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エピローグ
十二年後。
一人の十六歳ほどの少女が、月冠山を登っていた。
白い生贄の装束ではない。村娘が普段身につける質素な服に、小さな籠を抱えている。
長い石段にも、山道にも、供をする者はいない。祈りの列も、鐘の音も、別れを惜しむ人々もいなかった。
少女は山頂へ着くと、籠を静かに開いた。
中には、月白花だけで編まれた花冠が一つ。
両手でそれを抱え、岩の上へそっと供える。
山頂には、同じ花冠がいくつも並んでいた。
新しく供えられたもの。朝露をまとったもの。季節を越え、少し色褪せ始めたもの。
どれも白い花だけで丁寧に編まれている。
少女は新しい花冠をその列へ加えると、小さく一礼した。
風が吹く。
月白花の花弁が揺れ、山頂に甘い香りが広がる。
見上げた空には、雲ひとつない満月が静かに浮かんでいた。
読みづらい部分も多々あったかと思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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