第40話
誤字報告いつもありがとうございます。
お姉様の予想通り、通路を歩いているだけで魚がすごい勢いで飛び出してきて、障壁に当たって落ちて行ってます。これは危ないですね…
「いいえ、見た感じ小さな魚しか飛び出してきていません。だから大きめの盾を構えているだけで簡単に防げると思いますよ。もちろん防げるというだけですけどね」
「なるほど… 確かに障壁に当たった魚はみんな湖に落ちていますから、狩りにはなっていないという事ですね」
「なんにせよ色々と試すにはこの階層は人が多すぎます、ササっと通り抜けてしまいましょう」
スタスタと通路を歩いて行くと、すぐに2階層へと続く階段がありました。
ちなみに通路上で飛び出してきていた魚を見て、お姉様は「サンマ? それとイワシでしょうか」と口にしていたので、この魚の事も良くご存じのようですね… 本当にお姉様は何でも知っていらっしゃいます。
2階層に着くと、思わず感嘆の息が漏れました…
「はぁ~、これは素晴らしいですね、まるで水族館のようです」
「水族館… ですか? それは一体どのような物なんですか?」
お姉様が漏らした言葉、聞き覚えの無い単語があったので聞いてみる事にしました。
「水族館とは、巨大な水槽に海なり川の魚を入れ、一面をガラス張りにする事で魚が泳ぐ姿を鑑賞する施設の事です。ですが… 確かに水族館のように見える景観ですがここは迷宮、恐らく通りかかると魚が飛び出してきて攻撃してくる… そんな感じでしょうかね」
魚が泳ぐ姿を鑑賞する施設… なるほど確かにこの状態ではそれを観察する事は出来そうですね。ですが、お姉様の言う通りここは迷宮です、ただ何事も無く鑑賞するだけなんてあり得ませんよね。
良く見ると、奥へと続く通路があり、その両脇に水の壁が立っており、どういう仕組みなのかは分かりませんが奥の方で泳ぐ魚の姿が見えます。
しかも大きいのから小さいのまで種類が豊富ですね、どの魚がどのような攻撃をしてくるのか… それは海の無い地方で生まれ育った私には到底想像がつきません。
「では、行きますか。障壁は常時張っておきましょうね、しかもこれ… 攻撃するべき場所が水の中という事は、アロー系の魔法は水に入った瞬間に減衰してしまうでしょう。いろんな方法を試していかないといけないようですね」
「お姉様のビーム系ではどうなんですか?」
「ビーム系はどうなんでしょうね… これも試してみないと詳しくは分かりませんが、多分威力が減衰したとしても、魔物を倒すだけの攻撃力は維持できると思いますが」
ふむふむ! 私も出来る事ならばビーム系… 対多数に猛威を発するビームライフルも覚えたいと思っていたので良い練習になりそうですね。
しかもアマンダ様の加護を頂いてしまったので、今までよりも高威力で魔法を放つ事も可能かもしれません… 良いタイミングだったという事でしょうか。
水の壁に近づいてみると、今まで奥の方に見えていた魚影が濃くなってきました。これは魔物側も攻撃目標が近づいて来たと認識しているという事ですよね、小さい魚はアロー系を当てるのは難しそうですが、とりあえず自分の得意な魔法から撃ってみましょう。
「ミルフィ、来ますよ!」
「はいっ!」
小さい魚が1匹ぐんぐん近づいてきて、そして水の壁から勢いよく飛び出してきました。小さな口を開けていますが、その口にはギザギザで鋭そうな牙がびっしりと… これは怖いですね!
「スクリューアロー!」
私を目がけて飛び出してきた魚に向かって魔法を放ちます。
小さい魚だけに一撃で撃ち落としドロップを落として消えていき、魔法はその勢いのまま水の壁の中に飛び込んでいきます。
「ふむ、意外と水の中でも進んで行くようですね。射程は5メートルといった感じでしょうか」
「5メートルも届くのであれば意外に行けそうですね」
物は試しとばかりに、水の壁の中にある魚影に向かってスクリューアローを撃ち込みます。さすがに水の中にまで攻撃が来るとは思っていなかったのか、3~4匹ほど貫通させて魔法が消えていきました… がっ。
「むむ? ミルフィ、これはダメですね。水の中で倒してしまうとドロップも水の中に出てきてしまいます。何と言う面倒くささでしょう」
「やはり飛び出してきた魔物を狙い撃つしか収集は出来ないみたいですね… どうしますか?」
「では、私が先行して飛び出してきた魚を処理しますので、ミルフィは後方から魔法の練習をしながら水の中に撃ち込んでください。加護の力を意識するのを忘れないように」
「了解です! あの! 一度で構わないのでビームライフルの手本を見せて頂けますか?」
「手本を見せるのは構いませんが、見ただけで覚えられるような魔法ではないかもしれませんよ?」
「もちろん構いません! 魔法はイメージ… そのイメージをしっかりとさせるために見ておきたいんです」
「勤勉ですね、そう言う事なら良いでしょう。では… 行きますよ!」
お姉様がビームライフルを水の中に向かって発射させます… パっと見は光の矢を撃ち込んでいるように見えますが、その矢の構造というか、内包されている魔力の質がアロー系とは全然違います。
スクリューアローのように回転している訳でもないのに魔法が消えるその時まで真っすぐと進み、勢いは衰える事もありません。
本当にこれはどういう原理になっているのでしょう。アロー系であれば飛距離と共に減速し、重力に従って落ちていくものなんですがそれすらも無い…
「やはり難しいですか? これは大まかな枠組みで言うと光学兵器と呼ばれる物を、私が魔法で再現したものです。光学兵器という物は… 属性をつけるとすれば光属性になると思います。光は反射で曲がる事はありますが、何も無ければただただひたすら真っ直ぐに進みます、魔力の続く限り。
レーザービームは威力と射程を最大限活かす仕様ですが、ビームライフルはわざと射程に制限をかけて短距離用にしたものです」
「それに意味はあるんですか? わざわざ射程を短くするなんて」
「魔法自体が強力すぎるので、周囲にも多大な被害を与えてしまうからです。レーザービームは地上に当たらないような空を飛ぶ敵に使い、ビームライフルは乱戦になりそうな状況でも大地を破壊しないように配慮した感じになりますね」
「な、なるほど… 確かにアロー系でも大地に当たれば多少の破壊はありますが、あえて気にするほどでもありません、でもビーム系は気にしなければいけない程の威力だからという事ですね?」
「その通りです。まぁ今の貴女ならビームライフルは使えるようになっているかもしれませんし、後でじっくりと指導しましょう」




