挨拶週間
「挨拶週間を明日からやるから、皆明日から学校へ早目に来るように。」
生徒会室に入るや否や海津会長がそう言った。
「宗君、それ一列になって校門前で皆でおはようございまーすってやるやつ?」
「そう、それそれ!」
「何で又あなたはそうやって急に言うんですかね。もっと前々から言ってくださいよ。先生に許可を頂いたり動くのは結局誰だと思ってるんですか。」
「そりゃ、光輝に決まってんだろ。」
「だから、それを事前に言えって言ってんですよ。」
溜息をつくなりそれでは行ってまいりますと稲元先輩が教室を出て行く。そんな稲元先輩に対して、海津会長も遠野先輩も手をひらひらさせながら行ってらっしゃいと送り出してしまった。
もっと早く言ってあげられなかったのかな。何だか事後処理をする稲元先輩が流石に可哀想になってしまった。
「ちなみに夏凪、これは立派な人間キライ脱出計画の第3段だからな。」
「えっ、そうだったんですか。」
「だって結局色々な人間に会っていった方が早く脱出出来るかもしれないだろ?ショック療法になっちまうかもしれないけど、そこはまぁ学校だから保健室もあるし何かあったとしてもその対処は出来る。だからとりあえずどんどん挨拶してって当たって砕けろ!」
「いや、光君砕けるっていうのはちょっと。」
「確かに、海津会長の言う事もわかります。倒れる前にもし危なくなったら俺の後ろにでも隠れてて良いからさ。」
お前は母ちゃんかと海津会長が加藤君に突っ込みながら皆が笑う。そこに早々と稲元先輩が帰ってきて、明日から挨拶週間やっても大丈夫だそうですよと伝えてくれる。
そこで皆で今日の生徒会活動は帰るまでの間挨拶の練習をして各々帰る事にした。
次の日海津会長の言った通りに早くに学校に着いて挨拶週間の準備をしていた。
と言っても、荷物を事前に教室に置いてくる位の事だけだけれど。
その後皆で校門の前でおはようございますと生徒や先生に言っていくと概ね皆好意的に返事を返してくれたり会釈をしてくれたりする。その様子も眠そうにしている人もいれば元気に走りながら登校する人もいたりして人の観察が出来る余裕が生まれている事に嬉しくなった。
「海津会長、いつもありがとうございます。」
「夏凪、何だ急に。」
「いえ、色々といつも考えて下さっているのに感謝を表現した事が無かったなぁと思いまして。」
「華ちゃん、最近少しずつ対応も柔らかくなってるもんね。」
「多分、色々な方の手助けのお陰だと思います。」
「そういうなら、加藤の後ろから全部身体を出せるようになると良いんだがな。」
そこはまだ勘弁して欲しい。1対1は少しずつ目を合わせられる様になってきたけど大人数からの目線を合わせるとまだまだ鳥肌からすぐにでも倒れそうになってしまうから。
「…頑張ります。」
「とりあえず、まだまだ1週間は挨拶週間だからそれまでにはちょっとずつ身体を見せられる様になるのが当面の目標かな。」
「何か洸君の言い方だと下品に聞こえるよー。…って痛い痛いっ。」
海津会長から遠野先輩へ米神にグリグリやられるのを少し穏やかに見ながら生徒会へ入って良かったと思った。




