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君へ、お元気ですか  作者: 蛇丸


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旅は道ずれ

 歩き始めて一週間。

 流石に纏まった休息が必要になる。疲労もそうだけれど、服装は以前と比較して軽装なものとなっている。それでも歩けば汗をかく。汗をかけば体が汚れ、匂い始める。私は風呂というものが好きだった。かつて国が健在の頃は、よく都にある大衆向けの浴場へと通ったものだ。同僚もよく民衆に身体を洗うことを進めていた。曰く、病は汚れから来るものとのこと。だから体を清め、街を清め、皆にとって住み良い環境をと。よくは分からなかった。ただ、実際が働きはじめてから病による死者は大きく減ったらしい。当時のことは知らない。

何処か住居。或いは安全を確保できそうな所を探しながら歩く。

そうして村から村、そして都を繋ぐ道の途中。少し前の農村で泊めてもらえばよかったと後悔し始めた頃。馬車が見えた。どうやら立ち往生しているらしい。

「大丈夫ですか」

「ん、ああ。脱輪してしまってねぇ。どうしたもんかな。荷はこのままには出来ねぇし、嫁、子供だけで行かせるのも考えもんだしよ」

「・・・でしたら、私が近隣の村にお声掛けしてきましょうか」

「本当かい。ありがとよ。可能な限り早めに頼むぜ」

来た道を全速力で戻る。ここまで歩きで半日はかかったが、走れば四半刻程度で戻れるだろう。何もなければ走ることはないが、こういったことはまた別だ。彼らもまた大切な民だ。困っていれば助ける。可能な限りの全力で。


「・・・早かったな」

「全力で走りましたからね。少し疲れました」

「あ、ああ。ありがとう。村の男衆もありがとよ」

そういい、男性たちは荷車の軸と車輪の交換を始めた。一応用意はしてもらっていたがどうやら換え事態は持っていたようだ。なんだ、走り損だ。商品の底に隠されていたようだった。

交換も終え、馬車は走れるようになった。

連れてきた男衆は行商から受け取った穀物と共に()()()()と歩いてかえって行った。どうやら私がした荷車ごとの運搬はお気に召さなかったようだ。例え、この国に盗賊の類いが少ないといっても魔物は出るのだ。全くの安全と言うわけではない。何が駄目だったのだろうか。

「あんたもありがとな。お陰でなんとか次の村にゃ間に合いそうだ。この辺が安全つっても人里に泊まれる方がいくらもいいからな。」

その通り。私は平気で彼らは分からない。

「いえ、困った時のは助け合うものですよ。それではよき取引ができるといいですね」

そう言って、先へと進めようとしたとき、

「そうだ、姉ちゃん。乗ってくかい。あんたの足じゃ必要ねぇかも知れねぇが。見たとこ行きは普通に歩いてるじゃねぇか。どうだい」

正直、乗る必要性はなかった。しかし、なんとなく。ただなんとなく彼らと少し時間を共にするのもいいかもしれない。



道のがたつきに合わせ体か揺れる。歩くよりも多少速いが、走るのとも別の意味で疲れる。国の再建が進み建て直しがうまくいけばこういった道の整備や多くの民がより良い質のものを使えるようにしていく必要があるだろう。そんなことを考えながら揺られていると

「お姉ちゃんすごいね」

幼い少女の声がした。見ると車輪の替えと同様に荷物に埋まっていたようだ。

「そうでもないよ。私よりすごい人はいっぱいいますからね」

「そうなの」

「はい、そうですよ」

少女と話ながら馬車に揺られる。時々ひどい揺れで舌を噛みそうなこともあったが、まあ、なんとか平気だ。今まで彼女のような幼子とこのように接した記憶はない。

・・・どうなんだろう。私は産まれたときからこの体躯だった。いや、もうちょっと小さかったが少なくとも彼女のような幼子とは言えない年嵩に見えただろう。私は他の同僚たちと同様に創られたものだと認識している。ベールの手によって私たちは産み出された。国をより良くするために、人に安寧を与えるために。そう語られた。結果守りきれなかったが詰まる所、方針さえ皆定まり秩序があれば人は人の手でより強固な安寧を目指せると言うことだ。無駄ではない。・・・少し寂しいが。それでも彼は笑って言うのだろう。『いいじゃないか。今回は欠点が見えた。欠点があるならば改善できる。最善尽くして、解決出来ないが最悪だからね』と。

「そう言えば姉ちゃんよ、何処に向かうつもりだい。方向は今ん所同じだけど途中道が分かれるだろ」

「えっとこの地図の、ここです」

ああ、そこか少し不思議そうにしていた。

「そこにゃ大したものはないよ、あるのはちょっとした村で見るものも買い付けものもないなぁ」

「そこんちは木が生活の糧で都市への直接売り付けが主な収入だからね。行商としてはやりにくいのよ」

知ってはいた。村は川沿いにあり、切った木材を川で運びその周辺の村や町へ直接売っていた。また、人口も少ないこともあり、それと自給自足でいくらか間に合わせることができていらしい。

「悪いねぇ、俺たちが行くのはその手前までだな。まぁ、そこまで後一週間ってところだ。旅は道ずれ。行けるとこまでは送ってやるよ」

「何かあったら。遠慮せず言いなさいね」

道は悪いが、悪くない道行きにはなりそうだ。

「ありがとうございます」

感想いただけたら幸いです。

入浴シーンは入れたいと思いましたが、私の力不足で無理でした。ここにて謝罪を申し上げます。大変申し訳ございませんでした。

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