表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

6


「なんだよ、冴も楽しんでるんじゃないか」

「だって、こんな綺麗な景色、楽しまないと悪いわ」

私の言葉に孤は不思議そうに首を傾げた。

「冴みたいなやつがどうして自殺しようとしたのかわかんねーな」

「私、みたいなって」

「オレは人間の気持ちがよくわかんねーけど、そうやって何かを綺麗だとか思う奴は人生を諦めたりしないと思うんだよな」

私は俯いた。

「……孤はそう言ってくれるけど、他の人は違うのよ」

「どういう風に?」

父にも母にも、ましてや友達に話せなかった、話したくないと思っていたことが孤と話していると不思議と自然に口から出た。

「私ね、昔から詩を作るのが好きだったの。でもね、友達はみんな私を馬鹿にしたのよ」

――うわ、そんなの書いて恥ずかしくないの?

――そうやって夢見がちだから勉強ができないんじゃない?

「友達に馬鹿にされて、私は人前で詩を作らなくなった。夢見がちだって言われないように風景や色々な事も心の中から遮断して」

でも、

「でもね、そんな事しても一度貼られたレッテルって剥がされないのよ。私は普通にしたいのに、みんなが私を変わり者扱いして、避けて、しまいには私は1人になったわ」

理解者になってくれると思っていた両親も私が悪いと言って取り合ってくれなかった。

「でも、諦めずに両親に言い続けたら逆に気味悪がられてこんなアパートで一人暮らしよ。半分は両親が負担してくれてるみたいだけど」

だからこのセカイは私を救ってくれないって分かったから自殺しようとしたの。

話を締めくくると孤は苦い顔をしていた。

「冴も大変だったんだな。でも、オレは冴を馬鹿にしないからな」

私はくすっと笑った。

「ありがとう、孤」

孤は照れたように鼻の頭をポリポリとかいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ