あだ名
「ねぇ、何やってんの?」
ふと、声がした方を向けば相変わらず美少女な翼さんが居た。蛍光緑のジャージを着ながら、前髪はゴムで軽く結んでいて、朝練で走ったからか顔がほんのり蒸気で赤く色付いているせいで色気が倍増…男の子なのが残念。
「えっと……ごみ拾い」
「…それにしては、ごみが入ってないみたいだけど?」
「ん〜っと、用務員さんが綺麗にしてくれてるから、ごみが無いっていうか…」
「ふーん。ま、良いや。あっちの方にごみがあるから手伝うよ。行こう!」
そう言うと、私のジャージの袖をつまみながら歩きだした。
向かった先は、グランドの先の植物園だった。ここはパッと見グランドから隠れているのに、寮生以外にも知っている人が居るんだなんて、ちょっと思ったけど、美少女な翼さんが寮に入ってても誰も気付かない気がする
な~。
「ねぇ、そう言えば知ってる?」
「…何を?」
「最近、華『親指姫』って呼ばれてるらしい
よ?」
えっ?びっくりして、翼さんの事ガン見しながら瞬きしちゃったよ。危ない。
「…なぜ?」
「なぜって、華生徒会入ったんだ
ろ?それで、毎回加藤ってアフロのやつの後ろ歩いて無いか?」
「………歩いてる」
「それで、何かちっちゃいし親指姫っぽいから親指姫ってあだ名付けたらしい」
「…親指姫ってそんな話でしたっ
け?」
「まー。それ以外にもコバンザメとか、ひっつき虫とか、子泣きばばぁとか」
「…いや、最終的に悪口になってないですか?」
翼さんをジトッと睨む。
子泣きばばぁって…。流石にどうなのよ?
「それよりさ、華に聞きたい事あるんだよね」
そう言って、翼さんは顔をグッと近付けてきた。




