19話
のんびり不定期連載です
「るんたったー♪」
フォース王国の王都を離れて5日目、昨日は大雨だったために途中で見つけた小さな洞窟で丸一日足止めされていてストレスが非常に溜まっていたのだったが、夜が明けるとまばゆい日差しが差し込む素晴らしい天気にテンションが無駄に上がってしまっていた。
いつものように気分で走ったり跳んだりしていたため、もうそろそろ国境という所まですすんでいたのだった
「さて、もうこの辺からブルードラゴンの縄張りになっているはずですね、気を引き締めていきましょうか」
空を自在に駆るドラゴンの縄張りは非常に広範囲で、その中から1個体を探し出すという事は非常に困難な事である。そしてブルードラゴンの放つ水のブレスというのが非常に厄介で、木々を薙倒し、下流に押し流して氾濫させる事で畑などもダメになり、大地の恵みを奪うものだと途中の町で聞きました。確かに水は非常に恐ろしいものです、自然災害の洪水ですら大勢の死者を出し、地表は泥に塗れてしまうのですから困ったものです。さて、それでは慎重に索敵しながら進みますか。前回のレッドドラゴンは突然魔力反応が現れましたからね、普段は魔力を抑えて省エネモードになっているのでしょう。
運が良ければ寝ているところを発見してあっさり討伐~なんて事もあるかもしれません、というかそうなってほしいものです。
私は魔法実験は好きですけど、別に戦闘が好きというわけではありませんからね、楽に倒せるのなら迷わずそうしますよ、うんうん。
とはいえ、お肉は確保しなければいけないので、戦闘はやらなきゃいけないんですよねぇ…買えば済むかもしれませんが鮮度が違いますからね。出所の分からない怪しいお肉を高値で買わされた挙句に体調不良になるとか…いくら私でも暴れますよ?
まぁいいです、それでは索敵を開始しましょう。大きな物体を感知したらとりあえず見に行って確認ですね、それにしてもブルードラゴンですか…水のブレスを吐くという話でしたが、そういった生物の生態は知りませんが、とりあえず水場を優先的に見て回った方がいいのですかね?湖や池の中に潜り込んでいたら発見するのは難しいですね…
2日後
大陸の中央部、地図上ではほぼド真ん中に位置するカムリ王国、そしてその南に位置するセリカ王国、恐らく今はこの2国の国境付近をうろついていると思われます。フォース王国との国境はすでに越えていると思います、正確な位置は分かりませんが。
あれから水場を求めてフラフラと動き回りましたから、今自分がどの辺にいるのかも正直分かっていません。町にも立ち寄っていませんし…そろそろ一度索敵を中断して町で補給した方が良いかもしれませんね、髪の毛とお肌が水分を欲しています。クリーンの魔法だけでは潤いが逃げてしまうのです
とりあえず歩く先に見えている湖を索敵したら一度街道の方に戻ってみましょうかね、場所の確認もしたいですし。
湖に着きました。なかなか綺麗な所ですね、まぁ環境破壊する者が竜種しかいないので自然がありのまま存在している感じですね。 せっかく来たので早速やりましょうか。
湖に手を入れて探知魔法を放出! んん、結構動いている生物がいますね、大きな魚といった所でしょうか。
ん?何か大きな物が… あっ!これは!
大きな何かが見る見るうちに近づいてきて水面を押し上げます。これはこれですごい光景ですね…
ザバー
「グオオォォォォォ!」
「ここにいましたか!しかしすでに臨戦態勢をとっていますね、もしかして探知魔法に反応したのでしょうか。そういえばレッドドラゴンの時も探知魔法を使っていたら突然襲ってきましたね」
ブルードラゴン、目が覚めるような美しい色合いの巨大なドラゴン。すさまじい圧力を感じますが、やはり生物の頂点と言われるドラゴン、とてもカッコいいですね。怖いけど
レッドドラゴン戦以降、戦闘イメージはある程度固めていますので迷わず魔法を発動させます
「レーザービームっ!」
私に向かって飛んできたところを必殺レーザービームで撃墜!ああ、こっちに向かって落ちてきます!逃げないと!
ズドオオォォォォン
「ふぅ危ないところでした、討伐したというのに落ちてきた死体に押しつぶされて…なんて恥ずかしい死に方はしたくないですよね」
さぁさぁ、ブルードラゴンを収納してしまいましょう。これも私の資金源になるのです、ドラゴンのお肉は滋養強壮に凄まじい効果があると言われていますので、そのうち私も食べてみましょう。ただ解体は出来ませんけどね!
【神託を与える。我が使徒アリシアによってブルードラゴンが討伐されたと確認した。今後この地は平穏を迎える事だろう】
おっと神託が来ましたね、視線は感じませんが本当にずっと見ているのでしょうね。そう考えるとどうにも落ち着きませんが、フローラ様ですから仕方がないのでしょう。
『我が愛し子よ、今の戦闘は危険じゃなかったか?其方の身に何かあれば大変じゃ、もう少し安全な策をもって戦っておくれ』
「あ、フローラ様、ご機嫌麗しゅう。確かに今のは危険でしたが、戦闘経験を積んだからには同じ失敗は致しません。次はもっと安全に戦いますのでご安心を」
『そうか?其方がそう言うのであれば引き下がるが、怪我などせぬよう気を付けるのだぞ?』
「はい、ご心配ありがとうございます」
フォース王国王城
「なんと!使徒様はもうブルードラゴンを討伐なされたのか!我が城へ招待しようと町を捜索させたが旅立った後だと聞いた時には何とも言えん気持ちになったものだが、こうして使徒様の活躍が神託で聞けるというのは素晴らしい事であるな!」
「そうでございますね、我が国にもブルードラゴンによる被害はかなり出ていましたから、我が国の民もこれで救われます」
「そうだろうそうだろう、もしも使徒様がまた我が国に来るようなことがあれば、今度こそ招待して歓迎の宴を開きたいものだな!」
アリシアを探す事ができなくて念願だった対面を果たせず落ち込んでいた国王は、この神託を聞いて急に元気になったそうだ。隣で佇む王妃も一安心したとかしないとか…
フェブリー公爵
「アリシアがブルードラゴンを討伐したか…ブルードラゴンの縄張りはカムリ王国だったか?」
「カムリ王国、セリカ王国、そしてフォース王国の一部だったと記憶しております」
「そうか…どんどん遠ざかっているな、加護を失った我らが進むには厳しい道だが、あ奴を取り戻さない事には我が家の存亡に拍車がかかる、多少金がかかっても冒険者を雇って後を追うぞ!」
「はっ」
フェブリー公爵家の当代当主はフォース王国の王都の手前まで追ってきていた。揺れの少ない魔導馬車に乗り、冒険者を護衛に雇っての強行軍、手持ちの金貨が尽きる前にアリシアと交渉し、連れ帰らねばいけないという焦燥感をにじみ出していた。 果たして追いつけるのかどうか…共に馬車に乗っている執事は不安を顔に出さないよう努めていた




