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小さな花の物語  作者: 燈華


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しばしのなぐさめの花

夫の仕事の関係でこの地に引っ越してきた。

地縁も知り合いもいない土地だ。

当然気軽に話す相手もいなかった。


彼は仕事が忙しくて私のことまでは気が回らない。

仕方ないことだとは思うけど寂しさに心が塞がれることはある。





用事があって出掛け、その帰り道。

少し遠回りして川沿いの道を歩いていた。


一休みしようと近くに見つけたベンチに座る。

その足元に紫色の花が咲いているのに気づいた。


「あら、これは、都忘れ、かしら?」


前に何かの折に見かけて同行者に花の名前を教えてもらったのだ。

島流しにあった順徳天皇を慰めた花。


その由来のようにふっと気持ちが楽になる。

別に都落ちしたわけではないけれど。

少し気持ちが不安定になっていたのは確かだ。


今度はスケッチブックと色鉛筆を持って来ようかしら。

しばしのなぐさめとしてはちょうどいいかもね。


今の私は時間をもてあましている。

本当はパート仕事でもしようかと思っていたのだけど。

でもしばらくは控えたほうがよさそうだったからちょうどいい。


先日妊娠がわかったばかりだ。

環境の変化のせいだとばかり思っていた体調不良は実は妊娠によるものだったことがわかったのだ。


幸い悪阻(つわり)は聞いていたよりずっと軽い。

だから動けないということはない。

むしろ一人で家にいると鬱々としてしまいそうだ。

それはお腹の赤ちゃんにもよくないだろう。


無理はしない。

それだけは絶対に守る。

そうと決めればふっと心も軽くなった。


スケッチブックはどこに仕舞ってあったかしら?


久しぶりにわくわくした気持ちになって私はしばらくそのまま都忘れの花を眺めていた。


読んでいただき、ありがとうございました。

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