表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/27

神倉先輩の異変

こんなにも多くの人に読んでもらえて嬉しいです。なるべく早くに投稿します!


 現在の時刻は12時6分。

 そして今俺がいる場所は神倉先輩との待ち合わせ場所である、駅前のカフェだ。

 女の子との待ち合わせは最低でも30分前に行くべきだと聞いた事があったので一応俺もそれに従った。

 

 というよりかは、俺の二つ下の妹に今朝言われたからなのだが……。まあいい、その話はまた今度にしよう。


 周囲を軽く見る。

 カフェにいる俺以外の客は、営業マンやママ友同士っぽいグループ、後はやけに格好いい雰囲気を醸し出している読書中の老人等がいる。

 なんか俺だけ場違いな感じがしてやけに落ち着かなくなってしまう。


 (てか、そもそもこんな時間に高校生がいることがおかしいもんな……)


 すると、大学生くらいの爽やかなイケメン店員さんが、俺が先程頼んだカフェラテを持ってきてくれた。


 「⎯⎯⎯⎯それではごゆっくり」


 そう言い残し颯爽と去っていく店員さん。

 イケメンはこういう所もイケメンらしい。 

 


 スマホを取り出して時刻を確認すると、待ち合わせの時間から10分程経っていた。神倉先輩遅いなぁ……あれ、ひょっとして騙された……?なんて考えが浮かんだが俺は首を振りその考えを打ち消す。


 (そんな訳ないよな……ないと信じたい)


 俺は心を落ち着けるように、カフェラテを飲む。

 あ……旨い。


 (うん、うん。やっぱりブラックなんかより百倍旨いな!)


 生憎俺は子どもなんでな。

 ブラックコーヒーの良さなんてモノは分からないんだ。

 それに不味いと思いながらも、無理してカッコつける男子高校生の気持ちとかも。



 チリーンと音が鳴りカフェの入口のドアが開いた。

 入口の方を見る、すると一瞬お洒落な大学生かと思ったが、よく見ると神倉先輩だった。

 凄い大人っぽくてビックリした。あれで俺と一歳しか違わないんだから驚きだ。



 「お客様何名様でしょうか?」


 「あ、中で待ち合わせしているので」


 「かしこまりました。ではご注文が決まりましたらお呼びください」


 神倉先輩は慣れた様子で店員にそう伝えると、店の中を見回す。神倉先輩はすぐに俺の事を見つけたらしく、俺の元へと駆け寄ってきた。


 「石田くーん、お待たせー」


 「俺も今きたところなんで大丈夫ですよ」


 (あれ……今の台詞なんか彼氏っぽ……って何考えてんだよ俺……)


 自分の愚かしい思考に呆れる。

 すると俺の向かい側の席に先輩が腰掛けた。


 「あはは、やっぱり平日の昼間にこんな所にいると緊張するね……」


 「そうですね。あ、それより何か頼みますか?」


 俺はメニュー表を神倉先輩に手渡す。

 神倉先輩はそれを受け取りながら、俺の前に置かれているカフェラテを見る。

 そして、ふふっと笑うとーー


 「石田君ってブラックコーヒーとか飲まないんだ」


 (……え、なに、どういう意味それ?)


 困惑する俺。

 すると神倉先輩は、違うの違うのと言いながら説明し始めた。


 「私の知っている男の子ってさ……なんかカッコつけて、飲めもしないブラックコーヒーを頼んだりしてたから……石田君は違うのかなぁと思ってね」


 (おいおい、それって俺がさっきまで考えてた事じゃん……)


 「いや、俺は別に、不味いモノを無理してまで飲む必要は無いかなと思って……それにカフェラテ超旨いし」


 「そうだよね、やっぱり美味しいモノを飲むのが一番だよね。てなわけで私もカフェラテにしよっかな」


 神倉先輩は店員を呼び、カフェラテを頼んだ。

 俺よりも注文の仕方がスムーズだった。なんかこう慣れてる感じだ。


 (まあ、こういうのは女子の方が経験多いもんだよな。カフェとかよく行くんだろうし)


 「あ、そういえば。ほらこれ制服持ってきたよ!」


 俺におしゃれな紙袋を渡してくる神倉先輩。

 受け取り中身を確認すると間違いなく俺の制服とセーターだった。


 「ありがとうございます。わざわざこんなおしゃれな紙袋に入れてもらって……」


 俺が頭を下げると、神倉先輩が唐突にーーー


 「石田くん、敬語なんか別に使わなくてもいいよ?」


 (ええ!?いや、それは……俺、一応後輩ですし……)


 と、心の中で言い訳をする。

 もちろん神倉先輩に届くわけもないのだが。

 とはいえ、少しだけ困った。この場合、敬語を止めなかったら後輩の可能性を疑われてしまいそうだ。かといって、敬語を使わないのもどうかと思うし……う~ん。


 いや。決めた。

 神倉先輩に悪いが少しだけ嘘をつこう。


 「俺、敬語じゃないと女の人と喋れないんですよ」


 「え、そうだったの?……そうとは知らずにごめんね?」


 (そんな悪そうな顔しないで下さいよ……嘘なんですから」


 神倉先輩の潤んだ瞳に見つめられてしまい、俺は思わず目を逸らした。


 「あ、いや、全然気にしないで下さい……」


 ーーー改めて神倉先輩の顔を見た。

 昨日の傷もまだ残っているが、それを差し引いたとしても十分に美少女だ。

 流石は俺の高校のミスグランプリ優勝者……。


 すると俺の時よりも格段に早く、神倉先輩のカフェラテを店員さんが持ってきてくれた。


 (ええぇ……俺の時なんか、余裕で20分はかかってましたよね?…………って、ん?神倉先輩、どうしたんだ……)



 先輩と俺の扱いの差を恨んでいると、神倉先輩の表情が急に青ざめて呼吸が乱れている事に気付いた。

 はあ、はあ、はあ。と神倉先輩は汗をかきながら過呼吸の状態になっている。


 「神倉さんっ!大丈夫ですか?」


 俺が声をかけると先輩はハッとした様で、すぐに表情を変えると俺の方を向いて笑った。

 しかし、顔は未だに青ざめたままで、顔から滴れ落ちる汗が異常さをものがったている。


 

 それから俺は、神倉先輩がこうなった理由を突き止める為に、頭をフル回転させた。


 (……なんでこうなった?理由はなんだ?先輩が変になったのは店員が来てから・・・・・店員?……さっきは店員と普通に話していたのに………最初来たときの接客、そして注文の時は、同じ女の店員さんだったが。今は………さっきのイケメンな店員だった!?)


 全てが繋がった気がした。

 ーーー要するに、神倉先輩は……。


 俺は正常な呼吸を取り戻し始めている神倉先輩を見やる。

 すると俺の視線に気が付いたのか、どうしたの?と笑いかけてきた。


 「あ、いや。……大丈夫ですか?」


 「うん、大丈夫。今のは……その……あれだから……」

 

 神倉先輩は曖昧な返答を返してくる。

 俺はそんな先輩に対して、普段の俺らしくない行動に出てしまった。昨日といい、今日といい、俺は一体どうしてしまったのだろうか。


 「昨日の事が原因で男の人が、怖い……とかですか?」


 その瞬間だけ、店の中の音が無くなり、俺と先輩だけの空間になった気がした。

 勿論そうなった気がしただけだが……。

 長い長い沈黙の末に先輩はゆっくりと話始めた。


 「⎯⎯うん。昨日の一件からね、急に男の人が怖くなっちゃって……お父さんとかは大丈夫だったんだけど……、昨日の帰りのバスの中とかでも、すっごく男の人が怖く思えて……それで…………」




 先輩の話はこうだった。

 ーーー昨日の例の事件から、男の人が怖くなってしまったらしい。そして、少しでも男の人が近づいてくると、自分の意思とは別に身体が拒否反応を起こすらしい。だけど、なら。


 「⎯⎯なら、なんで俺とは話せてるんですか?」


 そうそれが不思議だった。

 男の人を怖く思い、しかも自分の意思関係なく身体が拒否反応を起こすというのにーーーなぜ俺にはおこらなかったのか。

 


 俺は神倉先輩の目をしっかりと見据えながらそう問いかけた。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ