気になる目線
帰りのホームルームが終わり、皆が帰りだしているころ。
ハクは荷物を片づけたら、ぼちぼち教室を出ようと考えていた。
「見て弥生。あれ菱川先輩じゃない?」
そんな時、横から思いもしない言葉が聞こえてきて思わず目を見張る
慌てて教室の外を見ると――
教室の外には、なぜかすみれの姿が。
まるで誰かを待ち伏せているように、教室前の廊下に一人で立っている。
学年が違うからか、それとも彼女が異様に目を引く外見をしているからか、他の生徒たちからも少し注目が集まっている。
視線を移すと、白石は自分を見ていた。
「………」
白石は何を考えているのかわからない、とても曖昧な表情をしていた。
それにどう反応していいのかわからず、再び机の片づけを再開し始める。
彼女を待たせてはいけない。
先にそのことが頭に思い浮かんできた。
ようやく荷物をバッグの中にしまうと、ハクはすぐさますみれの元へと向かった。
「すみれさん……」
「終わった?」
「なんで……わざわざ迎えに……」
「一緒に行こうって思って。……もしかして気に障った?」
「別にそういうわけじゃないですけど……」
ハクは教室を見る。やはり弥生たちがこっちを見ていた。
「行きましょう」と、ハク。
「……?」
率先して足を運ぶ。
すみれも、その後に続こうとした。
意図が読めないハクの行動にすみれは続こうとする。
けれどその瞬間、自分を見ている二人の女子生徒が偶然視界に映った。
彼女たちは特に反応することもなく、ただただ自分がその場を去っていく姿を視界から消えるその瞬間まで見つめていた。
すみれは彼女らから目を逸らす。
「今度からは、昇降口の方で待つね」
そして彼女は、ハクの隣に並ぶ。
〈さっきのこと、気にかかったのかな?
少し自分の言動を見直すべきかも。
思ったことがすぐに言動に出るのは、悪い癖。
それが事実であれ、たとえ誤解だったとしてもよくない。
集団で行動する以上、できるだけ他人の迷惑にならないように慎まないと〉
的を得ていたわけではないが、自分を顧みて改善していくことはプラスなことである。何かと神経質なハクにとっては、むしろこのような誤解をした方がよかったのかもしれない。
公園までの道中、ハクは自転車を押しながらたわいない話をする中でとあること尋ねた。
昼休み何をしていたか、と。
予想していた通り、彼女は一人であの三年生の人たちと直接会いにクラスに顔を出していた。
「ハクはちゃんと自分の役目をまっとうしてるよ」
大方そう言われることを予想していた。
しかし実際、言われてみれば少し安心してしまう。
だからこそ、ハクはすぐさまそんな自分を戒めた。
「一番悪いのは、自分を追い込んで全部自分のせいにしようとすることだから。ハク、今ちょっと無理してない?」
「無理してないです」
「それならいいけど……」
「………」




