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小さな花の物語  作者: 燈華


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312/312

親切の花4

公園の中をふらふらと歩いている。

休みたい。


前方にベンチを見つけた。

木立ちベゴニアが側で咲いている。


ふらりふらりと引き寄せられ、ベンチに腰かけた。

もう一歩も動けそうにない。

自然とうつむく。


どれくらいそうしていただろう?

隣に誰かがすっと座った。

馴染みのある気配。

だけど顔を上げる気力もなかった。


「大丈夫?」


心配そうに声をかけられ、気力をかき集めて顔を上げる。

恋人である彼が心配そうな顔で私を見ていた。


はい、とミルクティーのペットボトルが差し出された。


「……ありがとう」


受け取って両手で持てば温かい。

初めて指先まで冷えていたことに気づいた。

そのままぎゅっと握って暖を取る。


「親切にするのは美徳だけど、君が疲れ果てるまでやることではないよ。それは、搾取だ」

「……搾取じゃないよ。私が勝手にやってるだけ」

「じゃあやめなよ」


口を開きかけて、また閉じる。


「勝手にやってるだけならやめられるでしょ?」

「それは、そうだけど……」


今さらやめたら何て言われるか。

弾かれるかもしれない。

それが、怖い。


「それで文句を言うようならそれは搾取だよ」


彼の言葉が突き刺さる。

見て見ぬ振りをしていたことを突きつけられた。


便利に使われていることには気づいていた。

だからこんなに疲れ果てているのだ。

そして彼女らは私が倒れたところで気にもしないのだろう。


「……そうだね」


彼はじっと私を見ている。

私の決断を待っているのだ。


「もう、やめる」


震えるほど怖いけど。

それでも、もう搾取されるのは、嫌だ。


「うん。君は一人じゃないよ。僕がいることを忘れないで。僕はいつも君の味方だから」


そうだ。彼はいつも私の味方だった。

いつも、心配してくれていた。

私に押しつけてばかりの彼女らより、目の前にいる彼のほうがずっと大事だ。

そんな大切なことさえ忘れていた。



手を伸ばして彼の手をぎゅっと握る。

彼は彼の手を握った私の手の上から反対の手でぎゅっと握った。

その温かさに勇気がもらえた。


「ありがとう」


読んでいただき、ありがとうございました。

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