくが、気を遣ってくれるのはありがたい。最初の練習試合では出場がなかった彼女たちだが、おそらく練習を積んで先発までするようになっていると考えると感慨深いものだ。


(みんな頑張ってるなあ。前はあんなにうまくなかったのに。いや、今もそんなにうまくないんだろうけど…………)


 実際に試合が始まるとみんながノビノビとプレーしていた。ワンタッチプレーを続けてゴールに迫るシーンもあり、チーム全体が躍動感にあふれている。ミスも多いがその度にみんながフォローを欠かさずしており、決定的なシーンを作られていない。守備陣も裏を取られることを恐れずにラインを高く保っている。


「沢渡さん、どうですか?Bチームのメンバーのプレーを見るのは久しぶりですよね。まだまだ荒削りですけど、少し前に比べたら、見違えるようでしょう?」


 一本目が終わった直後に宮本コーチが声をかけてきた。その通り、私が居なくなってから相当練習をしてきたことが伺える内容だった。


「はい、なんだか、懐かしいです。あの、私も、最初の練習試合では、あんな風にプレーできてたんでしょうか?」


私がそう溢すと、宮本コーチは少し笑みを浮かべ、私の肩に手を置いた。


「……そうですね、今日はそういったことをあまり考えないようにするのが良いかもしれません」

「考えない、ですか?」

「はい、うまく行っていない時って、全てを悪い方向に考えがちです。今日は頭を空っぽにしてBチームのみんなを応援してあげてください。それに、今日は、聞いてますよね?斉藤さんも出場する予定です。彼女、張り切ってましたよ。良い所、見せたいんでしょうね」

「有希が、ですか?」

「はい、彼女は試合に出るのは初めてです。しっかり見てあげてください。さて、そろそろ時間ですか。最後に、余り、一試合、ワンプレーの出来に一喜一憂する必要はありません。サッカーで一番重要なのは切り替えだと、私は思ってます。それでは、みんなをしっかり応援すること、忘れないでくださいね」


 切り替え、か。確かに私はこの前の試合では最初のプレーから切り替えができずにドツボにはまってしまったような、いや、それどころか前向きに試合に入っていなかったような気がする。


(一体、いつから私はこんなにマイナス思考になってしまったんだろう)




 さて、そんなこんなで試合時間も残り20分ぐらいになった。ピッチサイドを見ると、有希が交代の準備を進めていた。少し歩き方もぎこちなく、一度に胸に手を当てた。


「有希!!」


 有希は私の声に気づき、少し目を丸くした。私は一つ握り拳を作り、頷きかけた。そうすると、彼女は険しい顔を緩め、笑いかけてくれた。これで少し緊張は緩んだだろうか。

 プレーが切れ、有希がピッチに入った。有希は私の近くの右サイドバックに入った。紅白戦は経験しているんだろうが、有希が実際に試合のピッチに入るのはこれが初めてだ。試合の入りを見てもどこかソワソワしてぎこちない。今、有希が入っている右SBとは逆の位置でこちらがボールを持っている。


(って有希、前に出すぎじゃない?相手のサイドの選手がカウンター狙ってるの、気づいてないの?)


「有希!前に出すぎ!ちょっと下がって!」


 私は思わず立ち位置について叫んだ。相手選手もなんだこの球拾いは、と言わんばかりにこちらを見ていた。


「サイドバックはディフェンダーなんだから、攻撃よりもまずは守りを考えて!」


 それを聞いて有希はハッとしたようにマッチアップのサイドの選手を見て、少し立ち位置を下げた。どうやら相手の選手が見えていなかったらしい。

 そうしているうちに相手がボールを奪い、右サイドに向かって、ボールを蹴った。ボールはちょうど有希の所に落ちてきて、有希はそれをクリアしようとするが、うまくクリアできず、グラウンダーになってしまったボールは相手に拾われた。そして相手はスピードで有希を振り切ろうとした。


「有希、大丈夫!しっかり着いていって!」


 有希もなんとか相手についていき、スライディングでボールを外に出した。私はそれを見て肝を冷やす。もし足にでもかかればファウルをとられて危ない位置でのフリーキックの上にイエローカードまで出されかねない。私が球を拾いながら有希の方に視線を寄こすと、心なしかしたり顔で親指を立てられた。


(いや、今ので誇らしげにされても困るよ)


 しかし、さすがは元陸上部だ。後ろ向きのディフェンスは、スピード勝負をされると基本的に不利なのだが、しっかり追いついた。これは私にはマネが出来ない芸当だろう。

 

 その後も有希は危なっかしくもがむしゃらにプレーを続け、なんとか無失点で試合を終えた。彼女は先輩に少しからかわれつつも、充実した笑顔を浮かべている。


(私の最初の試合も、こんな感じだったのかなあ)


 初めてのことだらけで何も分からなくて、それでも味方にフォローをされながら、余計なことは考えずにがむしゃらになんとか役割をこなす。

 

(この前の試合で私が出来なかったのって、それなのかな?)


「メイ!」


 試合を終えた有希が声をかけてきた。彼女は疲れつつも充実した表情を浮かべている。


「おつかれ、緊張してた?」

「もう、めっちゃしたよ~。けど、メイの声聞いてたら、なんか安心してプレーできた。ありがとう。試合出るの初めてだったけど、おかげで楽しくプレーできたよ」


 彼女は本当に何の混じり気も無い純粋な笑顔を見せてくれた。もしかして、私は長らくサッカーをしていてこんな笑顔になっていないのではないか。


(ホント、いつからだろ。私は有希みたいに、サッカーやってて、楽しいって思ってない)


 今日の彼女のプレーと純粋な笑顔は、私に必要なものの重大なヒントを与えてくれているような、そんな気がしてならなかった。





「え?明日の午後は自分だけでも練習をやりたいって?」


 練習後、私は監督にそう話しかけた。みんなが試合をしている姿を見ていたら居ても立ってもいられない。最近まともにボールを蹴っていなくて体も鈍っていそうだし、遅れを取り戻さなければ。


「それはダメです。明日の午後はしっかり休みなさい」

「ダメですって、どうしてですか?私はこの三日間練習してません。もう十分休んでます」

「メイが休んでても、みんなは疲れがたまってるの。そんな中でメイだけが練習してたら、みんなが休みにくくなっちゃうでしょ?」

「それは…………」


 サッカー部のみんなを使われると、さすがにこっちも何も言えない。そして監督は一つため息をつき、続ける。


「実はもう一人、同じこと言ってきた人が居たんだけどね」

「えっと、それは」

「ケイだよ。まったく二人ってホントに練習好きだよね?メイには練習よりもケイと話すっていう重要な仕事があるでしょ?この三日間で、ちゃんと話せたの?」

「いえ、それが……全く」

「え、全く?三日間もあって?」


 さすがに藤堂監督も驚いて目を見開いている。私達はコミュニケーション力が相当無いと思われたんじゃないだろうか。いや、間違いでは無いのかもしれないが。


「わ、私は悪くないですもん。ケイが意地っ張りだから……」


 私がそっぽを向いて話すと、監督はおでこに手をやり、大きくため息をついた。


「はあ、まあ、確かにあの子もあの子なのかもしれないけど。もう、分かったよ、私も手伝うからさ。明日こそはケイとちゃんと話すこと。分かった?」

「手伝うって、どうやってですか?」

「うーん、それは明日のお楽しみかな」


 監督はなんだか意味深に言葉を残した。そんなにもったいぶられると、気になって仕方ないではないか。




 さて、その明日がやってきた。本日の午前はAチームBチーム合同での練習の後、自由行動で練習はお休みだ。過去の練習から察するに、合同の練習とは大規模の走りの練習を意味しており、みんな戦々恐々とグラウンドに出た。しかし、今日はグラウンドに大量の白線とテニスのネットが用意されていた。


「はい、全員いるね。さて、みんな今までお疲れ様!試合を五日間で、二試合もこなして、大変だったと思います。まあ今日はレクリエーションってことで、第一回、芳都野高校女子サッカー部、サッカーテニス大会を行おうと思います!」


 監督からそのように告げられ、部員一同から少しホッとしたような歓声があがった。サッカーテニスとは、まあその名の通り足を使ったテニスで、このようにちょっとした遊びでよく用いられる。


「えーっと、今回は二人一組で行います。ペアを組む相手は誰でもいいけど、今から私が言う人は、必ずその人とペアを組んでね」


 え?いや、まさか、何だかイヤな予感しかしないのだが。


「沢渡鳴さん、藤堂恵さん、二人は同じペアになってください。これは監督命令です」


 場の空気が凍るのを感じた。みんな盛り上がっていたが、急にシーンとなり、私達に注目が集まる。藤堂さんの方を向くと少し目が合い、私達はすぐに目をそらした。それを見た部員、スタッフ一同により一層緊張感が強まる。

 宮本コーチまでもが何考えてんだこいつと言わんばかりにおでこを押さえている中、楽しげにしているのは監督だけだった。

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