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30話

┏o 誤字報告ありがとうございます。

ごきげんよう、アリシアでございます。


 辺境伯領を出て10日、私はクリーム王国の中央部にある王都にやってきております。ここまでの道中にも色々と問題がありましたが割愛いたします。


 そして一国の中心部である王都、さすがですよ!王都にある商業ギルドに仲介してもらい、浴槽の製作を依頼出来る事になりました! これで旅の道中でもお風呂に入る事が出来ますよ!

 ちなみに製作費用は金貨20枚、完成まで1月となっています。


 そんな訳で王都では1ヵ月待つ事になりますが、しょうがないですよね?なにせまだ先の話とは言え、グリーンドラゴンを討伐すると、次はホワイトドラゴンが相手ですからね、極寒の地であるポテチ王国での捜索となります。野営そのものはどうにかなると思っていますが、寒い中でのお風呂っていいですよねー。


 そんな理由で1ヵ月滞在しますよ。問題は滞在費用なんですが、さすがに1泊金貨コースの宿に1ヶ月も泊まるのはどうかと思い、王都の外れにある孤児院でお世話になろうと思っています。

 話はもう職員の方とついているんですが、なんと孤児院には水浴び用の大きくて深めな桶があったんですよ。それにお湯を入れればいいんじゃないかと思ったりしています。


 宿泊費としてオーク2体でと言ったら喜んで承諾してくれて、庭の一角がキャンプ地となったわけです。滞在中はきっと暇になると思いますので、孤児院の内部をクリーンの魔法で清潔にして回り、子供達や職員さんにもついでに綺麗になってもらおうかと思っています。

 壁の隙間風対策や屋根の雨漏り対策もお任せください、私の魔法で修繕しますよ!


 とは言っても、何もない所から物体を出す事は難しいので、修繕するための素材を集めに行かないといけないんですよね。石造りの部分には石を、木造の部分には木材を、そんな訳で王都から馬車で半日の所にある森の中で素材の収集に出かけます。馬車で半日なら身体強化で全力疾走すれば2~3時間もあれば着きますので日帰りも余裕です。


 そんな訳でやってきたのは冒険者ギルド、すでに退会しているので依頼は受けられませんが、情報収集くらいはできますからね。森の中で遭遇する魔物の種類や取れる素材や食料なんかの情報を仕入れてきましょう。


「ふむふむ、Cランクの依頼で魔牛の素材採集ですか、いいですねこれ、牛肉が手に入りますよ?おお!Aランクの依頼でコカトリスの卵の収集ですか、森の奥に生息していると、なるほどなるほど、これは1泊2日程度を覚悟して森の奥地へ行きましょうか」


 思いがけない食材の情報に思わず顔がニヤついてしまいます、牛肉に鶏肉に卵…フフフフ、ちょっとやる気が出てきました。


「ちょっとアンタ、これは高ランク用の依頼だからアンタじゃ受けられないぞ?」


 ん?女性の声が…私に話しかけているのでしょうか?

 そう思って振り返ってみると、3人組の女性冒険者が私の後ろに立っていました


「私に言っているんですか?」

「ああ、そうだけど」

「そうですか、別に依頼を受けるわけではないので大丈夫ですよ。ただこの町の周辺で狩れる魔物の情報を見に来ただけですから」

「そうなのか?その割には良いもの見つけたって顔してたからな」

「気のせいです、それに私は冒険者ではありませんので、これで失礼しますね」


 なかなか世話焼きしそうな感じの人達でした、近くにいると頼んでいないのにお節介をしてくるタイプの方に見えたので、ここはささっと離れた方が良いですね


 頭の中ではすでに牛スキの卵とじが妄想されているので、それに見合う野菜を調達しに市場へ行きましょうか。森へ行くのは明日の開門と同時に行きましょう、今日のところは豚汁で我慢です。正直飽きていますが我慢します。


「なぁアンタ、ちょっと待ってくれよ」

「ほえ?」


 声をかけられ振り向くと、先ほどギルドで話しかけてきた女性冒険者が追いかけてきていました


「何か用ですか?私は市場で買い物をしようと思っているんですけど」


 何か言われる前に、自分は用事があって急いでいるんだという空気を出してみます


「いやな、うちの魔法使いがアンタに興味を持ったみたいでさ、少し話がしたいんだけどいいかい?」

「貴女からはとても大きな魔力を感じる、ぜひ魔法について情報交換がしたい」


 はわっ!後ろから出てきた人、耳が長いです!もしかしてエルフさんなのでしょうか、初めて見ましたね。しかし残念ですが、今の私は牛スキの事しか考えられないのです。また今度にしてもらいましょう


「私もちょっと、これから数日は忙しくなる予定なのでお断りさせていただきます。しかしこの町にはひと月程度滞在するつもりなので、後日で良ければ構いませんが」

「話ができるのならばそれでいい、どこの宿に泊まってるの?」

「私は町の外れにある孤児院にお世話になっています、そこの職員さんに言伝て頂ければ、私が不在でも連絡は取れると思います」

「孤児院だね、了解した。それにしても身なりが良いのに宿に泊まらず孤児院にいるとは不思議な子だね」

「そうですか?まぁ気にしないでください」


 3人組と別れ、市場の物色を始めます。 あっ!あの人たちの名前、聞いてませんね。私も名乗っていませんけど…ま、なるようになるでしょう


 買い物を済ませて孤児院に戻り、お肉たっぷりの豚汁を作って子供達に食べさせます。もちろんその前にクリーンの魔法で綺麗にしてから。

 日中の子供達は、町の外に薬草などを探しに出たり、町の中の清掃をしたりと働いています、賃金は安いですが。それでも5~6歳の子がせっせと働いている姿を見ると、お腹いっぱい食べさせてあげたくなるのです。お肉を頬張って喜んでいる子供の姿は可愛いですよね、せめて私がいる間だけでも美味しい食事を、そして願わくば、将来悪い方向に進んでしまわないように。


 そう思いながら子供達を寝かしつけて、大きな桶にお湯を張って浸かるのでした。


 湯浴みを済ませてさっぱりとしたら、明日に備えて寝る事にしましょう。朝は早いです、夜明け前に用意を済ませて出かけないと、日帰りが出来ないかもしれません。明日の夕食で食べたいのです!牛スキを!

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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは 豚汁やすき焼きが存在する…という事は、味噌や醤油、味醂などの調味料も存在しているんですね
[気になる点]  魔牛すき焼き卵とじのお味。じゅる [一言]  何故だか分かりませんが、アリシア様が発注した浴槽が後日に 使徒様モデルとして、映像を公開出来る魔道具を使った○o○ネット みたいな通販番…
[一言] 会うとは言ったけど会話に応じるとは言ってないような…? 其れに要望に答えるとも言ってない様な…(´-ω-`) ま、まぁ初対面での対応が綺麗な感じで終わりましたし、他とは違う対応……だと良い…
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