目撃
目が覚めた。
俺は、体を起こし、着替える。
今日は春花と秋葉と出かけるのだ。
家を出て、待ち合わせ場所に向かう。
「あっ、風峰お兄ちゃーん!」
俺のことを見つけた秋葉が、俺に抱きつく。
それに続いて、春花も抱きつく。
「早く行こ!」
「行こう……!」
二人は俺の手を握り、ピョンピョン跳ねる。
「わかったから落ち着け」
俺は、興奮している二人にそう言う。
そして、俺たちは店の中に入って行った。
店内はとても綺麗だった。
色々な店があり、二人はそれを楽しそうに見て回った。
それを見ていた俺も、なんだか嬉しくなった。
歩き回った俺たちは、疲れたので休むことにした。
「風峰お兄ちゃん!あそこで休もう!」
店の外に休める場所があったので、そこにあるベンチに座る。
二人は、俺を間に挟んで座った。
「疲れちゃったね……」
「歩き回ったからな……」
俺と春花はとても疲れていた。
しかし、秋葉はまだ少し元気だった。
「元気だな、秋葉」
「うん!だって風峰お兄ちゃんと一緒に出かけてるんだよ?元気でるよ!」
「そうか?」
俺たちは休みながら話していた。
「……ちょっとトイレ……」
春花はそう言うと、立ち上がり、トイレの方に歩いていった。
「それじゃあ、春花が戻ってきたら行くか」
「うん!」
秋葉はそう言うと、俺の腕に抱きついてきた。
「ちょっ、恥ずかしいからやめろ!」
「いいじゃん、美咲お姉ちゃんにいつもされてるくせに」
秋葉はそう言い、更に強く抱きつく。
「やめろって」
俺は、腕を引き抜こうとした。
しかし、秋葉は離さない。
仕方ないから、腕を引き抜くのを諦めた。
その時、俺たちに声がかけられた。
「風峰……?」
俺の前には、美咲が立っていた。
美咲の顔は、笑顔ではなかった。
浮気している彼氏を見るような、そんな表情をしていた。
美咲は、無言で走り出した。
「ま、待て!美咲!」
しかし、美咲は止まらない。
完全に誤解されてしまった。
「風峰お兄ちゃん……大変なことになっちゃったね……」
秋葉が言う。
その時、携帯にメールが届いた。
俺は、恐る恐るメールの内容を見る。
私と風峰が出会ったあの橋に来て。
そこで、私たちの関係を終わらせよう。
そう書かれたメールが、俺の携帯に届いていた。