美人と無邪気な花
無邪気な美人というのは最強ではないだろうか?
犬と遊ぶ友人を見てそう思う。
周りの視線もちらちらと彼女に向けられている。
それに彼女は少しも気づいていない。
彼女は昔からそうだ。
美人なのに自分の容姿に無頓着だ。
美人の友人の隣に平凡な顔の私がいればいろいろと言われてきた。
だけど引き立て役にされているわけではない。
周囲が勝手にそう認識するだけだ。
「相変わらずだよな」
隣で見ていた彼が呆れたように言う。
彼女と彼と私。
三人で幼馴染みだった。
「そうだね」
私は隣に立つ彼を見上げた。
「ん? どうした?」
「行ってきてもいいよ」
「いや、遠慮しておく」
その嫌そうな顔に思わず笑ってしまう。
彼はいつも私の横に立つ。
彼女ではなく、私の。
だから余計な期待をしてしまう。
彼は私のことをーー
彼女が犬とともに私たちの名前を呼びながら戻ってきた。
「二人はいつも一緒だね」
「え、三人で一緒だよね」
「うーん、私をはおまけじゃない?」
「え、違うけど」
ね、と隣の彼を見上げる。
「さすがにおまけとは言わないぞ」
「そう?」
彼女は私ではなく彼をじっと見る。
「当然だろ」
「そっか」
ふーん、そっか、と何故か一人納得している。
そしてあっさりと言う。
「まあいいや。行こ」
犬に声をかけてまた走っていく。
「あいつだって大事な幼馴染みだ」
「うん」
なら私は?
そう思ったけど訊けない。
そんな私の耳に彼の言葉が降ってきた。
「でも、お前は俺の特別」
「え?」
「お前が好きだ」
差し出されたのは一本のデージー。
照れ臭いのか彼はそっぽを向いている。
だけど耳まで赤いのが見て取れた。
私はそっとデージーを受け取った。
「ありがとう。私も好きだよ」
「そうか。……よかった」
何だか照れくさい。
私たちはお互いに顔を赤くして別々の方向に視線を向けた。
だけど、手だけはお互いを離れないようにとしっかりと握っていた。
読んでいただき、ありがとうございました。




