38話
のんびり不定期連載です
グリーンドラゴンを討伐した翌日、目覚めと共に飛び立って一気にセリカ王国へと向かう事にした。
「やはりポテチ王国は寒いですからね、それにセリカ王国で泊まった宿が食事もお風呂も上等だったので、ぜひとももう一度泊まりたいですよね」
陸路で向かった時は20日以上かかった距離を1日で行けるとは…やはり飛行できるというのは素晴らしいですね。後、セリカ王国の王様にドラゴンの素材を売りつけましょう。
カムリ王国王都、冒険者ギルド本部
「セリカ王国王都支所のギルドマスターに対し、罰を与えるものとする。罪状は登録している冒険者の個人情報の流出、しかもその相手の創造神の使徒アリシアの情報を個人的な都合で売り飛ばし、脱退させた挙句にギルド職員全てを巻き込んで神罰を受けた事によるギルドの地位名声を貶めた事。罰としてギルドマスターの職を剥奪し、犯罪奴隷として終身雇用とする」
ギルド本部では簡易裁判が行われていた。カムリ王国の王都に本部があるが、カムリ王国との癒着は見られてなく、ただ大陸の真ん中にある国だから…という理由で本部が置かれる事になったのだ。
「まったく大損害だ、使徒アリシアの収納魔法にはレッドドラゴンの一部とブルーにグリーンまで入っている可能性があるというのに、あの神託以降ギルドで販売された記録がないから、今後も売ってくれるかわからないだろう。トリュフ王国のタライ支所はうまくやったというのに」
ギルド本部の役員でありながら、カムリ王国王都支所のギルドマスターであるホークは、たった今終身奴隷となった元・ギルドマスターに向けて睨みつけながら言い放った
「ただでさえ希少な竜種の素材が手に入るかもしれない機会を潰しただけでもお前はギルマスでいる資格は失ってたがな」
魔道具によって手足を拘束されている元ギルドマスターはそのまま連れていかれ、二度と普通の生活を送る事は無くなった。
そして加護を半分だけ失ったギルド職員の方は、元ギルドマスターの個人資産から慰謝料という名目で大金が支払われ、そのまま継続雇用となった。
ついでに元ギルドマスターの妻と子はあっさりと離婚して、残った個人資産の全てを持って実家に帰る事になった。
セリカ王国王宮
「陛下に申し上げます。使徒アリシア様から謁見の申し出を受けました、日時が決まり次第先日の宿屋まで連絡を…との事です」
「まことか!うむわかった、すぐに調整して使者を出す事にしよう」
思わず玉座から立ち上がった王は、すぐに会えるよう調整をする事にした。本来の謁見であれば、1回の謁見で数分から十数分程度の時間しか取らないが、相手が使徒アリシアとなれば話は別だ。
一度は加護を剥奪されたものの、使徒アリシアの温情によって回復してもらっているので恩を感じているというのも理由の一つであり、アリシアが望む事であれば出来得る限り叶えたいと常々思っていたのだ。
「よし、明後日の予定を全て中止して使徒アリシア殿との時間を作る。これは王命だ」
「承知しました」
宰相のクローズが調整するために出ていくのと入れ替わりに、王妹でありカムリ王国の王妃アルフィナが入ってきた
「お兄様?アリシア様が王都に来ているというのは本当ですか?」
「ああ、謁見の申し出を受けた。明後日に来ていただこうと調整を始めたところだ、使者も出さないとな、今度はちゃんと仕事のできる奴を向かわせないといけないな」
「では、当然私も同席致しますわ!カムリ王国の王妃として聞いておかなければいけない事もありますし」
「どのような用件で来るのかはわからんが、使徒殿が許可するなら構わん」
兄として威厳を保ちたいであろう国王は、口調こそ尊大だが腰は引けていた。先日行われた数年ぶりの折檻の効果は残っているようだ
セリカ王国王都内、高級宿【鳳凰の宿木】
「ふぅ~謁見の申し込みも済みましたし、連絡が来るまで使徒アリシアはお休みいたしましょう」
前回訪れた時に利用した宿、鳳凰の宿木に着き、案内された部屋に入るとベッドへダイブした。通常であれば20日は軽くかかる距離を、僅か1日で来れる程の速度で飛んできたため、魔力の消費が激しく疲労感に包まれていたのだ。
「これはまずいですね、ベッドが心地よくて眠ってしまいそうです。ですがここで眠ってしまうわけにはいきません!夕食をいただいてからお風呂に入らなければ!」
ガバッと飛び起きてローブを脱ぎ、旅装束から部屋着へと着替えたのだった。
部屋着である青色で染められたワンピースを着て、リラックスモードに入る。やはり魔法障壁で守られているとはいえど、普段は野営なのでそれなりに気が張っていたのだろう。
宿の部屋にある家具などを見ていると、室内で寛いでいるという感覚が非常に強く、そして何か安心するような感覚だった。
「通常であれば謁見を申し込んでから、実際に自分の順番が来るのは最低でも半月以上かかるものですが、あの王様だとすぐに時間を作ってくれそうな気がしますよね。まぁ早くて困る事ではないので良いのですが、私のせいで公務が遅れたなんて言ってきたりはしないでしょうね…さすがにそれはありませんか」
実際問題、収納の中にはまだまだ大量の金貨が入っているのだが、ドラゴンを持ち歩いているというのが非常に気になっており、少しでも処分したいと考えていた。
「タライのギルドでのやり方を見ると、やはり希少な素材なので、それぞれの部位が相当高額になってしまうから金策が大変そうでした。今回はいくら相手が王家とはいえ、お金を用意するのに時間がかかってしまうかもしれませんね。しかし偶には連休にしてもいいでしょう」
前世の記憶があっても、今の世に生まれて15年。そう、まだ15歳なのだから社畜のように働かなくてもいいですよね? …と、一人で納得させてベッドに転がるのだった
コンコン
うとうとしかけていた時に、ノックの音が聞こえた
「はい?なんでしょうか?」
「あの、受付の者ですが、王宮より使者が参っております」
「わかりました、今行きます」
なんともう来たのですか、行動が速いですね。とりあえず会うために1階へ降りましょうか。
階段を下りてロビーに行くと、見覚えのある女性が1人と甲冑を着た騎士が2名いました
「お久しぶりですアリシア様、此度は使者として国王陛下の言葉を持ってまいりました」
思い出しました、宰相閣下のお嬢様でカノン様でしたね




