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ユメタロウ 旅立ち


「こんにちは~。ごめんねぇ、あたしの手違いで貴方を死なせてしまったの!」

「お詫びに、今の姿のままで、貴方がいたのとは別の世界で新しい人生させてあげる」

「しかも、貴方が望んだ力もセット!お得でしょ?」

「力って言うのは、まあ超能力とかそんなもの。なんでも良いよ、好きな力を願って」

「え?大地と話がしてみたい?大地ってアレ?地面のこと?」

「本当に良いの?もっとスッゴい力使えるよ?良いの?じゃあ良いけど…」

「ほら、これで地面と意思疏通できるよ。念じればテレパシーみたいにびびびーって」

「あ、そうだ。向こうには魔王がいるから気を付けてね。倒したらあたしがご褒美あげるよ」

「それじゃ、いってらっしゃい!じゃあね」









目を開けると、そこは森だった。

ツンとした土の香り、鼻をくすぐる木々の匂い、若干臭気が強いのは、野性動物がすむ証拠か。

ユメタロウは自分の顔を拭った。確かな実感と共に、これは現実なんだと自分に言い聞かせる。


「誰?」

「え?」

「君は…誰…?」


声が聞こえた。思わず見渡しても、どこにも誰もいない。


「君は誰?」


声の主は見当たらない。


「僕は高間夢太郎、君は?」

「私は、地面、土地、大地、土、山、川、地上…」

「そう呼ばれているんだね?」

「…そう呼ばれている」


あの女神の言っていたことは、嘘ではなかった。ユメタロウは顔に笑顔を浮かべ、立ち上がる。


「貴方とお話ししたいんだ。もっと!あ、下を向けば良いのかな?」

「君は新しく来た」

「えっ?」

「ここで生まれたんじゃない。新しく来た人」

「僕が、別の場所から来たって言うこと?」


聞き返すユメタロウ。

女神の語ったことが全て真実なら、ここは異世界で、自分は元いた場所からここに移されたということだ。

異世界の側から見れば、自分は異邦人に他ならない。


「僕はこことは別のところから来た。ここのことを教えて欲しいんだ」

「君は…」

「お兄さん、何しているの?」

「え?」


甲高くて幼い声が、大地を名乗る者との交信を遮った。

振り返れば、そこにいたのは小さな子供だった。ちんちくりんで、愛らしい瞳で、ごわごわのシャツとズボンを身に付け、そして横に長い耳を持っていた。


「え、耳?え?」

「お兄さん、一人でお喋りして何してたの?」

「ぼ、僕は…」


ユメタロウと子供の目と目が合う。じーっと見られるユメタロウ。

頬をかき、気まずそうに目を背ける。だが、大地は何も喋ってくれない。

子供はユメタロウを見つめ続ける。


「ユリー、どこなの?ユリー!」

「ユカお姉ちゃん!」

「見付けた!もー勝手に離れちゃダメでしょ~」

「あっえーと…」

「お姉ちゃん、あれ!あの人」

「…?うわっ、誰かいる!」


木陰の向こうから、子供とは違う人影が現れる。女性だ。

その外見的特徴はユメタロウのよく知る人間と合致する。耳長の子供と比べれば、ちゃんとした長さの耳がある。

ユカと呼ばれた女は、ユメタロウの体を頭から爪先まで見て言った。


「…ストレンジャー?」

「えっ」


ユメタロウは思わず聞き返す。


「ストレンジャーって、何ですか?」

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