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君へ、お元気ですか  作者: 蛇丸


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3/4

私とは

「ありがとうございました」

「こちらこそ、二度もありがとな」

道中魔物の襲撃があったがそこまで数も多くなくか弱いものだったためなんとかなった。

「ほら、餞別だ。持ってけ」

渡された袋には数日分の保存食と商品の中にあった果物まで入れてあった。

「いいんですか」

「いいのよ。あんたのお陰で無事到着。商品への影響もほぼ最小限ときた。それでもちょい足りんよ」

そう言いつつ彼らは商会へと向かって歩いて行ってしまった。

短い旅ではあったがもう数日でたどり着くだろう。短くとも楽しい旅でした。今までなかった賑やかさがあり、何故か郷愁を覚えた。

 

 目的地を目前として、私はこの町の宿に泊まることにした。大方は持っていかれてしまっていたが多少金銭が自宅には残っていた。それらを使えば悪くはない部屋に泊まれるだろう。何時ぶりだろうか、こんなに早い時間に寝るのは。まだ日が明るい内に・・・やっぱりだ。私は手紙の内容について知っている。いや、それはベールがこの内容を否定しなかったことで間違いはない。彼はあんな男だが無意味に嘘をついたりはしなかった。わざと誰かを間違えた方向へと導くような男ではなかった。でも、知らない、思い出せない彼の顔、名前がどうだったのか。なんとなく彼は綺麗な金髪であった気がする。私は今まであの胡散臭い男が創り上げた何かであると思っていた。しかし、本当に、手紙の通りであれば私に両親がいる。私の家は、あの行商の家族のようだったのだろうか。様々なことを想像しつつ、目を閉じる。私にいるかもしれない家族、そして兄なのか弟なのかわからない彼を。



 日差しが眩しかった。久しぶりに一人で外に出た。木の間から差し込む光がきらきらとして綺麗だった。今日はどうしよう。久しぶりの外出、ちょっと頑張ってベリーを取りに行こうか。それともお外でお昼寝しようか。悩んでいるうちにベリーがたくさんなっているとこに着いてしまった。両方っていう手もある。

 他の村の子達はなかなか遊んでくれない。私が体が弱いから。私が病気だから。怖い人もいた。近付くなって言っていた。もしかしたら移るかもしれないから。私がこうなったのは何時からだろう。分からない。すごい小さい時から私はずっと病気だった。日によって調子は違ったけれど。今日はとっても調子がよかった。

一つベリーを手に取り口にする。甘酸っぱ味が口に広がる。味がわかるのは楽しい。だいたいいつもなんかぼやっとした味しかわからないから。暖かな日の光のしたにいると眠たくなる。どうしてなんだろうか。不思議だなと思いつつちょっと手前にある開けたところに移動した。


 ふと、目が覚めた。外は暗くなっていた。夢に触発されたからだろう、なんとなく口寂しくなり何か食べたくなった。確か、貰い物の果物があった筈だ。おそらく国内で取れたものだろう。同僚の一人が元から神経質そうな顔だったものをより酷くさせて畑荒らしに激昂していたのを思い出す。たまに畑仕事に駆り出されたものだ。何でもより育て易く、より多く収穫できるよう調節したものを比較するとか言っていた。どうやったかまでは聞かなかったが、陛下も快く私を駆り出していた。仕事はどうすると聞いても笑って誤魔化されたこともあった。

皆の再生もそろそろ終わってきた頃合いだろうか。かといって動き出すまでにはまだ時間がかかるだろう。焦らず進もう。


 結局果物だけでは物足りず、下に降りて色々買い足し、保存食と共に食べていた。私は同僚たちと比較するとよく食べる方であった。寧ろ他の者たちが食べなさすぎな気もしたが、そこは普通の生物ではないと理解していた。しかし、私が本来はただ人間であるとしたら私だけそれなりに食事を必要とする理由に納得する。皆知っていたのであろうか。どうだろう。しかし、そうなると次に浮かぶ疑問がある。今の私は何だ。普通の人々は空は飛ばず、火も出さず、馬よりも速く走らない。斬られれば死ぬ。そして、角も生えない。ベールによって弄くられた結果こうなったのだろうか。そうであれば戻った時にもう一度首を跳ねても構わない気がしてきた。いや、いっそのこと斧の側面で全力ではたいても許される気がする。一度やって怒られたが、何でだろうか理不尽な気がしてきた。いろいろ考えつつそれなりに食べたことで腹が膨れたからか、再び睡魔に襲われる。また夢を見るだろうか。


 金髪の少年がいた。日に当たりキラキラと輝いて見える髪、少し灰色が混ざった綺麗な青色の瞳。今まで見たことのない少年だった。彼もまた皆から仲間外れだった。いつの間にかいた。親も名前もどこで生まれたのかもわからない子だった。いつからだろう彼と一緒に住むようになったのは私は弟が出来たようで嬉しかった。彼はあまり笑ってくれなかったけど、病気がちであまり家から出なかった私に付き合ってくれた。たまに体調が悪いときでも手伝って外に連れ出してくれた。最初は不思議な感じだった。けれど、段々その不思議は不思議ではなくなっていった。いつも隣に彼がいた。外に出られないときは彼が代わりに色々とって来てくれた。徐々に、少しずつ、彼が私の代わりになってくれた。ああ、外に出たいなぁ。

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