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追想の花
追想なんて嫌いだ。
過去なんて振り返りたくない。
どんなに懐かしく思っても、そこに帰ることはできない。
あの日々にはもう帰れない。
それをどんなに望んだとしても。
その日々は既に過去のものだ。
過ぎ去り、失ったものなのだ。
失ったものを見つめれば、もうそこから一歩も動けなくなってしまう。
それなのに。
ストケシアの花の写真。
SNSを見ていた時にたまたま目にしてしまった。
そうそう目にするものでもないのに。
懐かしい面影が脳裏に翻る。
彼はあの花の前でーー
駄目だ。
囚われたくない。
もう彼のことは忘れたのだ。
今さら思い出したところでそれは過去のことでしかない。
私を呼ぶ声が耳に蘇る。彼の体温も。
別れが来るなんて思っていなかったあの頃。
彼はずっと傍にいると思っていたのに。
今私は独りだ。
彼は傍にはいない。
まさか、こんな未来が待っているとは。
あの頃は考えたこともなかった。
そのことを思い、胸がきりきりと痛む。
唇を噛み締め、手をぎゅっと強く強く握り込む。
だから追想なんて嫌いだ。
読んでいただき、ありがとうございました。




