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百一話 和解で融解で融和で愉快


特殊な領域にいざなわれるヨグ

空間内には榊葉の身体は存在せず

全身真っ黒なえりちゃんバージョンとして座っていた


ヨグ「ここまでの世界を展開するとは…… エリの力も戻っていたのか……」


エリ「そうだよ~ えりちゃんはママ達にいっぱいご飯を食べさせて貰ったからね!!」


ヨグ「何度も隙を見ては吸収を試みた だが決まって起こる〝ループ〟もお前の力か?」


エリ「……その前に」


えりちゃんは谷下に膝枕をおねだり


谷下「あぁはいはい……!!」


エリ「しばらく会えなかったから淋しかったんだ~~」


ヨグ「話をズラすな!!」


エリ「ループもえりちゃん!! 時間を歪ませてループを遡り ヨグの油断を誘ったのもえりちゃん!!」


ヨグ「……何故だ 何故邪魔をする」


エリ「ママが泣いてたからだよ」


谷下「私??」


エリ「そう!! 千年前も千年後のママも だからえりちゃんはいつでも助けるために……」


ヨグ「千年前の〝彗星〟にしてやって来たというわけか」


エリ「この世界にはこの世界の辿らなければならない道順はあった」


ヨグ「太陽フレアで全生物は絶滅する筈だった だが不完全なお前の力で生存者が現れた」


エリ「この地に降り立つ反動は予想よりも大きくて えりちゃん達の力は分裂しちゃったんだよね」


谷下「なんでそこまでして」


エリ「知ってたから この星もえりちゃんの一部なんだよ」


谷下「いやいや えりちゃんからすれば地球なんてちっぽけな物でしょ?」


エリ「……たまたまなのかな 〝人を助けたい気持ち〟もえりちゃんの一部だし」


谷下「っ……」


エリ「どう思うママ?」


谷下「……大事な事だと思うよ」


エリ「ママならそう言ってくれると思った!! ヨグと分裂してからはその気持ちが正当化しちゃって」


ヨグ「その偽善者への憧れが我の計画を無駄にしたって言うのか?」


エリ「ヨグは欲に駆られ過ぎ!! えりちゃん達の存在がどれだけ危険なのか分かってない!!」


ヨグ「我だってお前だ 新人類を新しく創り代える事も含め この星に降り立った目的の範疇だと思っての行動だった!!」


エリ「でもだからって黄泉の国の魂を消滅させることは間違ってる!!」


ヨグ「グヌヌッ……!!」


エリ「南野ちゃんも言ってたよね えりちゃん達は不完全なの 人格も別々でとっても危ないの!」


谷下「……仲直りは出来ないのヨグ?」


ヨグ「うるさい!! 宇宙の微塵子ミジンコが!! 貴様さえあの場所にいなければ!!」


エリ「ヨグ……」


ヨグ「時間を逆走して千年前にも行った!! だがその度にエリや雪花神が行く手を阻む!!」


エリ「残念だったね 全てはあの日 力が抜けて知能も欠落して 徘徊してた森でママと出会ってから」


ヨグ「我は…… 我は間違ってない…… 筈なのに……」


エリ「魂の消滅 そして誰もいない蛹島で新しい人類を粗末にしちゃった もう諦めなよ」


ヨグ「何もかも上手くいかない…… まるで人間みたいだ」


エリ「えりちゃん達がバラバラになる事で こうも不安定な 傷つけるだけの生物以下になるんだね」


ヨグ「……我を吸収するのか?」


エリ「するよ!! じゃないとこの先 誰も幸せになれない!! 往生しなさい!!」


ヨグ「そっか…… 早く決断しないと 仏との全面戦争になるのか」


エリ「仏の顔は三度までだってよ~」


ヨグ「……悪かったな」


エリ「大丈夫だよ! えりちゃんが皆に謝るから!」


ヨグの身体は散々として朽ち果てて行き 風も無いのにフヨフヨと舞い上がる塵

自然と行き場は定められているかの様にえりちゃんの体内へと吸い込まれていった


静かに目を開くエリ=ヨグ=ソトースの瞳は澄んでおり

今までに見せたこともない冷静を兼ね揃えた まさに女神の様な雰囲気を放っていた


「えりちゃん……??」


「安心して下さい…… 今の私は一つの存在に戻りました…… 完全体だよママ!!!!」


「何も変わってなかった!!」


拍子抜けする谷下の目の前にいたのは 少し神々しい光を放っているだけのいつのもえりちゃんだった


「この感じが慣れちゃってね~~!! 不思議と悪い気分じゃないんだ~~!!」


「……でもそっちの方が私も緊張しなくて済むよ」


「……でもちゃんと謝罪はします 今までの全てに

世を乱し 人生を狂わされた人々に深くお詫びをいたします」


「……仕方ないよ 原因を辿れば私達が招いた事が始まりだもん

それに対して助けようとしたえりちゃんは救世主だよ」


「行く末を見守り続けるべきでしたね…… 世界を救えたかもしれないのに

つまらない正義感というものに手を出してしまったが為に辛い思いをさせました」


「いいよいいよ!! しゃーないしゃーない!!」


「?!!!」


「って思わないと!! ……元には戻せないんだし そうしようとすればまた繰り返すんでしょ?」


「そうですね 万能といえども危険を無視しても良いという事ではありません」


俯くえりちゃん 罪悪感を抱き 猛省している神に失礼を承知で谷下は頭を撫でる


「ママ……」


「大丈夫だよぉ~ こっちはこっちで地球が元に戻ればまた 五十億年後くらいに私達が産まれるから」


「……ありがとうママ 本当にごめんなさい ママには本当に辛い事をさせました」


「ループの事? 良いって良いって!! そうそう無い体験が出来ましたし

それにアペルト荘の家族の一員である〝えりちゃん〟と出逢う為には こういうことが必要だったんだしね!!」


「……うわぁぁぁぁぁ!!!! ママ大好きぃぃぃぃぃ!!!!」


見た目は悪魔のようで女神の様な 翼の生えた女神様なのに

顔を涙と鼻水でグシャグシャにして抱きつかれる彼女の素の態度に 谷下はただただ安堵していた



「もしもーし!!」



感動の二人の時間を終える声が別の場所から聞こえてくる

少し離れた場所にて 桃源郷より逃げおおせていた


「まさか……」


谷下希と三木 キャリーとカタが身を寄せ合って自分達の今までを傍観していたのであった

えりちゃんは自分から離れようとしないのでそのまま引き摺って近寄って行くと

ここで初めてオリジナルとクローンが握手を交わす事になる



「「 初めまして!! 谷下希です!! 」」




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