生徒会②
教室から生徒会室へ向かう途中で背の高いアフロ君を見付けた。彼を壁代わりにしてなるべく音を出さない様に小走りで走りながら付かず離れずの状態でパタパタと付いていく。
背が高く、歩幅が長い彼に付いていくのに必死で前を良く見ないで歩いていた為、急に立ち止まったのを気付かずぶつかって尻もちをついてしまった。
「痛っ」
「うわっっっ!!!大丈夫か?」
「ごめんなさい。大丈夫です」
アフロ君もとい加藤君は、尻もちを付いた私を見た後中腰になって手を差し伸べてくれた。その手を見た後、心の中で謝りながら床に手を付き立ち上がった。
「ありがとうございます」
「夏凪って本当に人間ギライなんだな」
加藤君は、眉を八の字にして苦笑しながら私に差し伸べてくれた手を引っ込め姿勢を正す。本当に申し訳無い。歩きだした加藤君の後ろを距離を置きながら付いていく。
「そういやさ、夏凪って生徒会の初日の顔合わせの時も俺の背中に隠れてたよな!急に自己紹介の時に後ろから声が聞こえた時は正直ビックリしたぞ!いつも俺の後ろを歩いてるのか?」
「…加藤君が見つかった時は」
加藤君は後ろ向きになり歩きだすと指で頬をかいた。
「…そっか。でも今日みたいに急に立ち止まった時に毎回転ばれたら俺も嫌だから、後ろ歩く時は声掛けてくれないか?」
「分かりました」
加藤君は後ろに付いてくる私の事を振り返りながら話すと、最後にはニカッと白い歯を剥き出しにして笑った。私の事に気付いてからさり気無く歩くスピードをゆっくりしてくれたり、転んだ時に手を差し伸べたりしてくれたので、悪い人では無いんだろう。
それに、1言断りを入れれば"壁"となってくれるのならば、ただでさえ女子が少ない上での好機の視線を浴び続けなければいけないという、華にとっては地獄の様な状況を救ってもらえるのだ。華は了承の返事を返しつつ、そんな提案をしてくれた加藤君に少なからず好意を抱いた。
そうこうしている内に生徒会室に着いたらしいので、加藤君に続いて生徒会室に入室した。
「こんちはー」
「こんにちは」
「おぉー!来たか。待ってたぞ。入れ入
れ!!!」
「加藤君と夏凪さん、いらっしゃい」
「どうぞ」
「待ってたって、何かあったんすか?」
「まぁ、とにかく座れよ」
海津会長が着席を促したので、私と加藤君はその言葉に従って自分の座席へと座った。
私の席は、今は見慣れた教室の端。
そのまま座ると皆に背を向けて座る事になる。それは流石に失礼なので、椅子を横に向け顔を海津会長の方へ向けた。視線は海津会長の後方にある窓を見つめたままだけれど。
「やっと、コレが出来たんで目を通してくれ」
そう言うと、海津会長はバサッと加藤君の目の前にルーズリーフの束を放り投げた。私の位置からは見えないので仕方無く加藤君の側に寄り、彼の背中から覗き込む様にルーズリーフの束を見た。
そして、見た瞬間に顔を顰めた。
「あ~、人間ギライ克服計画〜その1~って何すか?」
「いや~、前に夏凪くんの人間ギライを克服させるって話しただろ?その計画書だ!」
「海津…最近何か忙しく書類を作成しているとは思っていたのだが、まさかコレか?」
「光君面白そうだね~。んで、具体的にはどんな事をするつもりなの?」
「簡単に言えば、ボランティアだ!」
そう言って、海津会長はドヤ顔をした。
その様子を見た私達は呆れた私と稲元副委員長、楽しむ海津会長と遠野先輩と加藤君とで表情が全く違う。
黙々と書類整理をしていた私と同じく黙々と作業していた海津会長はこの計画に全ての時間を費やしていたのか、手書きなのに表紙からやたらと凝った作りをしていた。
中をペラペラと皆で見ると、海津会長がポイントと思っている場所にはアンダーラインが色別で引いてある。
しかもきちんと定規で真っ直ぐ引いてある所を見ると、意外と真面目な性格なのかもしれない。見た目はチャラチャラしているのに
「っつー訳で、まずはボランティアのごみ拾いから始めようと思う。そして、そこに書いてある様に夏凪の人間ギライを克服するまで計画は続行するつもりなので、宜しく!」
「海津先輩、1言で説明終わるならこのプリント要らなく無いっすか?」
「いや、これは気持ちの問題で必要なん
だ」
「お前はこういった物を作るのに本っ当に時間は惜しまないよな。その方向が残念な物が多いが」
「光君は本当に器用だよね~!」
「最後に夏凪!これは、絶対実行するからなっ!!!」
そう言って、海津会長はビシッと私に向かって指を向け宣言した。
え~、拒否権無いんですか?




