風峰は、真実を言う
「風峰先輩……すみません、私が離れなかったせいで勘違いされて……」
秋葉は、涙目になる。
「いや、秋葉は悪くない。美咲に本当のことを話しているれば、勘違いされることもなかった。だから、ずっと騙し続けた俺のせいだ」
俺は、立ち上がる。
「すまん秋葉。美咲のところに行く」
俺は決めた。
本当の事を言おうと決意した。
今まで別れるのが嫌だから言わなかったが、このまま黙っていても別れることになってしまう。
だったら、本当のことを言ってしまおうと。
橋についた。
橋のちょうど真ん中に、美咲が立っていた。
悲しい表情をして、こちらを見ていた。
「美咲……」
「風峰……私たち別れよう……」
美咲は言う。
「秋葉ちゃん、あんなに風峰に甘えて、とっても風峰のことが好きなんだね……。多分、私よりも好きって気持ちが強いんだろうね……」
「……違う」
「違くないでしょ……?」
「違う!」
俺はきっぱりと言う。
風が吹いた。
風は、俺たちの髪の毛を乱す。
その風の吹いてる中、まずは隠していたことを言う。
「美咲、落ち着いて聞いてくれ……。実は、お前は俺の妹なんだ!」
美咲は喋らない。
沈黙が続いた。
風の音しか聞こえない。
「……てたよ」
「え……?」
「知ってたよ!そんなこと!」
美咲は、知ってたと言った。
どう言うことだ。
「な、なんで知って……」
「考えてごらん?私を育てたのは、風峰のお母さん。そんなこと知ってるよ」
俺は、今まで思ってもいなかった。
美咲のいう通りだ。
美咲の母が俺の親なら、美咲が知っていてもおかしくないと。
「じゃあ、美咲はそれを知った上で……」
「うん、付き合ってたよ。それくらい風峰のことが好きだったから……。でも、秋葉ちゃんは私より風峰のことが好きだろうし……。風峰も秋葉ちゃんのことが好きそうだし……」
「美咲!美咲は勘違いをしている!」
俺は言う。
秋葉は、俺のことが好きだ。
でも、それは兄としてだ。
そして、俺も秋葉のことが好きだ。
しかし、それは妹としてだ。
「秋葉は、実は甘えん坊な性格なんだ!だから、さっきみたいに俺に甘えてたんだ!」
「えっ……?」
「その通りです!」
俺と美咲の横から、突然声がした。
そこには、秋葉と春花が立っていた。
「私は、風峰お兄ちゃんが大好きです!でも、あくまで兄としてです!美咲先輩から風峰お兄ちゃんを奪う気はありません!」
「秋葉ちゃんの言ってることは本当です……!」
二人は言う。
「え……それじゃあ風峰の言ったことは……」
「本当だ。秋葉は甘えん坊で、俺のことを兄として好きなだけだ」
「じゃあ、浮気してたと思ってたのは、私の勘違いだったの……?」
「そういうことだ。それと、俺は美咲が好きだ。だから、美咲が俺の妹だとしても、今まで通り付き合ってほしい」
「あ……ああ……」
美咲は、涙を流す。
そして、俺に抱きついてきた。
「うわぁぁん!風峰ー!ごめんね!勘違いして……!それと、知ってたことも黙ってて、風峰も疑って……!」
「落ち着いてくれ。俺も悪かった。美咲と兄妹だってバレたら振られると思って黙ってて……それと、美咲を不安にさせて……」
俺は、美咲の背中に手を回し、背中を撫でる。
美咲は、より強く抱きつく。
そして、長い間泣き続けた。
美咲は落ち着くと、顔を上げる。
「それじゃあ、改めまして、よろしくね。風峰……あっ、私は風峰の妹か。じゃあ風峰お兄ちゃんだね。これからもよろしく、風峰お兄ちゃん」
そして、美咲は俺にキスをした。




