保健室
目が覚めたら、目の前は真っ白な天井だった。
その天井を見て、又倒れて保健室に運ばれて来た事を思い出す。
そういえば、翼さんにほっぺにキスされて息が出来くなったんだっけ。 正直息が出来ない時には死んじゃうかもと思ったんだけど、結構元気に生きてるものなんだな~。
「起きた?」
声の方を振り返ると、保険医の草薙先生が椅子に座りながら頬杖を付いて面白そうにニヤニヤしながら私の事を見ていた。
翼さんから話を一部始終聞いたんだろうか。
「…起きました。御迷惑お掛けしました。」
玩具の様に遊ばれても困るので、ベッドの端によって立ち上がろうとしたら、草薙先生がこちらに来て、肩を押されて又座らされた。
「まぁまぁ。もう授業が終わったら放課後になるし、少し話を聞かせて。華ちゃんは過呼吸をおこして挙句の果てには失神までしてしまっていたのよ。すぐ帰せないでしょ?」
「…何の話をすれば良いですか?」
「まず、何故そういう状態になったのか?かしら。」
「翼さんから聞いたんじゃないですか?」
「聞いてないわよ?あの子聞いても何にも話さないんだもの」
草薙先生は何故私が倒れていたのか知らなかったみたい。
ニヤニヤしていたから、つい翼さんが全部話をしたのだと思っていたけど違ったらしい。
目の前に草薙先生が立ったままで、逃げようとしてもすぐ捕まってしまうと思った私は仕方なく一部始終を草薙先生に話した。
「なるほどね〜。身体を張って翼君の事が男なのか女なのか確認したのね?流石華ちゃんね~」
「……話きちんと聞いてましたか?」
「あら、嫌だ。冗談よ、冗談っ!!!ちゃんと聞いてたわよ~。何だか、面白そうだったからつい言っちゃったのよ!相変わらず、睨む時だけ私の顔見るのやめてよね~!」
あ~、怖い怖いと言いながら、側から離れてくれたので、これ幸いと立ち上がり、出ていく準備をした。
「あっ、そうそう。翼君が心配そうに色々と聞いてきたけど、一応男性アレルギーの事は話さないでおいたわよ。あの子は見た目は美少女だからね。きっと、他の子も傍目に見ても男性アレルギーだとは気付かなかったと思うわ。話したくなったら自分の口から話しなさい。」
後ろ向きに手をヒラヒラさせていたので、私も草薙先生の後ろ姿にありがとうございましたと言いながら、立ち去る。
顔を見ながら話を出来ない事を気遣ってくれているのだと思う。
草薙先生のこうした女性的な優しさには本当に救われる。
それに、隠しているつもりは無いけれど、男性アレルギーの事も今まで話さないでいてくれる事にも安心した。 保健室を出ると廊下の窓際にもたれ掛かっている美少女を発見した。
「……翼さん?」
遠目ではっきりと確認が出来なかったので疑問系で聞いてみると、そろそろとこちらに向かって歩いて来てくれた。今は授業中のはずなのに、ずっと私が出て来るまで待っていてくれたんだろうか。
「……………あのさ、さっきは悪かったな。急に………頬にキスして」
「こっちこそ、女の子だと勘違いしちゃってすみませんでした。それから、保健室に連れて行ってくれてありがとうございました。…じゃあ」
そう言って、会釈をしなが立ち去ろうと翼さんの隣を通った時に、又声を掛けられる。
「貸し1つだからな。……じゃあな、華」
そう言って、翼さんは走り去って行きました。ちゃんと私の名前覚えてるじゃない。
丁度終了のベルが鳴ったので、私は嘆息混じりに鞄を取りに教室へ向かい、そのままの足で生徒会室へ向かった。




