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何か忘れてる気が・・・


 「───実は、消してしまったみたいでして……」


 考え果てた末に正直に白状した俺は、神倉先輩をチラチラと伺いながら怯える。


 (怒ってる……?やっぱり怒ってるよな……神倉先輩)


 すると俺の予想とは反して、やっぱりねと神倉先輩は言ってきた。

 おや、これはもしかして……怒って、な────


 

 「──石田君、消したんだね~…私のメッセージを」

 

 (げっ、やっぱりめっちゃ怒ってるじゃん)


 「う、す、すいません。それは本当に……」


 

 頭をこれでもかってくらいに下げる。

 しかしこれでも駄目というならば、膝を床に着きながら地に頭を擦りつけるくらいはするつもりだ。



 …………なんたってこの状況は周りの生徒から見れば。



 

 突然大声をあげながら現れた冴えない男子生徒が“あの”神倉先輩のメッセージを消すという、おこがましいにも程がある行為をして神倉先輩を怒らせている様にみえるだろう。



 まあ残念なことに全て事実なんだが。

 

 

 要するにここからは、既に手遅れな気がしないでもないが、なるべく目立たずにこの場から立ち去るのが正しい判断だろう。


 

 「えーと……あ、やば、そういえば俺、トイレにキテタンダッターー……」


 苦しいとは思いながらもそう言いつつその場から離れてい───こうとしたら、肩を掴まれた。


 (え、え、なになになに!?)


 

 「ちょっと待ってよ石田君っ!」


 後ろを振り返り見ると、俺の肩を掴んでいたのは……神倉先輩だった。

 その神倉先輩は俺に向かいながら照れたように頬を赤く染め上げ、緊張した声音で。


 「め、メッセージのことなんだけど!激励会っ見ててね!」


 多分、普通なら何も伝わらない言葉。

 実際俺も正確に分かっているかと言われると怪しい。

 だが、今の、何が言いたいか分からない言葉にはきっと…………


 『今朝のメッセージの件なんだけど、あれは、激励会で私の事を見ててねって事だよ!』


 ……って意味を含んでいるのではないだろうか?



 軽く自意識過剰な気がするし、そんな自分に軽く引いてるが、まあここはそういう解釈でいこう。


 (だって……ここで神倉先輩に聞き返すとか……)


 神倉先輩の方をちらっと見ると、先輩は先程とは比べられない程に顔を真っ赤にさせていた。いや、耳まで真っ赤。あ、首まで真っ赤だ。


 (いまの発言に恥ずかしがるポイント……あるか?)


 

 うん?と首を傾げながらも、頭をプシューとさせている神倉先輩にこれ以上何か聞き返すわけにはいかない気がしてしまい、俺は若干スッキリしないまま体育館に向けて再度走り出した。


 

 

 体育館に走っている最中後ろから大きな大きな


 『なんだよ今のはっ!!?』


 という声が聞こえた気がしたが、俺は気にせずに体育館に戻ったのだった。


 

 (あれ、何か忘れてる気が…………ま、いっか)


 

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