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終焉の本を読んでいた男  作者: 帽子屋 黒兎
13/13

・偽りの『剣聖』と模擬戦.2

先に一話投稿しています


 「くそっ、俺をコケにしやがって!」

 BとCに対しては近衛騎士団長が棄権と場外負けとしたが、Aはまだ勝負を決していないのだろう。まぁ、まだ一合もしてないしな。

 そして問題なのが、しょせん僕の剣術なんてのは攻撃してこない丸太相手の我流剣術ということだ。さっきの二人は立ち回りかたで同士討ちをさせたが、ここからは一対一、僕の勝利条件はAに攻撃させずに倒すことだ。つばぜり合いになった瞬間に負けだと思っていい。

 だから、僕は一番見慣れた動きに切り替えるため、刀を八双からさらに引き、一回転しつつ刀を袈裟懸けに振り下ろした。そのまま下がった剣先を跳ね上げて『禍翻』。切っ先が相手のへその高さに来たところで起動を翻して水平に一回転に振り切る。Aは急に大振りになったことでこちらの間合いから外れているので、そのまま今度は腕を引いて一歩大きく踏み込んで突きを繰り出して『首撃ち』。引いて残心。剣の間合いに入ったら同じ動きを繰り返す。馬鹿の一つ覚えのように。

 大振りの攻撃を主に置いた流派はいくらかあるが、こんな厨二めいた技名をつけてはいなかった。これは、いわゆる狩りゲーの刀のモーションだ。人間より大きな獣を狩るための、そしてプレイヤーが見て楽しむための『魅せる』動きであるため、人間相手にするにはいささか以上に隙が大きい。しかも、元々の動きだと当然のように人外の運動神経を要求されるので、僕がやると余計に隙が多い。

 ここまで隙が多い隙が多い言っていればわかると思うが、ようはAを挑発しているのだ。

 あとは大縄跳びなんかの要領で、こちらの隙が多い行動……回転斬りで僕が背中を見せているとき……に、Aが襲い掛かってくる。ので、翻ったコートの裾に隠れるように蹴りを叩きこんでバランスを崩したところで、回転のままに模造刀で足払いをかけ、転ばせたところで首筋に刃の部分を当てる。

 「これでいいか?」

 僕はAに刀を突き付けたまま近衛騎士団長に聞いた。

 「ああ、大丈夫だ。助かった」

 「そうか」

 コートのポケットからぼろ布を引っ張り出して刀身をぬぐい、鞘に叩き込んだ。

 「ふん、所詮は野良犬か」

 後ろでAが何か言っているが、興味はない。疲れたし、少々眠い。

 「言い返しもしないか。まったく、余程愚かな家に生まれたようだな、終焉の剣聖とやらは」

 

 「今ァ、某の家族を、嗤ったかァ?」


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