40話
のんびり不定期連載です
王宮から返事が来るまでの間に市場へ行き、食材の補給をすることにしました。お肉は山ほどあるので基本野菜と果物の買い占めですね、一応何があるかわかりませんので、買える時に買い溜めておこうという魂胆です。
今後の進路としては、セリカ王国から北上してカムリ王国を経由してポテチ王国に入るか、北東に進んで聖王グロス教国を経由してポテチ王国に入るか悩ましいところです。
ぶっちゃけて言えば、カムリ王国には関わりたくないし、聖王グロス教国はフローラ様がダメ出ししてますからね、私の事も恨んでいるかもしれません。
更に言えば、ポテチ王国は国土の半分近くが凍土に覆われているので、北に行けば行くほど食べ物を仕入れるのが非常に困難だという事です。東西に非常に広い国土を持つポテチ王国ですが、国土の南側である他国との国境付近でしか農地が無い国で、北に行くほど野菜の価値は上がり、高騰しているのです。
地球の地理で言えばロシアに近いですかね、ユーラシア大陸の端から端まで国土があるけれど、北側は北極圏で、冬は川も滝も凍ってしまうという。あれの強化版と言ったのがポテチ王国なのです。
冗談抜きで永久凍土に覆われて真っ白の大地が占めているのです。その原因の一部がホワイトドラゴンと言われています。
そんな土地へと赴くのですから準備は万全にしないといけません、寒さ対策も考えなければいけませんし、この連休しているうちに色々と考えましょう。
「まずは魔法障壁を展開しつつ、その内部で暖を取る方法ですね。あ、換気も考えないといけませんね、気づいたら一酸化炭素中毒で倒れたなんて笑い話にもなりません」
大まかな移動は空路で行けばいいかと思いますが、やはり索敵時は地上からやるしか無いと思うのです。グリーンドラゴンを探してた時は、森であればこそ木々が不自然に倒されている場所などと目安を付けられましたが、凍土であれば天候次第では地吹雪などで見通しが悪くなることが考えられます。その際上空から索敵しても何も見えないと思うんですよね…
まぁ詳しい事は現地に行ってみなければわかりません、私もポテチ王国の事は書物で読んだ程度の知識しかありませんしね。
そんなわけで食料の備蓄が最優先、食べ物さえあれば索敵は続けられます。最悪食料が尽きたのならば面倒ですが南下して買い出しに行くしかないですね、非常に面倒ですが。
よし、細かい事は後で考えましょう!喫緊で必要な事は魔法障壁の内部を暖める方法です、これをどうにかしないと索敵も出来ませんからね!
宿の部屋の中に魔法障壁を小さく展開し、色々と試してみる。換気用の穴をあけるのは案外簡単に出来ましたが、障壁内部の温度を変えるというのがなかなか…どうも暖気も冷気も広がりすぎるというか、あまり一定温度になってくれません。
そこで考えました。日本でも北の方、特に北海道とかの地方では二重窓が一般的だと聞いた事があります。温度差によって結露もひどくなりますが、科学の進歩した世界の寒冷地でやっている事なのだからきっと効果があるはずではないかと。
そこで、魔法障壁を張った更に内側にも自身を包み込むように障壁を張ります。そしてそのわずかな空間に合成魔法、火魔法と風魔法で温風を出せば即座に暖まり、あたたまり…いや熱いですねこれ!
うまくいった気がするので今度は氷魔法+風魔法でクーラー魔法、なんちゃって。うーん、今度は寒い。中間点が無いですねコレ、どうしましょうか。
まぁ大地も凍るほどの寒冷地で使う予定なので熱い方がいいのかしら?最悪は二枚目の障壁の間隔を空ければ大丈夫ですかね、少しは形になったので良しとしましょう。後は現地での調整で何とかすればいいのです!
「ふむふむ、事前準備としてはこれでいいですかね。今回の肝は寒さ対策に尽きるので、戦闘はレーザービーム1択でいいでしょうし、食料は明日にでももう一度市場で買い占めれば十分な貯蓄になるでしょう」
さて、それでは夕食までまだまだ時間もありますし、フローラ様に祈りを捧げましょうか。カムリ王国の王様と重鎮たる高位貴族の意識改革のためにお仕置きしてもらいましょう。
なんと言っても選民意識が高すぎると害しかないですからね、民が畑を耕し、木々から果物を取り、森などから肉を取ってこなくては貴族は生きていけないというのに何もわかっていません。民の替わりはいくらでもいるなんて寝言を言う前に、王家や高位貴族が資金を出して畑に対する研究や作物に対する品種改良に手を出しなさいと言ってやりたいですね。
貴族の役割が果たせないのならば、その立場にいること自体おかしいのです。まぁこの世界で民主主義の考えは異端だと理解していますが、それでも「一体何様?」という貴族が多いのは事実なので、ビシっとフローラ様の権威を使わせていただきます。
『呼んだかの?』
「今日もご機嫌麗しゅうございますフローラ様。本日は私を妻にしてやるから従え…と言ってきたカムリ王国の王様についての話なのですが」
『なんだと?我が愛し子に対して従えだと?ほほぅ、それは我に対する宣戦布告とも取れるのぅ』
「そのカムリ王国の王様と、その件に賛同した高位貴族の方々に対して厳重注意をお願いしたいのです、あまりにも女性を蔑ろにする考えを止めるように。それと大地と共に生きる民達を無下にするなと伝えていただきたいのです」
『ふむ、確かに大地を育むのは創造神たる我の本懐と言えるだろう。その願い、確かに聞き遂げた。それではどの者が我が愛し子を従えるなどとそのようなくだらぬ企みをしたのか調査したのちに罰を与える事とする。それでよいか?』
「はい、よろしくお願いいたします」
さぁ、これで後はフローラ様の匙加減にお任せするとしましょう。創造神様の厳重注意…一体どのようになるやら。
事前にやっておかなければいけない事、まだ何かあったかしら。思い出せない時は無理をしないでゆっくりしてる方が良いですよね、きっといい案が閃くはずです。
そんな事を考えつつベッドにぱたりと横になると、そのまま目を瞑った。




