生徒会
あのラヴレター騒動から2日後。
夏凪華は生徒会室の前まで来ていた。
3階の校舎の一番端に設けられた生徒会室は、華にとってはそれだけで逃げ場の無い様な牢獄の様に思えてならず、生徒会室という表札を見ながら教室前で佇む事しか出来なかった。
手紙を貰ってから2日間色々と考えてはみたものの、生徒会で活動する以外に言い案が浮かばなかった。
意を決して足を動かそうとした瞬間、後ろから声が掛かった。
「入んないの?」
聞き覚えのある透き通る様な声に、少しだけ顔を向けて目の端で姿を捕らえると、入学式で新入生代表を務めたアフロヘアの男の人が立っていた。
「……先にどうぞ」
「サンキュ」
そう言って彼は、ニッと白い歯を見せて笑いながら、サッサと教室内に入って行った。
身長高っ!!!
彼は、190cmはあるんじゃないかと思われる高身長で、身長が155cmしか無い華はかなり見上げ無いといけない感じである。
とにかく、今が大チャンス!!!
これだけ身長が高いんだから、私が後ろに居れば他の人に、あんまり見られずに済むんじゃ無いだろうか?
そんな事を考えた華は、アフロヘアの彼に一定の距離を保ちながらずっと後ろを付いて教室に入った。
「どーもー。会計で打診されて来た加藤大志です。1年です。宜しくお願いします!」
彼は、教室を見渡すと椅子に座っている面々に会釈をしながら挨拶をした。
私も彼の背中から顔だけ出すと、床を見ながら挨拶する。
「こんにちは。夏凪華です。書記を打診されました。」
言い終わると直ぐ彼の背中にまた隠れる。
「「「うわっっっ」」」
椅子に座っていた面々は、正面の彼しか見えなかったんだろう。
いきなり後ろから現れた少女にビックリしていた。
「……まぁ、2人共空いてる席に座れよ」
加藤大志はその場を離れようとしたが、壁が無くなっては困ると思った華がブレザーの裾を引っ張り静止させていたので、サッサと諦めたらしい。
「このままでイイっす!」
「オーッス!んじゃ、面倒クセーんで自己紹介始めちゃうわ。オレ海津光輝。会長ねー!学年は2年!」
「俺は稲元宗太郎。同じく2年で副会長です。宜しく」
「僕は、遠野霧矢。同じく2年生です。それで、加藤君と同じ会計です。宜しくね!」
"壁"から少し顔を出し確認する。
会計の遠野先輩は栗色巻き毛で2年生には見えない……って言うか、年下に見えます!
副会長の稲元先輩は、黒髪眼鏡で目が鋭い。
会長の海津先輩は、金髪にピアスでいかにも遊び人な容姿。
3人に共通して言えるのは、顔が格好良いと言う事だろうか。
アフロ君はほぼ髪しか見てないから分かんないけど。
「3年生はいないんすか?」
「何か、今年はいねーな。どういう基準で選んでんだか知らねーけど」
「ついでに言うと、女子は夏凪さんが本校始まって以来の生徒会委員で書記なので、宜しくお願いします。」
このメガ……稲元先輩は眼鏡の奥で鋭い目を私に向けながら言った。
プレッシャーを与えるつもりなんだろうか。
「……頑張らせて頂きます」
「もぅ、宗!折角女の子1人しか居ないんだから虐めないんだよ!!!夏凪さんごめんね〜。宗って女の子に昔から厳しいんだ!だから、夏凪さんにだけこんな態度って訳じゃないからねっ!!!」
そう言って、遠野先輩はニコッと笑った…って言っても顔を見てる訳じゃないので、そんな気がしただけだけど。
「それとよー、コレ今までの引継ぎの資料なー。それから、コレは新しいノートとバインダーらしいんで、今年1年間の纏めて入れてってくれだってさ。」
そう言って、海津先輩は机の上にドサッと今までのノート等を置いた。
私には、明らかにゴミにしか見えない様なグチャグチャなんだけど…。
まずは、前期のノートとバインダーの中身を整頓する必要があるみたい。
「それから、加藤は遠野と会計2人だが、遠野のサポートって感じみたいだな。ウチは会計だけは不正をし遠野先輩ない様に代々2人立てるみたいだ。ま、その他雑用もヨロシクなー」
そう言われるや否やアフロ君は遠野先輩の元へ行って早速仕事を習いに行ってしまったので、壁が無くなってしまった私も自分のやるべき事をやる事にした。
まず、机の移動から。
ガタゴト言わせながら、教室の隅に持って行き他の4人に背を向けるような配置にさせた。
「……オマエ、何やってんの?」
「こちらの場所の方が私には効率が良いので、気にしないで下さい」
な~んて、目が合って無意味に倒れたりしない様になんだけど、効率が悪くなるっていうのは本当だから、嘘じゃないよね?
確かに、背中向けるって言うのは失礼だけどさ~。
「おしっ!!!決めたっ!!!!!第一回の生徒会活動を何にしようか考えてたんだけど、オマエの人間ギライを治す事にしよう!」
「……はい?」
「いやー、生徒の悩みを克服してやるなんて、生徒会会長サマは忙しいなー。」
「いや、あの勘違…」
「まぁまぁ、良いってもんよ!ドーンッと俺達に任せろ!!!」
いやいや、だから聞きなさいよ…。 私は額に手を添えて小さく溜息を吐きながら書類整理を黙々とやる事にした。
この生徒会長は手強い…そう心の中で感じながら。
やっと、生徒会の面々を出せました〜。
遅筆ですが、読んで下さってる皆様にいつも感謝しています。
ありがとうございます!




