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第六十話:三型戦闘機開発


 サントス王国が年始にミサイルで挨拶をしてきてから三ヶ月

ロアン王国兵はあれほどの犠牲を出して手に入れたジュノー大陸の領土を

失って撤退していった。


「やっぱり航空機って凄いわね」

「フリーダムに攻めてきたら大変だけどね」


「でもサントスは何でイシュタル地方に軍を集めているのかしら?」

 

「商人の話では東大陸はジュノー大陸の南東にあるようなので

占領地で大きな港となるとイシュタルのマイセンと旧エクレールが適当な

場所なんでしょう」


「北へ進むのか、南へ進むのか、どちらへも行かないのか

考えるだけでイライラするわね」


 ほんと、胃が痛くなるよ。


「攻められたら反撃地点は考えてあるの?」

「そうだね、まずはサンドリア湖の南に基地があるから

そこを爆撃してからセーヌ川沿いの基地を爆撃の後に東へ転進かな」


「本土防衛が基本なのね」

「若様、飛行士をそろそろ臨戦態勢に戻しますか?」

「まだジュノー大陸に上陸している航空機は三百機程度らしいから

しばらくは今のままでいいよ」


「そうそう、戦争になれば空軍は眠る暇も無いわよ」

「若、川があって助かりますね。陸と空からの同時攻撃だったら

防衛は困難でしたね」

「新領土獲得の際の基本理念だからね」


「兄貴、問題はバルバロッサですよ」

「裏で不戦条約でも結んでるのかな?」


「バルバロッサも同じ事を考えているのかも知れないですね」

「相互不信と言うやつね」

「元々信頼してないけどね」


 さて、問題はこれ以上航空機が増えた場合だよな。


 

   

 そして二週間後。

     

 遂に待望の報告が来た。

  

「本当に出来たんだな?」

「待たせたな。一型は無理だったが苦労した甲斐のある出来だ

三型戦闘機と攻撃機に爆撃機だ」

   

「すぐに生産に入ってくれ」

「性能は聞いてくれないのかよ」

               

「言いたきゃ勝手に言うんだろう」


「聞いて驚け。まずは三型戦闘機だが最高速度が千四百キロで高度一万メートル

まで上昇可能で武装は三十ミリ機関砲一門にトルネードミサイルを二発装備だ!」


「満足な性能じゃないか。半年早く聞いていれば戦局が変わっていたよ」

「ダン、すげえじゃねえか」

「おじさんやるわね」


「三型攻撃機は最高速度八百キロで高度八千で武装の機関砲は四十ミリだ

更にトルネードミサイルを八発積み込めてトルネード弾も二十発搭載可能だ」


 小躍りしてきたくなってきたぜ。これが一型だったら

俺がイシュタルに止めを刺していたよ。


「それで」

「爆撃機は?」


「三型爆撃機は速度は八百キロで四十ミリ機関砲一門に

新トルネード弾を五十発搭載可能だ」

       

「なんか爆撃機だけぱっとしないわね」

「武装が変わってないからじゃ無いのか?」

「爆弾の数も減ってるし」

  

「一人だけ鶴じゃなくて鴨の子程度ね」

      

 速度と高度は爆撃機としては十分過ぎるが

俺もちょっと装備が残念な感じだな。



「嬢ちゃんたちは甘いな。三型爆撃機の名称は三型長距離爆撃機だ

聞いて驚け。新トルネード弾は王級を上回る威力で本命は四層に隔てた

新エンジンと新燃料タンクだ。航続距離は九千キロだ」


「凄いですね。新領土から飛び立てば旧アレス領まで給油なしで

空爆可能ですね」

                

「でも撃ち落とされるんじゃないの?」

「敵が居たら戦闘する余裕がないよな」

「爆弾に引火したら蒸発しそうですね」


 戦闘速度で対空陣地を避けながらの爆撃だと

どうしても燃料を多く食うんだよな。


 

「それでも優秀ですよ。戦闘機で制空権さえ取れればいいんですから」

「でも敵にも対空砲があるかも知れないわよ」


 うちの対空砲も一万メートルを狙えそうだからな。


  

「おチビちゃんたちはまだまだだな。俺は最高高度を言ってないぞ

最高上昇高度はな……」


 

       

「「「「じらすな」」」」



「高度一万三千五百メートルだ!」

 

「ダン、よくやった」

「偉いわ」

「見直したぜ」

「おじさま素敵」

「鴨の子は鶴を超えるんだな」


「燃料満載で空母から離陸は出来るのか?」

「残念ながら満載状態じゃ無理だ。給油が必要だな」


「なんだよ落ちがあるのか」

「この高ぶった高揚感はどうすればいいんだよ」

      

「満載だったらの話だ。三式戦闘給油機もあるし何とかなる」


 空母は無理かと思ったが積めるのか。これがある意味

一番の高評価かも知れない。前の長距離爆撃機は積めなかったからな。


「よし、ダン、速やかに大増産だ」

「そういうと思ってたよ。テスト飛行の後に整備して欠陥がなかったんでな

ヨハンに言って極秘裏に百機ずつ作って置いたぞ」


「ヨハン、知ってたのか?」

「なんだよ、ヨハンとダンはぐるかよ」

「一人だけずるいです」


「計画を聞いたときは二型で報告出来るかと思ったんですが、三型に

なったなら満足な性能を叩き出すまで研究しようという事になりまして」


「まあいい」


 まずは戦闘機から増産だな。


「それじゃ戦闘機から増産を始めてくれ」

「任せとけ!」


 

 

 なんか心に余裕が出来ると遊びたくなるな。

           

「ラライラちゃん、ノーラ姉さんとは上手くやってる?」

「ノーラお姉ちゃんは優しくて美人さんですし働き者です」


「今年は米の栽培なの?」

「去年が大豆だったから、お父さんが今年はお米にするんだって

お隣はまた別みたいだけど」


「ちょっと羊の数が減ってない?」

「そうだな、俺が前に見た時より三割くらい減ってる感じだな」

「わたしにもそう見えますね」


「羊の乳のじゅようっていうのが牛さんに負けちゃったんだって」

     

 羊の乳でチーズを作れば牛の二倍以上作れるんだが

匂いが嫌いだという人もいるからな。


「残念だね」

「まったくだね」

「王様も何してるんだろうね」

 

 俺に文句言うなよ。裕福になってきた弊害か。


「でも牛さんは百頭も増えたからみんな満足みたい」

「そうなのか」

「農家も厳しいね」


 ラライラちゃんが大きくなったら羊からは撤退するつもりか。


「でも軍人さんにはまだ売れるから大丈夫なんだって」

「コンラート、多めに買ってやれ」

「そうだぞ。山羊の乳も軍で買ってやってくれ」


「注文をつけるなら仕事を減らして下さいよ」

「ニコに比べれば暇だろう」

   

「せめて無線関係だけでも余所へ」

「まだまとまってなかったのか?」


「基本的にはまとめましたけどね。苦情が空軍に来るんですよ

それに来月からラジオ放送の開始じゃないですか」


 TVの普及は無理だからラジオにしたんだったな

パーソナリティは誰がやるんだろうな。


「ダンも一段落ついただろうし相談してみてくれ」

「ラジオってこれ?」

    

「そうだよ」

「ラライラちゃん、もう持ってるんだ」

    

「えっとね、ノーラお姉ちゃんに買って貰ったの」

「金貨四枚だからな」

「小型は黒金貨一枚だぞ」

  

「たまに飛行士さんが話す声が入ってくるよ」


  コンラートよ、ダメダメじゃないか。

    


 

        

 そして桜も咲いたので花見だ。

 

「花見というのもいいものね」

「そうだろう。桜はいいよな」

「食べられないのが残念ね」

「我々も農作物以外にも費用を費やせるようになったという事ですよ」


「娯楽ってやつね」

「カラオケや映画なんかと同じだ」

「そう考えると手間がかからない分お得な気がするわ」


 お隣と緊張状態のままなのに花見とは我ながら余裕がある。


「満腹亭のチャーシューじゃないか」

「メンマもあるな」

「分けて貰ったのよ」


「夏になる前にまた食べに行かないとな」

「今年からざるラーメンを始めるって言ってたわ」


「なんかのどかね」

       

「いいのかしら、こんなにのんびりしていて」

「西大陸は潜水艦の攻撃で大変らしいな」

「若様、いいんですか?」

 

「トレミー帝国から使者が来たら兵を出す予定だよ」

「トレミー帝国はほとんど攻められていないみたいなのよね」


「俺達が北の海を封鎖してるからじゃないか?」

「そうかもね」


   

『みなさんこんにちは。本日開局した。チャンネルアリスです

初日のゲストは当局の名前の由来にもなった、アリス・フリーダムさんです』


『みなさんこんにちは。アリスです。お隣は大変だけど私達は決して負けない

一曲目は無敵の第一航空師団です』


    

「兄貴、妹さんは乗ってますね」

「随分と綺麗な音が流れますね」

「どんどんラジオ局は増えるんでしょう。これなら金貨四枚なら売れるわね」

「一年間の保証付きだしね」

  

 運転中や農作業中に事故が起きそうで怖いけどな。  

      

「シャル、太ったんじゃない?」

「そんなミーアこそ」

     

「子供を産むと太るのは普通だって言うぞ」

「仕方ないよね」


「「無神経」」

                

「リリーナ、おにぎりは美味しいか?」

「おかかおにぎりは最高です」


「どうせならあぶりマグロを豪快に行けよ」

「お勧めはノルト産の塩鮭ね」

      

 平和だな。

 現在のフリーダムで領土は十分かな。あとは早いが子育てに力を入れるか。


   

    

 一週間後には戦局は想定外の南下という報告が来た。

  

「南下しましたね。私達の三型の情報が漏れたのでしょうか?」

「その可能性が一番高いね」


 トレミーは二度ほど空襲を受けたようだが軽めの空襲だったようで

撃退に成功したので救援要請は来てない。


「しばらくは様子を見ましょうか? 敵にも新兵器があるかも知れません」


    

潜水艦を研究していて、更にその先か?


お読み頂きありがとうございます。


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